東大に11年在籍した後、タクシードライバーになりました

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コロナ禍の厳しいタクシー業界事情が家庭持ちをちょっと救ってくれている

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物書きタクシードライバー
中村慎太郎

東京生まれ、東京育ち。タクシー乗務の合間にブログ記事やサッカー旅記事、タクシーエッセイなどを書いている。色んな事をやっているけど、一番忙しいのは家庭の維持のような気がしないでもにゃい。






タクシー業界は、コロナ禍での厳しい状況が続いている。先日、新宿二丁目でご乗車頂いた方も、お客さんが少なくて大変だと言っていた。


「二丁目で飲んだことなんですけど、僕でよかったらいきましょうか?」



そう告げると彼女はにっこり微笑んでこういった。



「あー、うち?!アハハ。うちは女の子専門だから!」


新宿の懐はなかなかに深い。

さて、コロナ禍でタクシー業界は瀕死の状態になっている。秋頃から倒産する会社の噂もちょこちょこ聞いていたのだが、何とか耐えていた会社も12月の売上を計算に入れていたのではないかと思う。

しかしながら、12月に入ったというのに、街を歩くお客さんはまばらなままだ。特に月曜日から水曜日、深夜の繁華街はさながらゴーストタウンのようである。

タクシー業界は常に人材不足で、ドライバー募集が常に行われている。ドライバーが十分足りているという会社はあるのだろうか。順風満帆に思えた業界No.1の某社の方に聞いたのだが、そんなところでも10人、20人の単位で退職者が出るらしい。

コロナ禍の前は、「月収45万円!!」という文字が躍っていたものだが、コロナ禍において月収45万円をコンスタントに稼ぎ、年収600万に到達している人はそれほど多くないことだろう。多くはないといってもいないことはないのがこの業界の面白さではある。

しかし、月収45万というのは、少し前ならばやる気さえあれば十分に狙える数字であったようなのだ。月収45万円ということは、月の売上額は概ね80万円くらい必要だ。12乗務の場合には、一日の売上が税抜きで6.6万円、税込みで約7.3万円くらい必要になる。

そのくらい稼げている人はいるのも間違いないのだが、ある程度経験があったり、業界No.1某社で「金の錦」を持っているドライバーであったり、ガンガンに攻める夜間専門のナイトドライバーであったりする。

「金の錦」というのは、聞くところによると高額の予約配車を取りやすくなるシステムのようで、選ばれた一部のドライバーにのみ与えられる特権だと聞いている。その会社の場合には、1日に10件近く無線配車が入ることもあるようなのだが、弊社(弊グループ)の場合には20時間車を流していても1回か2回入るだけなのでなかなか厳しい。

それでも稼ぐ人は稼いでいるのがタクシー業界の面白さではあるのだが、一頃に比べるとだいぶハードルが上がっているようだ。ぼくが研修を受けていた2020年の2月頃は、半年暗い経験を積めば月収40万を軽く超えると言われていたのだから。

確かにそうなんだろうと思うこともある。

コロナ禍の状況では、一日の売上額(営業収入)で6万円を超えるのはなかなか難しい。東京のタクシードライバーの平均営収は、今の状況だと3.5万円程度とのことなので、そのハードルの高さがわかることだろう。

しかしながら、乗務を始めて1ヶ月。右も左もわからない状態でタクシーに乗り始めた頃は、ぼくでも5万円超えを何度か出すことが出来たのだ。当時は、職安通りもわからなければ抜け弁天も知らない。バスタ新宿にも辿り着けず、西新橋交差点もよくわからず、医大通りと女子医大通りを間違えて手ひどく怒られるなどしていた頃だ。

地理はわからず、営業効率も悪いし、お客さんを探す技術もなかった。そんな状態でも、そこそこ稼げていたのだ。しかも、車は年代物のセドリックであった。

もし、コロナ禍の前の世界に、今の実力を持っていくことが出来たら、平均6〜7万は狙えないこともない。そんな気はする。何せ、夜の繁華街を歩いている金の卵こと、スーツ姿のサラリーマンの数が段違いだったからだ。

まぁまぁ、そんな昔の時代を嘆いていても仕方がない。バブル時代が戻ってこないのと同じように、コロナ禍前の世界ももう二度と戻ってこないかもしれないからだ。

そんな状態ではあるが、唯一助かっていることがある。それは、シフトである。

タクシー会社に休みはない。今年に関しては正月を休業にする会社もあるようなのだが、弊社は営業するようなので、1月1日は乗務である。

そんなタクシー業界ではあるのだが、今は土日が基本的に休みになっているのだ。というのも、タクシーの需要は土日よりも平日のほうが多いため、土日は休みにする会社が多いのである。

そのため、土日は概ね家にいることが出来ている。タクシーによる稼ぎはあまり多くはないのだが、それでもライターをしているよりはだいぶマシなので、気持ちに余裕を持って自宅でくつろぐことができている。

そういう父親を見ながら、子供達も楽しそうにしている。
なかなか遊びに行けない状況ではあるが、子供達は家に父親がいて、時々話しかけたり、ちょこっと遊んであげたり、おやつを買いに行ったりするだけで結構満足するもののようだ。

もう少し遊んであげるお金があったらいいんだけど、遊んであげる時間は確保しやすくなったから、子供達の幸福度は下がってはいないかなというところ。

本当はもう少し稼げるほうが家計は安定するし助かるんだけど、何とか暮らしていけるのでタクシー業界に感謝である。

稼ぎが少ないことに不満を持ち始めると、いくら稼いでも幸福感が得られなくなるので、とりあえず現状で幸福を感じよう。

もう少し稼げるようになったら、そのお金で幸福を買おう。幸福が増えるような使い方をしようというのが良い言い方だろうか。

ぼくは息子と一緒に大画面でPCゲームの実況をすることになっている。娘はもう少し大きくなったらデパートで買い物だなー。楽しみだ!!

いやー、人生って楽しいね!

中村慎太郎

東京大学文科Ⅱ類→文学部倫理学専修.
東京大学大気海洋研究所でアワビ類の行動を研究する.
その後、フリーランスライター/作家/ブロガーとなり『サポーターをめぐる冒険』(ころから)を上梓。サッカー本大賞2015を受賞.

現在はタクシードライバーをしながら、旅とサッカーを紡ぐウェブ雑誌“OWL magazine”を主催.

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