ベルギー戦で森重真人とアフロが競り合いするのを見たことによって、Jリーグの夢が思い描けた。


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このたびの国際親善試合、日本vsオランダ及び日本vsベルギーは、久々に爽快感がある試合だった。ザッケローニが好きなぼくとしては、アンチザックの世論を吹き飛ばしてくれそうでとても嬉しい。

ちなみにザックが好きになったのは、この手記を読み始めてから。

ザッケローニ SAMURAI BLUE監督手記 イル ミオ ジャッポーネ“私の日本” | SAMURAI BLUE | 日本サッカー協会


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代表監督という職業柄、叩かれてしまうのは仕方がないことなんだけど、ぼくはザッケローニを信頼するという形で日本代表のサッカーを楽しんでいる。

ところで、ザッケローニはJリーグ各チームのサポーターには評判が良くない。何故なら、せっかく招集した選手を使わずにベンチに座らせておくことが多いからだ。

ちょっと前までは、「そりゃ海外クラブの選手に比べれば見劣りするんだろうから仕方がないんじゃないかな」なんて思っていたのだが、Jリーグに興味を持ち始めた最近では全く違う見え方をしてきた。

「使わないなら、権田と高橋秀人と森重を返してくれよ!!!!」

FC東京はGK、CB、CMFの主軸3人がいなくなってしまう。そして、その状態で3大タイトルの1つ天皇杯を戦わなければならなかった。天皇杯よりもリーグ戦のが大事だからどうでもいいよ、というのは「サカつく脳」というもので、サポーターからしてみるとタイトルを取れるかどうかがかかった大切な一戦なのだ。

それ以上に、12月にも観戦を楽しめるかどうかがかかっているのも大きいような気もする。また、決勝が近づくとNHKで放送されるはずなので、「愛しのマイチーム」を日本中にお披露目するチャンスなのだ。

代表に選ばれるような選手というのは間違いなくチームの主軸なので、抜けるのは本当に痛い。しかし、その痛みに耐えなければいけない。日本代表のため、選手の成長のために……

でもね、せっかく呼んだなら使ってよ!!ってのは極めて自然な心情だ。3人も抜けた状態で戦うとかどんな罰ゲームなんだ、と。

もっとも、セカンドキーパーの塩田選手の熱狂的なファンの知人はまんざらでもないかもしれない。不動のスタメンが抜ける機会は、チームにとっては若手や控えの選手を実戦で試す機会になるのでマイナス面だけではないのかもしれない。

というわけで、2ヶ月前までは海外組にしか興味がなかったぼくが、いつの間にかJリーガーに肩入れして観るようになっていた。そうすると、全く違う見え方をしてきた。ついついJリーガーばかりを目で追ってしまうのだ。

オランダ戦

スタメンは、西川、今野、山口、大迫。
これは熱いメンバー。特に、先日観たばかりの山口螢と大迫勇也が出ているのが嬉しい。

この試合は旅行先で1回観ただけなので細かいことはわからなかったのだが、山口はかなり機能していたのではないだろうか。そして、何よりも大迫!!

鹿島アントラーズのエースは、世界屈指のチーム相手に通用していた!!!

前線にボールが収まってくれると、本田もやりやすいのではないだろうか。あのデカくてゴツいゲルマン人の中で、ひらりひらりとかわしてはボールを受け、攻撃のリズムを作っていく姿には感動を覚えた。

そして、前半39分。

大迫、ゴール!!!!!

ついつい奈良の友人宅で歌ってしまった。

オオサコー オオサコー オッオッ オオサコ-!!

何とも言えない誇らしい瞬間だった。つい先日ぼくの目の前でプレイしていた選手がゴールを決めたのだ。あの目の前でヒラヒラしていた大迫が。クロスボールをインサイドであわせてゴールに流し込んでいた大迫が。世界の舞台でオランダ代表相手にゴールを決めてくれた。

そして、後半はスーパーサブ化した遠藤によってファンタスティックな展開になる。そこで大迫に代わり柿谷が登場する。

後半33分。香川からの絶妙なスルーパスを…………

豪快に外す。

俗に言う「俺でも決められるよ-!」型のシュートミス。もちろん、実際には決められるわけがないのだが、思わず「えー」と叫んでしまうタイプの失敗だった。柿谷の実力なら間違いなく決められたゴールだった。

柿谷は死ぬほど悔しかったらしい。そりゃそうだ。ポジション争いのライバルの大迫が大活躍したのを尻目に、自分は情けないシュートミス。しかも、普通にやれば決められたシュートだった。

天才、柿谷曜一郞。

この悔しさをバネに飛躍的に成長していくのではないだろうか、そういう予感を感じさせるシュートミスだった。試合後に「手ごたえは全くないです。悔しいだけです」と語った柿谷(途中出場で決定機逸のFW柿谷曜一朗「実力不足です、自分の」 – サッカーキング)。

この言葉を聞いて、ぼくは柿谷をワールドカップに連れていきたくなった。どの立場からの意見なのかよくわからないのだが、とにかく連れていきたいと思った。もっと大きな舞台でもう一度チャンスを与えてみたい。だから、あと、半年間、本気でサッカーのことを考えてもっと成長して欲しい。そう感じた。

ベルギー戦

スタメンとして、森重、山口、柿谷。途中出場で大迫。

も、も、もりしげ!!!!!

黄色いスパイクがベルギーと戦っている!!!!

対する相手は、ロメル・ルカク。ルカクですよ、ルカク。プレミアで17点とった化け物。193 cm 95 kg。足も速い。

森重がルカクと戦っている。

そして、誇らしいことに負けていない!!!

凄いなぁ、これは誇らしいとしか言いようがないなぁなどと思っていたら、解説の一言。

「森重は自分の前に色んな選手が入ってきて、ちょっと……困ってますね」

森重は遠い異国の空の下、困っていたらしい。そういうのもちょっと心をくすぐられる。

途中からフェライニが出てきた。フェライニといったら高身長と強力なフィジカルで暴れ回る選手だ。去年エバートンの試合を何試合か観ていたので、その凄さは知っていた。

そして、後半22分。ハイボールがフェライニに入る。しかし、森重がヘディングで競り勝ってクリア-!! ここがこの試合のハイライトだった。森重はフェライニに負けていない。これは嬉しかった。

もっとも今の僕にはCBのスカウティングはうまくできない。だから、森重がどの程度うまくはまっていたのかは評価できない。しかし、全力で戦っていたのは事実だし、試合に勝ったのも事実だ。それだけでいいのだ。

さて、先の試合で悔しさにまみれた柿谷はどうなったのかというと……

前半37分、酒井宏樹のクロスをヘディングで押し込んだ!!!
柿谷らしい華麗さの欠片もないゴールだった。先日の借りをまず1つ返した。
そして、もう一つのハイライト。柿谷に交代が告げられ、ライバルの大迫がライン際に構えている時だった。つまり、柿谷の最後のプレイだった。

長谷部から来たボールをペナルティエリア内で受けて、ふわりと浮かせた。そこに岡崎が突進してきて蹴り飛ばした。

ゴール!!!!!

柿谷も1ゴール、1アシストだ。

天才、柿谷曜一郞。阿波踊りによって表舞台に帰ってきた男。彼はこの先どういう道を歩んでいくのだろうか。その全てを我々は見ることが出来る。

Jリーグの夢

考えてみるとベルギーとオランダから取った5点のうち、4点は柿谷と大迫が絡んでいる(残り1つは遠藤→本田)。なんと気持ちがいいことだろうか。

自分の目で見たことがある選手達が世界の舞台で活躍する気持ちよさは半端じゃない。ぼくは今までも日本代表を応援してきたが、どうやら薄っぺらい応援しかしていなかったようだ。

俺たちの選手が、遠い異国で戦うからこそ代表戦なのだ。

サッカー選手はゲームのデータではない。トレーディングカードの材料でもない。

サポーター達が一生懸命愛して育ててきた宝物なのだ。それを知らずして、選手のスカウティングやら戦術のにわか勉強やらをしただけでサッカーを知った気になっていたのは、我ながら浅はかだった。

しかし、なんだ。

Jリーグが誇る大迫と柿谷は、オランダとベルギー相手に、世界的な強豪相手に、大活躍したぞ!!!! Jリーグのどこがレベルが低いんだ!!

ルカクだろうが、アザールだろうが、ロッベンだろうが相手にならないぜ!!

……というのは言い過ぎで、ルカクのフィジカルは半端じゃなかった。アザールは途中で引っ込んでくれて本当に助かった。なんだあの身体のキレは。ロッベンのゴールは流石だった。とんでもない。

世界のサッカーのレベルは高い。しかし、日本のサッカーだって負けてはいない。

我々が考えるべきことは、海外に選手を送り出すことではなく、日本のサッカーのレベルを世界最高にすることなのではないだろうか。

そうすれば、代表選手はJリーガーだらけになる。我々は今よりももっと代表戦を楽しむことができるようになる。

無理? 不可能? 実現可能性は低くとも、ぼくはそういう夢がみたいな。外国で生まれた少年が「将来の夢はFC東京でプレイすること」なんて言われる日が来たら、日本人としてそれほど幸せなことはないのではないだろうか。

Jリーグはどうせ駄目だ、2流のリーグだと諦めるのも自由だ。しかし、リーガよりもプレミアよりも強力なリーグにするという夢をみることだって自由だ。そういう夢を描けると、Jリーグを観るのも俄然楽しくなってくる。

初観戦より1ヶ月強。わけもわからず巻き込まれる中で、Jリーグサポーター達の熱気に触れてきた。そして、Jリーグの面白さはわかってきた。Jリーグの良さがわかってきた。このリーグは悪いくない。世界に誇れるものだ。

しかし、今よりももっと良くなることはできるはずだ。このままでいいとは思って欲しくない。未来に夢をみたい。

Jリーグは金がない? 何言ってるんだ。日本は世界でも有数の金持ちの国だ。1億人以上の人口があり、世界2位か3位のGDPを誇る大国中の大国だ。本気になれば、絶対に負けることはない。

金で負けてるんじゃない、金を集めるシステムで負けているだけだ。それならいくらでも勝ちようがある。

大人達は日本のサッカーに夢を見て欲しい。そして、夢を叶えるために全力でシステムを整えるのだ。

なんかワクワクしてきた。


はとのすのJリーグ記事が本になりました!
序盤はブログ記事を大幅に加筆・修正したものですが、中盤以降はどこにも書いていないものが殆どです。

本の内容についてはこちらをご参照下さい。
前書きと目次の紹介『サポーターをめぐる冒険 Jリーグを初観戦した結果、思わぬ事になった』


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