「日本は本当に世界に通用しなかったのか?」footballista(フットボリスタ) 7/10・7/17のレビュー


Pocket
LINEで送る


日本代表がコンフェデ杯で3連敗をした。世の中には鬼の首を取ったか如くの「ザック解任論」が巻き起こった。中には中沢と闘莉王を戻せと叫ぶ人までみた(ウェッブ上で)。

スポンサーリンク

サッカーというのは不思議なスポーツだ。サッカーの戦術は非常に複雑だし、選手の能力や適性を見るのも簡単ではない。だから、サッカーの監督というのはとんでもなく難しい仕事で、人生の殆どをサッカ-のことだけを考えてきたようなプロ中のプロしかできない。

にも関わらず、サッカー監督は、サッカーのことを何も知らない素人からの猛批判を受ける。その批判を聞くと「俺がやったほうがうまくいく」とばかりの根拠のない自信を感じることすらある。兎にも角にも上から目線なのだ。

もしかしたら、「サカつく」のようなマネージメントゲームの難易度が異常に低いことが影響しているのかもしれない。サッカーで確実に勝つなんてことは、圧倒的な戦力差でもない限りはそう簡単にできることではない。

CBを変えろと主張する人がいる。ゲームならチアゴ・シウバとセルヒオ・ラモスを取って並べておけばいい。けど、日本中を探してもチアゴ・シウバはいない。完璧なセンターバックなど日本人にはいない。だから、いるメンバーで何とかするしかない。でも、それは世界中のどのチームを見渡しても同じことだ。

どのポジションにもフィジカルとテクニックに優れた選手を配置することが出来れば、それは間違いなく強い。けど、そんなことができるチームはない。日本の特性はなんだろうか、日本人にならできる戦いとは何だろうか、日本の強みとは何だろうか。

ザッケローニはそれを考え抜いた監督だと感じる(ザックを批判する人は当然ザックの書いている手記は読んでるよね?)。その日本らしさとは何なのか。

全員で自陣に引きこもり、鉄壁の守りを固めて、電光石火のカウンターで勝つことだろうか。長身CBがいないのに守りを固めて、俊足のFWがいないのにロングカウンターを狙うことは明らかに合理的ではない。

日本に出来るのは、素早さ、持久力、技術の高さ、世界的にも稀に見る空気を読む能力を生かして、組織的で技巧的なサッカーを仕掛けていくことであって、パワープレイに特化したところでとても勝てそうにない。

フットボリスタ内の分析では、中盤のクオリティでいえばブラジルよりも日本の方が上だった(けど発揮できなかった)というものもあったくらいだ。コンディションの問題もあったがイタリアを追い詰めたのも事実だ。イタリアが3失点もしたところを見たことがない。最近はスタイルを変えたつつあるものの、世界最高のディフェンスを誇り、W杯でも優勝したことがある国だ。

まず、日本が、日本らしさを出したサッカーをしてイタリアを追い詰めるまでになったことを評価したい。その上で今後のことを話さないとアンフェアだ。

負けたチームの選手や監督を上から目線で批判をしていれば、日常の鬱憤も晴れるのかもしれないが、それは知的な態度とはいえない。知性のある人間のすることではないと思う。

もちろん、批判はしていい。けど、正しく情報を集めずに単にネガティブなことを言うのは批判ではなくて、単なる怒気をはらんだ個人的な感想に過ぎない。

スポンサーリンク

日本には優れたサッカー雑誌が多いが、ぼくが愛読しているのが「フットボリスタ」。綿密な取材に基づいて、正しく理性的な批判をしている雑誌だ。例えば今回の号では、日本代表が負けた3試合について分析してるが、大御所の老人がザッケローニ批判をし続けるというようなアプローチは取らない。

まずは、1人のジャーナリストが3試合について詳細な分析をする。その一方で、対戦国のジャーナリストにも取材をして日本代表をどう見たかについて分析させている。
さらに、4人のジャーナリストに対してのインタビューを行い、日本代表の戦いと今後についての分析をする。最後にブラジル人で指導者でもあるジョルジーニョへの総括的なインタビューを行っている。

これだけの人からの意見を集めると様々なものの見方ができる。交代枠の使い方については、非難する人もいるし、「チーム内のことは誰もわからないから何も言えない」という姿勢の人もいる。また、敗戦したため支持こそはしていないものの、ザックの切ったカードとデルボスケの采配の共通点を指摘した人もいる。

日本代表の今後については意見が多く分けて二つある。Wカップまで後1年という状況の下で、「守備的な戦術に変更する」のか「攻撃的なパスサッカーを貫く」のかだ。

フットボリスタでは、沢田氏はディフェンシブに戦うことを提案しているし、後藤氏や西部氏は前から当たっていくことを推奨している。論拠は各自確認して頂きたい。

サッカーを語るのはとても楽しいことだが、自分の主観だけを不機嫌に書き連ね、まるで自分が識者になったかのような顔をしている限りは、サッカーという複雑なスポーツを理解するだけの知性は得られないだろうと思う。

今月号のフットボリスタは日本代表の特集が半分以上のウェイトであるので、とてもお勧め!!

(ちなみに特集2は、リーガの選手が各国リーグに散っていく大バーゲンぶりについて。こっちは中級者以上向け)

週刊 footballista (フットボリスタ) 2013年 7/17号 [雑誌]

スポンサーリンク