東大に11年在籍した後、タクシードライバーになりました

はとのす 

その他 ブラジルW杯紀行 書評

パクられ炎上中の村上アシシ本『ブラジルワールドカップへの行き方』について

更新日:

Tweet
このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket
LINEで送る


サッカー界の炎上男こと「村上アシシ」氏(良い意味で!)。
6月刊行予定の新著『サポーターをめぐる冒険 Jリーグを初観戦した結果思わぬ事になった』においても、「アシシ砲」によって、このブログのサーバーが完全に機能停止したエピソードを紹介しているが……

今度は、「村上アシシ」氏のブログ「Endless Journey」のサーバーが落ちている。
聞くと、同時にアクセスしているユーザーが300名を超えているそうだ!(ちなみにぼくの時は500名近かった!)

騒ぎの元になっているのはこちらの記事。
ゴマブックスに僕の原稿が丸々パクられました。

大雑把に言うと、「ゴマブックス」という出版社が、Yahoo個人の記事や、電子書籍の内容を完全に持って行った上に、わずか50円の「ジャンク電子書籍」として発売したため、アシシ氏「激おこぷんぷん丸」。

それを見た、ぼくも含むサッカー仲間達も、ぷんぷん丸。

剽窃行為には断固たる戦いを挑むべき

何かを作るというのは非常に辛い作業で、自分の今までの人生、自分という存在そのものを「切り身」して並べる必要がある。

パクりを容認してしまうと、情熱を傾けて作品を作ろうと考える人がいなくなってしまう。これは大きな損失だ。それに、ぼくも表現者の端くれなので、今回は強く憤っている。著作物に対するパクりは「この世で最も悪質な犯罪」の1つだと断言したい。

ぼくの場合は、直パクりの被害にはあっていないものの、軽度のものならあった。訴えるほどではないし、訴えても駄目なレベルだが、それでも未だに腹が立っているくらいだ。これは本当に許してはいけないことなのだ。この件については、ぼくも「燃やす側」に立つと同時に、ぼくの著作についても同様の被害があった場合には、断固として戦うことを宣言したい。

肝心のアシシ本の内容は?

さて、騒ぎについてはこのくらいにして、「パクられ元」の電子書籍の実力はどの程度のものなのか、ご紹介したい。
この電子書籍の肝は、著者が、「実際にブラジルに下見に行って、痒いところに手が届く現地情報を公開している点。

世に旅行ガイドというのは数多くあるが、ことブラジルガイドになると非常に少ない。ほとんどないと言ってもいいレベルだ。というのも、片道あたり25~30時間程度かかるため、一般的な社会人は休暇にブラジルまで行こうという気にすらならないためだろう。

往復だけでほとんど丸3日なくなるわけで、休暇の短い日本人には厳しい国だ。その上、圧倒的に広大な国土の割りには、観光名所が豊富とは言いがたく、また、治安状況も非常に悪い。

そういった事情から、現地情報が非常に少なく、ブラジル在住の日本人からの情報を細々と集めるしかなかった。

そんな状況であった上に、W杯の際には「特殊な状況」になることが予想される。というのも、スタジアムは新設されたものが多く(全部?)、アクセス状況や周辺の治安などについての情報は皆無であった。すなわち、「W杯の時の現地情報」については、地球上の誰に聞いてもわからないのが現状なのだ。

月に殺人事件で400人が死亡するという恐ろしい情報しかない町レシフェに、大挙して日本人観光客が押し寄せた場合には、最悪の事態も十分に想定できる。たとえば、試合後にフラフラとそのへんを歩いていると、高い確率で強盗に遭うだろう。安全な日本とは全く違う状況なのだ。

著者のアシシ氏は、「サポーターのためのサポーター」を標榜していて、危険に遭う日本人が1人でも減るように、入念に下見をしてきている。事情をよくわかっていない人は「金儲けのため」と非難する場合もあるのかもしれないが、どう考えても日本国内で仕事をしているほうが効率はいい。

このたびの電子書籍の内容は、日本のサポーターの安全を祈った上での、「非常に公共性が高い」ものなのだ。

具体的にどの点が素晴らしいのかというと……

1.旅のワクワク感とノウハウ

この点については、ブラジルに行かない人にも強くお勧めできる内容だ。知人(ブラジル行かない、一人旅大好き)はこんな感想を言っていた。

「著者が旅好きであることが伝わってきて強く共感できる。知らなかった旅のメソッドが公開されていて、非常にためになった。読んでいると旅に行きたくなる。」

ぼくは、「旅好き」とは言いがたいタイプなので、この感想はなかった。でも、言われてみるとわかるような気がする。著者が、ブラジルの町を「メモ片手」に歩き回っている「冒険感」はよく伝わってくる。そういう意味でも面白い本。

2.W杯時のブラジルの事情に特化している

レシフェ、ナタール、クイアバという日本人に全く馴染みのない三都市について、詳細かつ役に立つ情報が公開されている。感心したのは、飲食店の情報まで紹介されていること。こういうのを読んでいるだけでも楽しいという人もいそうだ。

ブラジルに行く人は必読だけど、行った気分になりたい人にもお勧めできる内容になっている。

……本当にベストなのは、危険すぎる現地にはいかないで、おうちでこの電子書籍を読んで「ブラジル気分に浸る」ことかもしれない。これは、かなり本音に近い感想。

1000円は行かない人にはちょっと高いかなという気もしたが、現在「炎上特価」で35%オフ! パクられた悲しみと怒りから「炎上の鬼」と化した、アシシ氏のためにも一冊ポチってみてはいかがだろうか。

-その他, ブラジルW杯紀行, 書評
-,

Copyright© はとのす  , 2022 All Rights Reserved.