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作家になって書籍の印税で1億円稼ぐ!!

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印税で1億円稼ぐという本を読んだので、書評・感想をまとめました。

テーマはずばり「書籍で印税を稼ぐこと」です。

そして、前提として書くのは、ぼく自身も1冊の本を上梓しています。そして2回増刷しているので、自分で言うのも何ですがまぁまぁ良い売れ行きです。

しかし!!そんなに儲かってはいません!!ましてや印税ぐらしなど程遠いです。

そもそも、印税がはいるというと、あぶくぜにがたっぷり入ってくるイメージがありますね。そして、1億円くらい軽く行くんじゃないかというイメージもあると思います。

印税で1億円稼ぐというタイトルだけ見ると、手軽に大金を稼ぐ方法のように思えてきます。そして、アマゾンレビューを覗いてみると、そういった期待をして購入した人が「残念です」という感想を書いています。

それもそのはずです。この本は、稼ぎ方の本ではなく、「生涯、作家活動するためのノウハウ本」だからです。

そもそも印税で1億円稼げるものなのか

まずはそこから考えてみましょう。

作家活動を続けられるのは何年でしょうか。
ぼくの場合は32歳から始めて、仮に72歳までの40年間活動するとします。そして、合計1億円の印税を稼げたとする場合、1年あたり250万円という計算になります。

「東洋経済オンライン」によると、主な上場企業3238社の生涯年収は2億1350万円とのことです(ちなみに、ランキングトップの「キーエンス」は6億1561万円です。顕微鏡を研究室に売りに来ていたあのおじさんたちは、高給取りだったのでしょうか)。

最新版!「生涯給料」トップ500社 | ランキング | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

学歴や勤続年数によっても当然異なりますが、公務員の場合には2億5000万円ほどと推計できるそうです。

公務員の生涯年収とサラリーマンの生涯賃金 | はじめて個人年金保険

さて、話を戻します。印税で一億円稼ぐということは、累計100万部ちかくを売り上げている大作家です。というのも書籍の印税というのは、8〜12%くらいのものです。本が1冊1000円なら100円が印税で、2000円なら200円です。もちろんこれは契約次第なのですが、おおむねこの範囲におさまるようです。例外的に高い作家さんもいるかもしれませんが、印税をあげると他にしわよせがいくので、初版から大量に刷るような大作家を以外にはそうそう起こらないことではないかと思います。

つまり、100万部を売り上げた大作家であっても、印税だけでは公務員の生涯年収には届かないということになります。もちろん、講演やメディアへの出演、原稿料などもあるので、生涯年収で考えるともう少し大きくなります。

ということで、印税で1億円稼ぐことは、作家として生きていくための非常に現実的な目標です。そう認識した上でこの本を読んでいく必要があります。つまり、1億円というのは生涯年収の話なので、1億円は決して大きい金額ではないとういことです。

そしてこの本は、「生涯、作家活動するためのノウハウ本」です。そのため、文筆業をして生きていこうと思っている人以外にはあまりに役に立たない本と言えるかも知れません。もっとも、まったく知らない世界の話が詳細に書かれているという意味ではエンタメ本として読むことも出来ると思います。

古いサザエさんに、マスオさんが休日にデスクに向かって計算しているので、サザエが「あなた、えらいわね」という顔をしてお茶を持っていくと、ベストセラー作家の印税額を必死に計算していただけで、仕事ではなかったという落ちが付くエピソードがあります。

作家がいくら稼いでいるのかは、確かに興味深いことでしょう。この本では、単に金額がいくらなのかという以上に、どういう仕事をしているのかまでわかってくるので、タイトルだけみると少しジャンクに見えますが、なかなか奥深い本です。奥深いと言っても難しいわけではなく、字は大きめで、文章も平易です。

楽して稼ぎたい人は、(作家活動に)最も向いていない。

「楽して稼ぎたい人は、一冊書いて割に合わないと知って去って行く。」
 
「こんなに好きなことをさせてもらっているのだから、効率の悪さは仕方がないと思う人はセンスがある」

ぼくとしては、楽ではないとは思っていましたが、ここまで大変だとは思っていませんでした。だけど何とかふんばろうと思っています。2作目については、何十回も書き直したものの、出版するクオリティには仕上がりませんでした。しかし、書くことをやめようとは決して思いません。

「売れなくてもいいからいい本を書きたい」は戯言

「売れる本がいい本なのだ。本は売れてナンボなのだ。」

これは強く実感することです。売れない本を何冊か出したら、もう二度と本は出せなくなってしまうことでしょう。ただでさえ出版不況だし、最近は作家を育てるという発想を持った出版関係者も減ってきていると聞いてます。だから、作家業をやっていこうと思う者は、すべて真剣勝負です。自分のすべてを懸けて、魂を込めて書き上げる必要があります。

nobull / Pixabay

一冊目に、一点の曇りもなく自分の全てを注ごう。

「処女作に10冊分の魂を込めた著者は、この先10冊は書ける。」

「処女作に1000冊分の魂を込めた著者は、この先1000冊は書ける。」

ぼくは、『サポーターをめぐる冒険』に自分のすべてを懸けました。魂を込めて書きました。何度かスカスカになって、何も書けなくなって、それでも自分を追い込んで追い込んで、絞り出しました。

ぼくは何冊分魂を込められたでしょうか。1冊分だけということはないと思っているので、回り道をしたとしてももう少しいけると思っています。

・大手出版社より、中小、中堅出版社。

ぼくの本を出版してくれた「ころから」さんは、3人でやっている出版社で、中小どころか「最小」の部類です。そういった小さい出版さんから本を出せたこと以上のことはなかったと思っています。

これから大手の出版社から声がかかって、大きな企画をするということはいまいち想像できていなません。作家人生が長く続けられたら、色々なご縁はあるだろうけど、やっぱり小さな出版社と二人三脚でやっていく方式が、ぼくには性に合っているのかなという気がしています。

以降、増刷についての考え方や、販促、収入についてもコンパクトにまとめられている。この書籍に書いている内容を総合すると、ぼくの作家人生は非常に順調に滑り出していることがわかりました。そういう意味でも読んで良かった本です。

と、同時に自分の課題も見えました。著者によるプロモーション、特に書店へのプロモーションは不足しています。本当は、自分が営業マンになるくらいの気持ちで頑張る必要があります。

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売れっ子になっても締め切りを守ることが最高のブランド

「確かに作家というものは書けない時には書けない。
泣こうが喚こうが逆立ちしようが、書けない時にはひたすら書けない。
アイデアが尽き果ててノイローゼになって死んでしまう作家もいる。

それでも敢えて私は言いたい。

どんな職業でも締め切りを守れなくなったら、もはやプロではない。」

 
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ひええええええええええええええ……

ぐうの音もございません。ただ、書籍原稿の締切が守れないというのは書ききるだけの実力とアイデアが足りていなかったということです。そこから必死に再起動することは必要ですが、再起動したからといって出来るようになるわけではありません。

ライターの記事は一応ちゃんと締め切りを守っています。どこかで書こうと思っていますが、作家とライターとブロガーは、同じような職種に見えますが、まったく違います。

ブロガーの本はあまり面白そうに見えないものが多いです。ノウハウと成功体験記を出版した後は何もできなくなってしまいます。ブロガーはブログを書く仕事をしているのであって、本を書く仕事をしているわけではないからです。

そういった文脈でいうと、ぼくは作家としては1つしか結果を残していないド素人です。ライター業は割と得意ですが、一番適正があるものではありません。そして今は、作家とブロガーのハーフ&ハーフを目指しています。実はこの記事、最初に公開したのが2015年5月なのですが、2018年11月に加筆修正をしています。

ブロガーから始まって作家デビューしたのに、作家としての仕事に頓挫し、ブログもあまり重視しなかったため、ライター業だけで何とかしているのが現状です。作家として1億円稼ぐというのは、今でも考えていることではありますが、久々にこの記事に触れてみると、なかなか狂った世界だと思う次第です。

一番才能が必要で、努力量も求められる「作家」が一番儲かりません。それでもやりたい人がやる分野ということですね。とにもかくにも大変な作家業の世界、そのリアルなお金の話と、最後に残る根性論が知りたい方は是非この本を手にとって見て下さい!

ついでに見つけたこの本、すごく面白そうです!!

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