東大に11年在籍した後、タクシードライバーになりました

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Jリーグ サッカートピック サッカー論

そういえば昨年、日立台に行こうとして断念したのを思い出した。

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第33節、柏レイソルvsFC東京。

両チームとも優勝争いからは遠く、柏レイソルはホーム最終戦でセレモニーを行う予定となっており、FC東京の場合は勝てば賞金圏内に入れるかどうかが掛かっていた。

とはいえ、日産スタジアムで行われた横浜F・マリノスの優勝が掛かった一戦に比べると「消化試合」の色合いが強い試合だった。優勝争いの現場に後ろ髪を引かれつつも、この日柏レイソルvsFC東京戦に赴いたのかというと……

友人と観戦する約束をかなり前からしていたからというのが1つあるのだが、最大の理由は日立台の臨場感を体験してみたかったからだ。日立台は、日本で最も「近く」でJリーグが観戦できるスタジアムらしい。その圧倒的な近さから「恐怖」すら感じることもあるという。

他のスタジアムでは味わえない特殊体験ができるのは間違いないようだ。そう聞くと是非確かめてみたくなる。


ところで、柏レイソル公式サイトの座席図を見て、とあることを思い出していた。

2013-12-03_0658

価格表・座席表|チケット|チケット・観戦|柏レイソル Official Site

この図は、以前見たことがある……

ぼくがサッカーを面白いと感じ始めたのは去年のユーロ2012だった。それ以降、日本代表の試合やテレビでプレミアリーグやリーガなどを視聴し始めると同時に、猛烈な勢いでサッカーの練習を始めた。

研究を放り投げて、サッカーのことしか考えない日々が始まった。昼休みまでサッカーのことを考えて、1時間全力でフットサルをし、クールダウンしてサッカー本を読み始め、夜は筋トレをした後、ボールタッチとキックの練習を公園で行った。

そんな中、Jリーグにも行ってみようかと思い立ち、調べたことがあった。

横浜FC、川崎フロンターレ、横浜F・マリノスは自宅から行きづらかったこともあるが、東京生まれのため神奈川のチームは何か違うなと考えた。風間監督のメソッドを使って練習をしていたので、フロンターレにはずっと興味があったのだが、やはりちょっと遠かった。

当時柏に研究室があったため1番アクセスしやすかったのが、柏レイソルだった(柏の葉は目の前だったので、あそこでやっていたら100%観に行っていた)。よし、柏レイソルの試合に行ってみよう。と思い立って、チケットを買おうと公式ページを訪れたのだった。そんなことすっかり忘れいてたのだが、先ほど引用した日立台の座席表を見て思い出した。

なんでJリーグの観戦に行かなかったのか。

・そもそも出不精だし、土日も含めて殆どの日程が埋まっていた。
・研究生活のおかげで超絶極貧だった。
・周囲にサポーターが1人もいなかった。
・チケットの購入方法がよくわからなかった(ライブなどにも行ったことがないのでチケット全般が苦手)。
・初心者向けのガイドがなかった(あるのかもだけど、目につかなかった)。

などなど、色々あるがやはり最大のものは、「どの席に座ればいいかわからなかった」ことだ。座席表と値段を何度か見比べているうちに面倒になって途中で諦めてしまった。ぼくにもっと根気があれば、1年前に柏レイソルの「柏熱地帯」に行っていたかもしれない。

この4文字はよく憶えていたが、意味がわからなかったので躊躇する一因にもなった。それでも、1番チケットが安かったから、多分そこにいっていたと思う。ゴール裏が「あんな感じ」だと言うことも知らないし、そもそもゴール裏がサポーター専用だということも知らなかった。

初心者はどのチケットを買うべきか、もうちょい明示されていたほうがいいんだろうなとは思う。しかし、Jリーグ村内で完結してしまいヘビーユーザー(=サポーター)中心の商売になってしまう。

もちろん、ぼくにもう少し調べる根気があれば日立台に行くことが出来たとは思う。しかし、それほど観たいとは思っていないものを気まぐれで調べているという程度のモチベーションでは、簡単に挫折してしまう。

自分の経験に基づきこう改善したらいいのになというアイディアはいくつかあるが、書くと長くなるので書かない。

スタジアム観戦は諦めて、テレビで天皇杯を何試合か観たが、あまり強い印象は持たずに「やっぱりバルサだよ!」という結論に至った。テレビで見比べたら、なかなかバルサには勝てないよね。

もちろん、今となっては、「柏熱地帯」の魅力もよくわかるし、「また色んなゴール裏ばかりいって軽薄な野郎だ」という批判がこの世に存在しなかったら、黄色いユニを着て歌う体験もしてみたいと思う。しかし、それは知っているからこそ思うことで、外から見ていては決してわからない。

チャントだって歌いたくないよ。好きこのんで大勢の前で歌いたいと思う人なんてそんなに多くないよね。恥ずかしいじゃない。

「スタジアムに来れば、Jリーグの良さが必ずわかる!」

こういう言葉はよく聞くし、ぼくもそう思うようになったのだけど、矛盾をはらんだ言葉でもある。そこにいけば必ず楽しめると思っているから、わざわざ週末の予定を潰してお金を払ってまでサッカーを観に行くわけで、良さがわかっていない人はそもそも観に来ない。

サッカー観戦には時間がかかるし、お金もかかる。
家でネットでもやっていれば、お金もかからないし、家事を進めることもできるし、急な用事にも対応できる。

一方でサッカーを観にいこうと思ったら、スタジアムまでの距離にも寄るが、移動に1時間、試合前の待ち時間が1時間、試合が2時間、帰りに1時間と最短でも5時間はかかる。その上、ケースバイケースではあるが、交通費とチケット代を併せて3000~5000円程度かかる。

2,3回サッカー観戦に行くと、ディズニーランドとか温泉旅行などに行けるだけのお金を使ってしまうことになる。

Jリーグの魅力を説くならば、その負担額よりも大きな効用があることをロジカルに説明しないといけない。それが出来ない状態で、Jリーグ村の中でしか通用しない「Jリーグの面白さ」をいくら言ったところで、世間には永久に届かない。

というよりも、論理的に考えて、サッカー観戦のほうがディズニーランドよりも楽しくなることはないような気がする。もし、ロジカルに考えて、誰がどう考えてもディズニーランドよりもサッカーに行く方が「お得」だと考えていたら、Jリーグがあれこれ悩む必要もないのではないだろうか。

問題は、ロジックを飛び越えられるかどうか。スタジアムに行くのは理屈じゃない。サッカーが好きだし、サッカーを観ないと気が済まないから行くのだ。サッカーが好きなら、いくらチケット購入が面倒でも必ず買うし、スタジアムに来て自分なりの楽しみ方を探せる。長年観戦を続ければ、愛着が根付いてある意味怨念のようになるから、もう「来るな」と言う方が難しい状態になっていく。

だったら、問題は簡単で「サッカーを好きにする」ような試みをしていけばいい。けど、それが難しいんだろうと思う。サッカーを理解すれば好きになるかといえばそうではない。イケメンが好きならばいいというが、スタジアムで遠くにいるイケメンを観て楽しむのは結構高度な技術のような気がする。プレイヤーとしてやってみたらいいかもしれないが、そうすると土日の予定が埋まってしまう。

この問題には答えはあるのかなと考えて来た。方々のサポーター飲みに呼んでもらって、わけもわからず飲み続けながら、酔いどれの頭で考えて来た。その結果、最近になって1つの結論が出た。このへんの魅力がわかると人はスタジアムに行かずにはいられなくなるんだろうな、と。もう少し突き詰めて考えてみたい。

やっぱりこういう大事なテーマを自分で考えたら、ちゃんとした媒体に書かないと駄目だ。同じ切り口のものが出てくるとしたら、それはいいことなのかもしれないけど、「そうじゃないんだよ」感が募ってストレスが溜まる。

自分で責任を持って新しい流れを作るべきだ。

ぼくが偶然初観戦したことで見つけたものが、Jリーグ村の中で小さく発表されていき、村民達の自己満足で終わってしまっては、何も新しいものは生まれない。

より責任のある言説をしようと思えば、ブログを少しサボらないといけないね。もう少しプロフェッショナル寄りで書き物をしていかないと何も産むことができないし、ぼくの視点は誰かの視点にすり替えられ、薄まって力を失っていく。それは悲しいことだ。

初観戦記を書いていこう、「そうだ、Jリーグは面白いんだ!」と再発見している記事をいくつも見てきた。それはプロが書いているものもあるし、ブログレベルのものもある。いずれのものも村の外にまで突き抜けていく力はないように思えた。

本質を捉えればもっと強く訴えることができることを、現象の表面だけなぞって「Jリーグのいいところ!」なんて告知したところで、Jリーグ村の外には全く響かないのだ。

ぼくにしか言えないことがあるはずだし、ぼくが大声で主張することにはきっと公共性があるはずだ。

まずは、プロとして寄稿することから始めないといけないな…… 何を書いたらいいだろうと物怖じしていないで、ブログよりも優先して記事を出すようにしていかないといけないな……

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