東大に11年在籍した後、タクシードライバーになりました

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Jリーグ サッカートピック サッカー論

2回目のJリーグ観戦に行ったら、恐ろしいことになった。<前半戦>

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「Jリーグ」という言葉を聞いてどんなイメージが浮かぶだろうか?

良いイメージが浮かんだ人は、現在どこかのチームのサポーターかもしれない。いや、サポーターこそJリーグを悪く言う人もいるかもしれない。

Jリーグについてネガティブなイメージを持つ人もいるだろう。
少なくとも自分はネガティブな意見を持っていた。

そんな中、縁あってJリーグに初めて観戦に行ってきた。

ぼくは「海外サッカー」や「日本代表」には強く興味を持っていたものの、Jリーグには関心が向いていなかった。その主な理由は、「知っている選手が少ない」「応援したいチームがない」というものであった。近くでやっているのは知っていたが、そこに行かねばならない理由がなかった。

しかし、実際にスタジアムに行ってみると違うものだ。雨の中の観戦であったが、予想に反して非常に印象に残る経験をした。

詳細はこちらの記事にまとめ、多くのJリーグファンの方々から支持して頂いた。

Jリーグを初観戦した結果、思わぬことになった。

前回の観戦では、どちらのチームを応援するつもりもなく行った。結果はホームチームのFC東京のぼろ負けだった。しかし、大差をつけられながらも必死に頑張る選手、応援を決してやめないサポーターの声に心を打たれた。

正直言って、Jリーグ観戦は面白かった。これほど良い体験ができるとは思っていなかった。

しかし、Jリーグがそれほど素晴らしいものであるならば、どうして観客動員数は減少しているのだろうか。

民放で放映される機会も少なく、放映権料が稼げないためどのチームも経営が苦しい。スポンサーも離れていく傾向にあるようで、年々台所事情が苦しくなっているようだ。

確かに、観戦してみたら楽しむことはできた。再びスタジアムに行きたいと思わせるには十分なものだった。

しかし、それだけではJリーグの持つブランドイメージには何ら変化はない。当たり前のことだ。ぼく1人がJリーグに興味を持つようになったからといって、大きな流れは決して変わらない。

「良い選手は海外のチームへ行ってしまう」「競技レベルが低い」「アジアでも勝ち抜けない」「経済的にうまくいっていない」「サポーターが暴動を起こす」「新規ファンはにわかと言われ叩かれる」

こういったイメージがある限りは、スタジアムに行く人は増えないのではないだろうか。Jリーグのブランドイメージは20年間、紆余曲折を経て、少しずつ下落してきたのだ。

この傾向を変えるのは決して容易なことではないし、現状で解決策を示している人すらいないような気がしてならない。

Jリーグサポーターの方々に是非聞きたい。

「数年後、数十年後に今よりもJリーグが発展していると思いますか?」

何度も繰り返すが、前回の国立競技場では、非常に良い経験ができた。しかし、正直言って試合自体が面白かったかというとそうでもなかった。試合への興味があまり湧かなかったからこそ、スタジアムの魅力やサポーターの応援などに興味が行ったという側面もあるのだ。

偶然当たりを引いただけで、10回中9回は退屈な目にあうのかもしれない。

本当にJリーグは面白いのか、スタジアムまでわざわざ行く価値があるのかを見定める必要がある。

10月19日(土)、改めて観戦に行くことにした。

Jリーグ第29節 FC東京 vs アルビレックス新潟 @ 味の素スタジアム

この日は先約があったのだが、キャンセルさせてもらった。その際、約束していた友人達にお詫びすると同時に「せっかくだから一緒にスタジアムに行かない?」と誘ってみたところ、何と3名が一緒に来てくれることになった。

そのうち2名はよく観戦に行っているようだが、1名は初観戦だった。サッカーの知識はあまりなく、恐らくオフサイドもよくわかっていない。

彼らと共にJリーグは本当に価値があるリーグなのか、見定めたい。

試合前の体験レポート

新宿駅から京王線に乗り、飛田給駅に着く。途中で乗り換えを間違えてしまったが、これは味の素スタジアムに行くときにある定番のミスらしい。

改札を出て友人たちと待ち合わせをしていると、スピーカーからチャント(応援歌)が聞こえてきた。こういうのはいい演出だと思う。

1度スタジアムで観戦した経験があると、音楽を聴くだけで心が高鳴ってくるのを感じる。

初観戦の時に感じた楽しさの半分以上は、このチャントによるものだった。

友人達と合流し、駅から200 m程度歩くとすぐにスタジアムがあった。このアクセスの良さはなかなか良い。


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ゲートを抜けてスタジアムへ。

スタジアムというのは、巨大建造物の一種だ。ピラミッドとかスカイツリーなどと同じカテゴリーだ。その前に立つだけで威圧される。

“巨大な威圧感”

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フィールドを守るように構えている高い外壁は、難攻不落の要塞すら思わせる。その尋常ではない大きさと異質な形状に圧迫され、押し潰されそうになる。恐怖すら感じる。

こんな建物の横には住む気がしない。もちろん住んでいるうちに慣れるのだろうけど、最初はすごく違和感があるはずだ。

一方で、スタジアムには救いがある。一歩、中に足を踏み入れればわかる。その瞬間、高い外壁は外の世界から自分を守ってくれる頼もしい存在へと変化する。スタジアムの中では、世情のわずらわしいことを忘れることができる。そういった邪悪なものが入ってこないように高い壁が守ってくれている。

そして、我々の代わりに戦い抜いてくれる強靱な戦士達が出現する。共に応援する仲間もいる。

しかし、同時に敵も侵入してくる。この試合でいうならば、FC東京のホームにアルビレックス新潟軍が侵入してきた形だ。負けるわけにはいかない!!

戦え!俺の東京!

応援の歌が響き渡る。

スタジアムは外に対しては威圧を続けるが、一度中に入ったものにはとても優しい。スタジアムの中に入ることで、我々観衆はスタジアムと同化することができる。寛容な存在だ。

ほっとするという感覚が近いかもしれない。前回の国立競技場もそうだったし、味の素スタジアムもそうだった。日常のストレスから離れて息をつくことができた。

自分の情けない現状。
作家になるという夢を掲げ大学院を飛び出すも、書籍を出すための企画書や原稿を書けずにいる歯がゆい日々が続く。まとまった金銭収入が得られる見込みもなく、何より自分が今後書いていくテーマも定まらない、Wordpress(ブログ)の更新エラーが頻発し、30歳を過ぎてからは体重が減らなくなってきた、捻挫も治らなくなってきた。

フリーランスになって比較的気楽な状態が続いているが、ストレスを抱えてイライラすることもあった。家族に対して「キー!」となって、嫌味をこぼしてしまうこともあった。駄目な夫であり、駄目な父だ。

しかし、スタジアムに入って空を見上げたとき、心に絡まっていた嫌なものが全部吸い込まれて行ったような気がした。

“空に吸い込まれる”

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心が解放されていくのがわかる。

スタジアムには行くことには確実に意味がある。

心のモヤモヤを吹き飛ばしてくれるのだ。

この感覚は本当に特別だ。わずか2回の観戦ですっかりストレスが抜けたらしい。自宅に引きこもって延々と物書きをしていてイライラすることがほとんどなくなった。

ぼくのモヤモヤは全部スタジアムの空に吹き飛ばしてきた。

青赤横丁でゾンビと出会う?!

スタジアムの外に少し出たところで、青赤横丁なる露店街が開かれていた。数多くの露店だけではなく、子供向けのアトラクションもあり大変楽しい雰囲気だった。世の中には美味しいビールの飲み方というのが何通りかあるが、露店で買ってきたビールを飲むのもその一つだ。

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マスコットのドロンパを模したポワンポワンのやつ。子供の時はこれが大好きだった。

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フットサルスクールも開催されていた。

ところで、FC東京サポーターはよく食べることで有名らしい。あまりにも食べるので、地表を覆い食物を食い尽くす「イナゴ」と喩えられることもあるそうだ。ローストビーフ屋に並んでいる間に一つの仮説を立てた。

赤は食欲を刺激する色で、青は食欲を減退させる色とされている。赤いカレーは美味しそうにみえるが、青いカレーはどうみても毒だ。

FC東京のカラーは赤と青。食欲を強く刺激すると同時に、強く減退させる。サポーター達は日常的に青赤の2色を同時に目にし、さらにそのコントラストに強い愛着を持つため、食欲をつかさどる脳の機能が狂ってしまう。食欲が異常に増進するものの、いくら食べても満腹感を得ることが出来ない。

結果、延々と食物を探し求めるゾンビのような存在になる。

スタジアム中の食べものをすべて胃袋に収めても決して満足することなく、半分理性を失いながらサッカーを求めるようになる。応援の声を出そうとするが、食道まで食べ物が詰まっているためにうまく声を出すことができない。だから、ゾンビのようにうめくのだ。

「バ……バ……バモス……」

バモスというのはチャント(応援歌)に度々出てくるフレーズのことで、試合中に何百回も繰り返される。以上を持ってFC東京サポーターが食べまくる理由に対する考察としたい。

……

これはもちろんジョークだが、そういうことを思いついてしまうくらいFC東京サポーターはよく食べていた。露店という露店は大行列をしていて、観察しているとこんな人もいた。まず、露店で何かを買ってきて中央の座席に座り、ひとしきり食べ終えたところで「次はどこに並ぶ?」とやっている。一体彼らは何時から食べ始めたのだろうか。

試合が始まる直前まで、露店の列が消えることはなかった。

「おいおい、試合見なくていいのか」と突っ込まずにはいられなかった。

などと皮肉めいたことを言ったが、かく言う我々の脳も異常をきたしていたようだ。

 

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もちもちチーズポテト。
柔らかい食感が素晴らしい。なんでもちもちしているんだろう。そこらのポテトとは全く違う。

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どっかの有名店のピザ。ちょっと冷めてしまったが、その分味付けの確かさがよくわかった。これはソースがうまいのかな。

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ローストビーフプレート × 2

肉厚で香ばしかった。自分で並んで買ったので喜びも一塩。

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ソーセージの盛り合わせ。

もうお腹いっぱいだからいらなかったんだけど、同行者に勧められついつい食べてしまった。スパイスが効いたちゃんとしたソーセージだった。

これらを並べて生ビールで乾杯した。とても気持ちがいい。そして、帰り際にもう一つもちもちチーズポテトを購入し、生ビールを買った。

どう考えても食べ過ぎだ。
お腹が苦しくなってしまった上に、すっかり酔っ払ってしまったので前半の記憶は曖昧だ。

「バ……バ……バモス……」

選手紹介は初心者にもオススメ!

試合前の選手紹介はとても楽しい時間だ。ここは絶対に席に座っていたほうがいいと思う(露店に並んでいる場合じゃない!)。というのも、選手の名前をコールすると同時に、観衆達も「ウェイ!」と合いの手を入れる行事があるからだ。これは非常にわかりやすいし入りやすい。

例えばサッカーを見たことがない女の子を観戦デートに連れてきたとしたら、「ウェイ!」を一緒にやるべきだ。タオルなどのチームカラーが入ったアイテムを身につけておくとより良い。

そこで、身体を動かし、声を出させることが出来れば、もうスタジアムの魔力からは逃れられなくなる。

相手チームの紹介もなかなか有意義で、ブーイングされる選手とされない選手をみると相手チームのことがわかる。ブーイングされる選手は得点をよく取る選手か、相手チームのキーマンだ。

今回で言うと、川又という選手が一際大きなブーイングを浴びていた。調べてみたところ得点ランキング上位に付けている選手だった。

誰が誰だかわからない

しかし、ここで一つ情けない告白をしなければならない。ぼくは、バードウォッチング用の高性能双眼鏡を持っていたため、選手の表情までくっきりと見ることができた。しかし、どの選手が川又なのか最後までわからなかった。恐らくこの選手かなという目星はついていたのだが、確証が持てなかった。

肉眼では全くわからないし、双眼鏡で覗き込んでも顔が識別できない。プレイスタイルやフォーメーション上の位置も頭に入っていない。新潟の前線の選手は非常に素晴らしい働きをしていて印象に残っているのだが、そのうちの誰かが川又選手だったのだろうと思う。

情けない話だ。エースがどこにいるかもわからないとは。

でも、恥を忍んで告白したのには理由がある。これが、サッカ-観戦の真実なのではないかと思ったからだ。

実は先日の初観戦でも、同じ事をやってしまった。
もう恥ずかしいので本当は書きたくないが……

事前にFC東京について簡単に調べたときに気になった選手がいた。仮にA選手としよう。ぼくはA選手に注目して試合を観ようと考えていた。そして、試合前にA選手の顔を確認することが出来た。

試合中、A選手がやっているはずのポジションに注目していた。だが、残念ながらあまり活躍しているようには見えなかった。

後で試合の感想を聞かれたときに、A選手に注目していたんだけどあまり活躍していなかったね答えるようにしていた。しかし、みんな変な表情になった。

なんでだろうと思っていたのだが、最近気付いた。

A選手は試合に出場していなかったのだ。

なんという恥ずかしい話だ。ぼくは出ていない選手についての感想を語っていたのだ。でも、これも一つの真実かもしれない。恥ずかしながらも載せることにした。テレビと違ってアップになる瞬間もないし、アナウンスも解説もないから誰がどの選手かわからない。

もちろん、何度も観戦している人ならそういうことはないだろうと思う。しかし、観戦歴が浅い人にとっては選手の識別はかなり難しかった。

一緒に観戦していた初心者の女性も、ルーカス選手1人がギリギリ認識できたというレベルで、他の選手については全くわからなかったようだ。

初観戦の人に選手の特徴や戦術などの細かいことを言っても意味がない。それは大人の楽しみ方だ。それよりは、スタジアムの雰囲気や一緒に応援する感じを楽しんでもらうほうがずっと有効なんだろうと結論づけた次第だ。

ぼくは、自分でサッカーの試合に出場したこともあるし、テレビの試合だって100回以上見てきた。サッカー関係の書籍は雑誌もあわせると200冊近く読んだ。

そんなぼくでも初めての生観戦では、誰がどこにいるのかさっぱりわからなかった。それどころか、出場していない選手を追っていたのだ。

それでもあれだけ楽しめたことを考えると、「サッカー観戦を楽しむ」には難しいことは考えなくてもいいということだろう。

つまり、サッカーなんてよくわからないという人でも、一度スタジアムに来て、観戦してみれば一気にファンになるかもしれないのだ。

そして、試合へ

スタジアムの雰囲気にしっかり包まれて、お腹も満たされた。友人は青赤のタオルを購入して、試合前のテーマソング“ユルネバ”を歌っていた。なかなかの順応能力だ。

試合開始前にスタジアムを満喫してしまったが、メインディッシュはこれからだ。

キックオフ!!!


後半へ続く

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