スペインバスケの至宝リッキー・ルビオは日本でも育てられるのかを聴きに行く


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スペイン人のバスケットボール育成コーチが来日して講演するという機会があることを聞いた。絶対に行こうと思った。何故ならどうしても聞きたいことがあるからだ。2012-2013シーズンのNBAで、最大の関心事はスペインバスケの至宝リッキー・ルビオだった。


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 その男、リッキー・ルビオはちょっと可愛い

ルビオは目がキラキラと輝いている。初期の頃のハリー・ポッターのようだ。そのくせに無精ひげを生やしていることもある。小憎い青年だ。

そのリッキー・ルビオは、18歳でNBAにドラフトされた。しかし、通用するのかどうかは誰にもわからなかった。身体能力が高い選手ではない。身長は192 cmとなっているので十分ではあるが、NBAのPGでいうと普通の身長だ。また、スピードが速いかというとそうでもない。NBAでは遅いほうなのではないだろうか。

ロングレンジのシュートは最大の弱点で、スリーポイントは滅多に入らない。せっかくインサイドから良いパスが戻ってきて、ワイドオープンになっているにも関わらずスリーを撃つのを躊躇してオフェンスを組み直すという場面も何度か見た。

身体の線も細く、2012年3月には前十字靱帯を切る大怪我をした。

やっぱり、ルビオはNBAでは通用しない。

そう、考えた人もいたかもしれない。ぼくがじっくりルビオを見始めたのは2013年の1月頃だった。膝の怪我も治り、コートに戻ってきた頃だった。当時、NBAファンタジーチームでルビオを所有していたから、毎日スタッツをチェックしていたし、試合もなるだけ観るようにした。

といってもウルブスの試合はあまり放映されなかったが。何故ならウルブスは散々な状況だったからだ。エースのラブ、センターのペコビッチ、フォワードのキリレンコを怪我で失っていた。普段はNBAのコートでは見られないベンチウォーマー達が活躍する場となっていた。

そういうチームでは勝つのは難しいし、弱小チームの試合を放送しても視聴率が取れないのだろう。

ルビオはクラック!!

クラックというのは「ひび割れ」というような意味を指していて、主にサッカーで使われる用語だ。たった1人で堅牢なディフェンスを打ち砕き、ゴールをもたらす選手に使われる。

といっても直接点を取るストライカータイプばかりではなくて、パスでディフェンスを破壊する選手もいる。

ルビオはそういうタイプの選手だった。

不思議だった。2連覇を飾ることになったマイアミヒートの強固なディフェンスに対して、ウルブスの選手は個で打開するのは難しい状況だった。しかし、ルビオがボールを持つと何かが起こった。

スルスルとインサイドに入っていき自分で決めることもあれば、ノールックで斜め後ろ方向にパスを出すと誰かがフリーになっていることもあった。

ミドルレンジのジャンプシュートとスリーポイントが武器のデリック・ウィリアムズが25得点を取った。ルビオが裏でタクトを振っていた。

正直言ってミスは多かった。しかしながら、攻守の思い切りがよく、14点8アシスト6スティールの活躍だった。圧倒的に身体能力で勝っているレブロンやウェイドの動きを読み切ってスティールを決めていた様は圧巻だった。22歳の仕事ではなかった。

NBA選手というと身体能力が高い選手をイメージする人も多いかもしれないが、ルビオは全く違う。風に揺れる柳のように柔らかだ。しかし、油断をしていると電撃が走るようなパスを飛ばして試合の流れを強引に引き寄せていく。

先日「賢いプレイヤーとは、時間の流れが見えている選手」という意見を耳にしたが、ルビオはまさしくそういう選手だった。ルビオだけは10秒後に何が起こるかを知っている。コート上のルビオただ1人が。そういう風に見えた。

Ricky Rubio TOP10 2012-2013

9位 フリーすぎて敵も味方もびっくりしている

8位 コービーを抜き、ドワイトハワードのブロックをさせずにレイアップ お見事!

5位 斜め後ろへのパス。ルビオの得意技。ペリメーターまで飛ばすこともある。

3位 パスコースはなかったはずなのに!

1位 簡単に抜いていくように見えるが、ディフェンスは完全に逆をつかれている。どういう理屈なんだろうか?

というわけで、ここのところずっとルビオの魅力にとりつかれている。なんて軽やかにプレイするのだろうか、と。

それと同時に1つの疑問を持つようになった。

リッキー・ルビオは日本でも育てられるだろうか?

ルビオのような日本人プレイヤーが見たい。そう思うようになった。身体能力は平凡ながらも、スーパーアスリート達をヒラリヒラリと避けながら、誰も想像できないようなエキセントリックなパスを決めていく。

シュートを決めるたび、パスを通すたび、「おお!!!」と叫んでしまうような選手が出てきて欲しい。

ルビオは日本でも出てくる可能性はあるのだろうか?

正直見当もつかない。リッキー・ルビオになれるだけの素材が日本では生まれないのか、あるいは既に生まれているのか。生まれていても育てられないのか、育てる過程で別のものになってしまうのか。

ルビオがルビオたる所以は、ハンドリングスキルではなく「頭」にあるように思う。恐らくルビオの目には、ぼくのような凡人とは全く違った景色が見えていることだろう。そして、もう一つ重要な点は「バスケ文化」にもあるのではないだろうか。天才ルビオ14歳11ヶ月でプロデビューしているのだが、これは日本では可能なことだろうか?

14歳でプロデビューしているということは、小学生の時には、ルビオは既にルビオだったはずだ。ということは、小学校低学年からにかけての教育の成果なのだろうか?ウィキペディアによると5歳から11歳までは地元マスノウのチームでプレイしていたと書いてある。この辺に何か秘密があるのだろうか。

ずっと気にはなっていたが、スペインバスケについて知るのは難しい。もちろん、本気で取材すればわかることもあるだろうが、仕事でもないのにそこまで労力をかけることはできない。

と、思っていた時に耳に入ったのが、先日書いたスペインバスケについてのセミナーへのお誘いだった。

スペイン人の育成コーチに直接質問するチャンスだ。きっとスペイン人らしい答えが返ってくるんだろうと思う。「適当だけど、妙に本質的」な答えが。

例えば、「コーチは子供の心の声を聴くだけなんだよ。コーチに出来ることは耳を澄ますことだけさ。」みたいな。

日本人のコーチだったらこうなりそう。例えばだけど。

「ゴールデンエイジと呼ばれる10-12歳になるだけ高い基礎技術を付ける必要があります。そのためには8-10歳のプレゴールデンエイジでハンドリングの練習を徹底的に行うことにしています。我々が重視している練習メニューは(中略)の5つです。これらの練習は相互に関連性が高く、また後にワンハンドシュートを撃つ際にも……(以下略)。」

ともかく、スペイン人コーチの口から育成について話を聞いてみたい。ルビオについても聞いてみたいと思っている。

上記の記事を書いた段階では知らなかったのだが、今回のセミナーは巨大なツアーの中の一コマだったようだ。

その中で、ぼくが興味があるのは、育成哲学やバスケ文化についてなので、このへんが良さそう。

『実はバスケ大国!世界2位のスペインバスケを支える育成の秘密と文化的背景』

【日時】8月12日(月) 19時30分~

所在地
〒160-0023
東京都新宿区西新宿6-16-6 タツミビル2F

http://www.plus-blog.sportsnavi.com/sportsjobnetwork/article/2037

『スペインのバスケットボールコーチを取り巻く環境』『マドリードでのバスケットボールを通じた社会貢献活動』

【日時】8月13日(火) 11時30分~

【場所】バンタンデザイン研究所

恵比寿本校 デザイナーズメゾン 2階
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1-9-14
恵比寿駅西口より徒歩1分

http://www.upset-emg.com/blog/2013/08/2-1.php

『【指導者向け】スペイン人コーチのセミナー・座談会』

【日時】8月17日(土) 13時30分~

【場所】千葉県千葉市中央区の某所

最後のやつを隠れて覗いてみたい気がするけど、ちょっとこっちは敷居が高そう。1個目か2個目にいくのがよさそうかな。

ツアー全体については詳しくはこちら。
http://baloncesto.for-japon.org/event/20130811_19.html

数えたら全部で10個もあった。

今回のツアーで本当にすごいなと思ったのは、仕事よりもプライベートを大切にする人が多いスペイン人を2人も捕まえて、こんなに仕事をさせていること。

しかも、バカンスのシーズンにだ!!

一体どうやって説得すれば、そんなことが可能なのだろうか。……これは主催者を見つけて聞いてみようと思う。


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