「喫茶店、雨天、営業と詐欺、ブログ飯、アフィリエイト」最近読んだ本2
読んだ本について一言書くととても落ち着く。そういう意味でも書評(短評)は続けていきたい。長い書評を書きたい気持ちもあるが、それは気が乗った作品についてスピンアウトさせることにしよう。
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「15分あれば喫茶店に入りなさい」 斉藤学
この本の一番素晴らしいところは、「読む必要すらない」ことだ。タイトルを読めばすべてがわかる。15分の時間が空いていたら、喫茶店に入ったほうがいいということだけが語られている。本の内容は、喫茶店に入る理由と、活用法についてだ。
非常シンプルで明快な本だ。その明快さが故に、頭が混乱してきた時には読み返すことにしている。ぼくは論文や、困難な物書きについてはすべて喫茶店でやった。
(柏の葉のガソリンスタンドの奥にあるドトールコーヒーがなかったら、ぼくは修士号を取れなかったかもしれない)
喫茶店の一番素晴らしい点は、インターネットがないことで、ノートパソコンなんか持って行ってしまうと価値が低下してしまう。と、同時にノートパソコンがあると猛烈にキーボードを打ちたくなった場合の保険にもなる。
発作的に文章を打ち込みたくなって、2時間くらい意識を失うようになって文章を書いてしまうことが時にあるのだが、そういうの発作が出た時には書いてしまったほうが特なのだ。そうじゃない時は、「あー、うー、なんだかなぁ」とか言って気を散らし、そのたびにフェイスブックを見ては下らないコメントをしてしまうから効率が悪いのだ。
「雨天炎天」 村上春樹
先日村上春樹の旅行記が面白いという内容の書評記事を書いた。
その流れに乗って、この作品も読んだ。前作には、メキシコとアメリカという大旅行も含まれていたが、短編集というような風合いがある旅行記だった。この「雨天炎天」は、2つの旅行記が載っているのみである。そのいずれについても面白いので非常にお勧めだ。
1つめはギリシャ聖教の聖地「アトス」を歩き回った時の記録。とても面白いのだが、実は最初に読んだ時の印象はそれほど鮮烈ではなかった。今回読み直したのは3回目だが、始めて妙に馴染むように感じた。今と昔では求めているものが違っているということなんだろうと思う。
もう一つはトルコ一周旅行。トルコという国は最近何かと話題になるが、この旅行記ほど参考になるものはないと思う。
「営業と詐欺の間」坂口孝則
少し前悩んでいた。「夢を持って生きる」ということを語り始めた頃だった。
「夢という大きな目標を持って生きて行けば、人生が充実する。幸福に生きることができる。」
そのことは今でも同じように思うのだが、一つ悩みがあった。というのも、言っている内容がマルチや宗教の勧誘と変わらないように思えたからだ。ぼくは少なからずインターネットで商売をしている人間の端くれに入ると思うのだが、こういう類いの人によく出会う。
「夢を追う生き方を始めた大学生です。今はネットビジネスで月収200万円を稼いでいます。皆さん一緒に夢を追いませんか?」
こういうことを言っている人は申し訳ないのだが詐欺師としか思えない。詐欺師じゃない人もいるかもしれないが、ぼくにはどうしても詐欺師に見える。その是非はいい。自分からみて胡散臭く思える人物と、自分の言っている内容が、見かけ上は同じように見えるということが問題だった。
というような趣旨の内容をバスケ仲間の“Tもや”に話したところ勧められたのがこの本だった。営業と詐欺は、究極的には非常に似たものになる。しかし、その間には一つだけ小さな差があるという趣旨の本だ。
この本は3つの点で有用な本だった。
第一にビジネス書として優れていることだ。営業とは何たるか、ビジネスとは何たるかについての非常に実践的な知識をつけることができる。
次に詐欺にあわないための知識本として役に立つことだ。両親、家族に配って歩きたくなるような本だと思う。
最後に、営業と詐欺をニアリーイコールに置きながらも、その決定的な違いを導き出している。その探求的な姿勢と構成力が美しい。結果としてぼくの悩みもこの本を読むことで解消された。
「ブログ飯 個性を収入に変える生き方」 染谷昌利
プロブロガーのための本。ぼくもプロブロガーといえばプロブロガーなんだろうと思うが、商売としてはほとんど成立していない。時給はいくらだろうか。恐らく10円か20円くらいのものだろうと思う。
しかし、ぼくはブログを「趣味」ではなく「仕事」として書いている。それは、自分なりの目標があるからだ。だから、ビジネスとしてのブログはまだ書いていない(けど、そろそろ書かないとね。)。
ブログなんかどうしたら収入になるのかと考える人もいるかもしれないけど、それは「広告費」による。この記事でリンクしているアマゾンのリンクをポチっとして注文すると1~3%くらいが広告費として入るというような仕組みになっている。だから1000円の本が売れたら30円。
これは絶望的に低い数字のように感じられる。しかし、このわずかな収入でもビジネスに繋げていく方法があると力説しているのがこの本。
失礼ながらこの著者は「文章力」で戦えるタイプの書き手ではない。だからこそ、プロブロガーとして大成したのだろうと思う。このへんの経緯はとても面白いので、興味ある方は是非読んでみてはいかがだろうか。
素人としては凝ったブログを書いている人は、収益化を目指すのもいいかもしれない。どうせやるならね。
でも、メインビジネスにするにはもの凄い覚悟と労力が必要だし、真っ暗の海に1人で船をこぎ出していくような覚悟も必要になってくる。
この本の最大の見所は、一番後ろに載っている「鬼嫁の手記」。趣旨としては旦那が成功したのは全部私のおかげという内容。これはとても面白い。
「本気で稼ぐためのアフィリエイト 真実とノウハウ」 あびるやすみつ
「誰でもできるサイドビジネス」「一日わずか30分で月収5万」「元手無しで月に150万稼げます」というような怪しい広告を見たことがあるだろうか。そういうのは、ほんと詐欺みたいなもので、リンクを辿っていくと「~~塾に入会すればあなたでもすぐに稼げます。入塾料15万円かかりますが1ヶ月で元が取れます。」とか「すぐにでもボロ儲けが出来る250のマニュアル 8万円」とかが出てくる。
買う気もしないのでわからないが、こういうのは詐欺だと思ってもらって構わないと思う。
この本はその逆をついた本。つまり、ちゃんと稼ぐにはちゃんとやらないと駄目だよ、というような趣旨の本。
そして、もう一つの側面は「業界本」。アフィリエイトとかウェッブ広告というのは、ウェッブ上に広告を出す代理店がいて始めて成り立っている。この本ではその代理店にフォーカスを当てている。そういう意味では興味深い本なんじゃないだろうか。
情けないことにぼくはビジネスには強い関心を持てないので、流し読みしてしまったが……
以上5冊。
こう読んだ本のことを考えていると、内容は読んだ先から忘れてしまっているのだが、確実に刻み込まれているものもあるようだ。
今回のお勧め
誰にでもお勧めできるのは「営業と詐欺のあいだ」と「喫茶店」。エッセイ好きには「雨天炎天」。ブログ書きやウェッブ関係の仕事をしている人にはブログ飯とアフィリエイトもいいかもしれない。
この方式なら年間に100冊くらい軽くいく。ちょっと心が軽くなった。
ぼくは、年間に200冊の本を読んで、一つ一つについて5000字のレビューを書けるほどの読書家ではないからだ。
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