「村上朝日、ウェッブ金儲け、海外ブラック、わんだー、とりさがし」最近読んだ本3


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「村上朝日堂」 村上春樹 安西水丸

ほのぼのとした平和なエッセイ。村上春樹で最も読みやすい作品。内容は日常的だし、文章のタッチは軽いし、ゆるい挿絵が必ずついているし、何より1つあたり2ページの見開きで終わる(さらに言うなら某安売り店に大抵並んでいる)。

「いつも無口で、飲み会なんかでは隅っこのほうで無言で笑っているけど、よくよく話を聞いてみると面白い人だと気付かされる」 

村上春樹はそういうタイプの人なのだ。なんだ、あいつは地味だよなと思っていたら、実はその人は小説家かもしれない。

これはぼくがファンだからなのかはよくわからないが、とても笑える。クスリと笑うこともあるし、ガハハと笑ってしまうこともある。

「電車とその切符」シリーズは最高すぎる。始めて読んだ時からずっと大好きだ。「あたり猫とスカ猫」についても大好き。「そば屋で飲むビールって本当にうまいんだから」というフレーズも、10年間頭から消えていない。

ところでゆるいエッセイの中に「文章の書き方」というタイトルをつけたものが混ざっていて、これも書き口はゆるいんだけど、村上春樹らしい文章論だった。5回読み返した。今朝も読み返した。1回読むのに1分くらいしかかからないからね。

「どんな風に書くかというのは、どんな風に生きるかというのと大体同じだ。」

これはぼくと同じ考え方。でも、ぼくの考えが村上春樹に近いというよりは、あちらさまに影響を受けているというほうが正しいのかもね。これについては記事を独立させたいところ。

「今すぐ使えるかんたんPLUS アフィリエイト攻略大事典」

表紙にメダル、金貨、札束とパソコン。パソコンにはWEB SITEと書いてある。金儲けに特化したサイト。
人間の欲望を喚起するような色使いと書き口なので、ブログでアフィリエイトをすれば儲かるだろうという気持ちに何となくなっていくのかもしれないが……ぼくの見立てでは、これらのメソッドを駆使して、毎日数時間実直に更新し続けたところで…… それを一年続けたところで…… 月収1万円くらいにしかならないと思う。楽天で20万円の商品が売れたって2000円くらいにしかならない(はず)。

ブログで紹介した商品が月に1000万円くらい売れたら、人並みの収入になるかもねというレベルなので、限りなくハードルが高い。だから、複数のブログを運営するという戦略を取る羽目になる。すると、毎日複数ブログの記事を更新し続けるという「苦行」が待っている。

だったら、コーヒーショップの店員でもしたほうが早いと思うのだけど実際のところどうなんだろう。

子育てが大変なカリスマ主婦タイプなんかはいいのかもしれないね。

この「はとのす」というブログは、こういった金儲け的な要素から全く逆の位置に立っているということがよくわかるという意味では良かったかもしれない。

「海外ブラックロード 最狂バックパッカー版」嵐よういち

村上春樹とは違う意味で尊敬しているライター。この人の本は大抵持っている。

ある意味では「アンチ地球の歩き方」の旅行情報本。「地球の歩き方」という本は、その国の良い面ばかりをとりあげるので、多くの日本人を死に追いやっている可能性があるとどこかで書いていたような気がする。

海外に行くと、詐欺師や強盗がたくさんいる。怪しいやつらがうじゃうじゃいて、人種差別も頻繁に行われている。よく海外に行ってきた後に感想を聞くと「良かったこと」しか言わない人がいる。もし本気でそう思っているならば、大金を使って高級リゾートに行ったのか、盲目だったのかのいずれかなのではないだろうか(という気がしている)。

海外で、お薬をやっている人達の話が出てきたり、バーで女の子を買いつけるやつらが出てきたりと非常にヤクザな内容なのだが、これは非常にリアルな話なんだろうと思う。

嵐よういちの本を読むと、「嵐さん、まだ生きてて良かったね。」と思い、「やはり日本はいいところだね」と感じる。

ちなみに、この本では強盗などのやっかいなやつらに出会ってしまったときの対処法を学ぶことができる。おかげで、駅でチンピラ風の男に絡まれた(要するに酔っ払い)際に完璧な対応が出来た。警察に「何て頭のいい人だ」と驚かれたくらい。

そりゃ、ブラジルのファベイラでマフィアに囲まれることに比べたら、日本の駅でチンピラにギャーギャ-言われても涼しいものだよね。

「センス・オブ・ワンダー」 レイチェル・カーソン

子どもたちへの一番大切な贈りものという帯がとても素敵。

「「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。」

自然を感じること、生命の息吹に、季節に移ろいに対して驚く感性を持ち続けること。これより大切なことはないと思う。美しい何編かの写真と共に綴られる短い本。本当はもう少し長くしたかったのだろうけど、偉大なるレイチェルは途中で天に召されてしまった。

不朽の名著「沈黙の春」によって環境問題への警笛を鳴らすという非常に重要な役割を果たした後、未来の子ども達へ、それだけではなく自然への接し方を忘れてしまった大人たちにも向けてこの本を書いた。

この本は非常に短いが、続きを紡ぐのはレイチェルである必要は必ずしもない。彼女の愛した甥のロジャーか、あるいはぼくでもいいし、あなたでもいいのだ。この本についてもちゃんと書かないといけないけど、結構難しい部分もある。


「鳥に会う旅」 叶内拓哉

センスオブワンダーを持ち続けたまま大人になると、こういう風になっちゃうかもねという極端な例。研究業界にはたまにこういう人がいるけど、一般的には珍しい。

ツルが大好きで、九州の出水地方に通っていた叶内さん。しかし、結婚して以来資金がなくなっていけなくなった。それでもツルは見たい…… 新婚旅行には九州一周のドライブを提案した。奥さんも乗り気だった。

しかしながら、九州に1度入ると「ツル病」が抑えきれなくなって、徹夜で運転を続け出水まで直行し、その後は延々とツルだけを見続けた。

このエピソードを聴いて、なんてクレイジーな人もいるのだろうかと最初は思った。当時は鳥の世界に入ったばかりだったから、ここまで鳥が見たいと思う人の気持ちが理解できなかったのだ。しかし今ならわかってしまう…… 

叶内さんは有名な写真家(もちろん鳥の)。だけど、この本は写真は少なめで、文章表現が主となっている。大好きな鳥について書いてあることもあって、文章が踊るように生き生きとしている。とてつもなく面白い。

バードウォッチャーは必読だが、それ以外の人でも十分に楽しめる本。

自然観察に興味があったり、子ども(特に男の子か?)がいる親は、「センスオブワンダー」は必読書!!紀行文みたいなものが好きな人はブラックロードも変化球としてどうぞ。
村上朝日堂はみんなに読んで欲しいなぁ、ぼんやりとした昼下がりに読むこの本はとても面白いから(ちょっと書き口を真似してみた)。

アフィリは……誰も読まなくていいかもね。特殊な人向け。鳥に会う旅は、ナショジオとかアニマルプラネットが好きというレベルの人なら十分に楽しめる。鳥好きの人じゃないとなかなか読む機会がないけど、鳥の知識がなくても読めるし楽しめる素晴らしい本。

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