先週末、久しぶりにサッカーをしてきた。
そう、フットサルではなくてサッカーだ。
最近はフットサルなら比較的いつでも出来るようになってきているが、サッカーをする場というのは未だに貴重だ。ぼく自身も40歳以降になったらシニアサッカーチームを作りたいと思っているくらいなのだが、場所とメンバーの確保がなかなか難しい。
最低でも11人が必要だし、毎回全員が来れるとは限らないから20人くらいは欲しいところだ。そう考えるとなかなかしんどい。ともかく、そういう事情もあって、サッカーは1年以上していなかった。
そもそも、サッカーというのは自分にとって遠い競技で、あの広いフィールドでボールを追った経験は実はあまりない。昼休みにやるのはフットサル、友達との集まりもフットサル、たまに公園で遊ぶのもフットサルボールだった(※ フットサルボールは小さく、はずまない。サッカーボールは大きく、よくはずむ。)。数年前に始めてサッカーボールを使った時にはハイボールが全く処理できなくて驚いたものだった。
フットサルだと基本的にボールは足下に転がっているものだったからだ。
紆余曲折あって、最終的にはフットサルよりもサッカーのほうが面白いという結論に至った。フットサルは「チーム戦術」と「個人技」が重要なのだが、サッカーでは「個人戦術」が重要だ。
もちろん、サッカーでも「チーム戦術」は重要なのだが、ぼくがプレイするような草サッカーでは監督から戦術を支持されるということはない。フォーメーションとシステムだけ決めたら、後は個人の裁量で勝手にやるだけだ。「個人技」が大切なのはもちろんだが、草サッカーでは個人技だけが高いドリブラーが逆に足を引っ張ると言うことはよくよくあることだ。
重要なのは、個人が戦術的な思考をすることだ。どこのスペースを埋めるべきか、どこで受けるべきか、どこにパスを出すべきか、ドリブルをするべきか。誰をマークするのか、リトリートなのかハイプレスなのか、コーナーキックに対してはマンツーなのかゾーンなのか(!)。
ぼくが前にいた研究所のサッカー部では、コーナーキックに対してゾーンで守るのかマンツーで守るのかが決まっていなかった。けど、こういうのが実に草サッカーらしいな、と思う。
というわけで、プレイしていたレベルは低いし、回数も非常に少ないのだけど、足下の細かい技術が要求されるフットサルよりもサッカーのほうがぼくにとっては熱い競技だった。だから、サッカーがやりたいのだ!!!
といいつつ1年間全くプレイできずにいた。
そして、ついに先週末。久しぶりにプレイする機会があったので、報告……というよりも反省の文章を残そうと思う。
旧はとのす(既に消去)では、昼休みのサッカーの反省文を毎回書いていた。自分でプレイした内容を、文章にするという作業をすることで、練習内容が無駄にならずに脳内に定着していくような気がしているのだ。
今回のサッカーは、サッカーコンサルタントであり、近日FC東京へのレンタルバックでの加入が決まった幸野志有人選手のパパ君であられる幸野 健一さん(@footy_ken)に誘って頂いた。
25分×3ゲームを1試合とする練習試合形式だった。
しかし、誤算があった。あまりにもレベルが高すぎたのだ。部活経験も(ほぼ)なく、久々にサッカーをやる「下手の横好き」のぼくが混ざって良いのか疑問に思う程だった。
正直言って、今まで上手いと思っていた人が全員下手クソに思えたくらいだ。もう洒落にならないくらいみんな上手い。試合前に4-1で鳥かごをやったのだが、ハイレベルすぎて全くついていけなかった。気圧されてしまってミスが続出するわ、鬼になったら全くボールが取れないわ……
鳥かごを作っている選手の中に、明らかに図抜けている選手がいて、全くボールが取れそうな気がしない…… 目の前まで詰めているのに余裕で左右のフェイントを繰り出され、こっちが右に重心を傾けた瞬間に左側をパスが抜けていく。何度やっても同じだった。
こっちの重心移動を観察して、その変化があった瞬間に身体を動かすことができる。これはプロの所行だ……
と思ったら、本当に元プロ選手の方だったらしい。お名前を出していいものかわからないのだけど、9年間のプロとして活動し、J1のクラブでも得点を取っている選手だった。
そりゃ、ボールは取れないよ。
そりゃ、無理だ。納得した。無理なものは無理だ。何度やってもボールは取れないだろう。足下の技術が高いというだけではなくて、反応速度が違う。
ええい、連邦のモビルスーツは化け物か!!と思わず叫びたくなるレベルだ(言いたいだけ)。
ともかく、今回は敵ではなくて味方だから良かった。他にもプロの方が1名、プロに混ざってトレーニングをしている方が1名、詳細はわからないけど尋常ではなく上手い方もたくさん、という超豪華メンバーに混ぜてもらうことになった。
ぼくのポジションは……
ゴールキーパー
久々のサッカーだから、ゴールキックやパントの練習をおかないといけなかったのだが、試合の10日ほど前にももを打撲し、何とか動けるようになったのが当日だった。明らかに練習不足。冷や汗がでてくる。
敵に対しては萎縮することはなかったが、情けないことに味方に気圧され緊張してしまった。
そんな状態で迎えた1試合目。
ゴールキックは飛ばない。最初から諦めて短く繋ぐことにした。
パントは流石に出来るだろうと思ったら激しくミスをしてしまった。パントの失敗って人生で始めてしたなぁと思いつつ、3連発でミスキック。低い弾道でボランチあたりに落ちるという。
もう冷や汗しか出てこない……
GKというポジションは本当に過酷だ。他のポジションは「加点法」で採点されるのだが、GKは「減点法」で採点されるような気がしている。ミスが許されないポジションなのだ。それなのに、ミスから入ってしまったことの絶望感といったらない。
こちらのチームも上手いのだが、相手も上手い。フィールドのすべてがぼくの知らないレベルで行われている。そして、相手のフォワードが、右斜め前方で最終ラインを抜けてくる。味方も1人競っている。
これは……
どうする?
1.飛び出す
2.待ち構える
味方が競っているから大丈夫だ! ここは、1歩だけ前に出て、ニアは潰す!!
と思ったら、あっけなくファーに流し込まれて失点。
…………まぁしょうがない。今のは前に出るべきだっただろうか。ディフェンスがうまくプレッシャーかけられていなかったのかもしれない。あのフォワードは要注意だ。
……
……
と思ったら、またもや同じようなシーンが訪れる。ラインの裏へ抜けるパスが出て、さきほど得点したフォワードが走り込んでくる。失点後は、少し前よりにポジションを取っていたため、パス自体をカットできるかもしれない。しかし、間に合わずにかわされれば失点の可能性もある。
どうする?
1.飛び出す
2.待ち構える
飛び出す!!! この距離ならボールに触れる。 パスカットだ!!!
と思って飛び出したら、相手のフォワードの足が想定以上に速かった。これは駄目だ……と思った時には右側を抜かれて、無人のゴールにシュート……
……うーむ。
今回はディフェンスを信頼して、待ち構えるべきだったのだろう。いずれにせよピンチには違いないが、ギャンブルをするべきではなかったのかもしれない。ついさっき「待ち構えた結果の失点」をしてしまったことから、「飛び出す」の判断のプライオリティが上がっていたようだ。
最初の失点は、「GKはノーチャンスだった」と割り切るべきだったのかもしれない。
2失点。
25分が終わり、ベンチに戻るのが嫌だったが、仕方がない。次で挽回せねば!!
失点の要因は、相手のフォワードの足の速さやテクニックを事前に把握していなかったせいだ。これは試合中に注意深く見ていれば情報が取れたはず。
フィードがうまくいかないのはもうしかたがない。今日中には修正できない。スローを使っていこう。足下にさえ届ければ、こちらの選手がボールを失うことはそうそうないのだ。
そして迎えた二本目。
先ほどのゲームの反省を活かして、こちらは布陣を変えたようだ。中盤でもたつきカットされてから、縦に通されて決定機になってしまうことが多々あった。そうならないように、調整したようだ。
ぼくはまだ味方の選手ですら誰が誰やら状態だったので、どういう修正があったのかはすぐにはわからなかった。
2試合目は緊張も取れてきていて、身体も暖まり、良い集中が出来ていた。だから、細かいことはあまり覚えていない。
しかし、再び訪れる相手の決定機。
要するにゴールキーパー、大ピンチ。
中央をフォワードに突破され、こちらのディフェンスも一応ついてはいるものの、実質上キーパーと1対1という場面だった。
どうする?
1.飛び出す
2.待ち構える
飛び出す!!!
PKのキックエリアあたりで1対1になる。フォワードが左に切り返して抜きにかかった。
そこで横っ飛びをしてボールに飛びつく!!
……
……
届いた!!!!!
ボールが何とか手に収まって、1対1を止めることが出来た!!
しかし、攻撃はここからだ。即座に立ち上がり、左サイドバックの前のスペースにボールを投げる。
その球がカウンターの起点になった。
何本かボールが繋がると30秒後にはこちらのゴールが決まっていた。
おお!キーパー大手柄じゃないか!!
結果的に、-1点を+1点に変えたのだから、これは胸を張って良いのではないだろうか。そうすると気が楽になり、その後は割とうまくプレイできたのではないだろうか。
2ゲーム目はこちらのチームが優勢になり、3-0で勝利した。
無言でベンチに迎えられた先ほどとは違い、「ナイスセーブ!!」「ビッグセーブだったね。」「あそこから一点取れたね!」などと暖かく迎えてもらえた。ようやくチームに入れたような気がして嬉しかった。
最終戦は右SHとして出場。1-1で引き分けで、3試合の通算でこちらのチームが勝利となった。
元プロ選手から飛んでくるサイドチェンジの球が素晴らしすぎて涎が出た。パスが飛んでくる途中に、その軌道と回転が気持ちよくて「うへへ」と思えたのは貴重な経験だ。
しかし、練習不足が祟り、縦に抜いていくことはできない。あのサイドバック相手なら勝負したら勝てたと思うのだが、ボールコントロールが悪かった。練習不足、残念だ。
最後のコーナーキックで、「触ればゴール」というボールが飛んできたのだが、ポジション取りが甘く、ゴールできず。残念だが、仕方がない。これを決めていればもう少し気分良くなったのだが、そうもいかないのがサッカーなのだ。
1年間、広いところでサッカーをしていないだけで、ここまでボールが蹴れなくなるものかと自分でも呆れた。ゴールキーパーも最初のほうは冷や汗が出続けて死ぬかと思った。
しかし、うまくいかなかったとしても、広い緑のフィールドでボールを追いかけるのは楽しい。全く上手くは出来ないが、サッカーはとても楽しい。フィールドプレイヤーとして出場すると、あっという間に息切れして苦しくなる。それでも楽しくて仕方がないから早くボールが転がってきて欲しいと思い続けた。楽しかった。フットサルでは味わえない楽しさだ。
誘ってくれた幸野パパは、もう50代なのだが、フィールドに立っている。
「親の世代、おじいさんの世代が、フィールドに立っている姿を見せ続けることでサッカー文化は成熟していく。だから、日本のサッカーが本当に強くなるにはあと80年かかるかもね」
と、笑っていた。
そう考えると、32歳のぼくなんかまだプレイヤー人生が40年は残っているのだ。これからもっと上手くなれるし、もっとサッカーを楽しめるだろうと思う。
もう少しボールを蹴ろう。
自由なのだから、昼の公園で1人でボールを蹴ることも出来る。
ゴールキック → 走ってボールを取りに行く → ゴールキック → 走ってボールを取りに行く(以下永遠に続く)
という練習方法ならスペースさえあれば練習できる。こういうのをやらないとダメだな。とにかく遠い距離に届かせるキックの練習が必要だ。
というわけで、久々にサッカーをやって面白かったのでねじを巻き直して練習&勉強をしていこう。
さしあたり、昔読んだこの本を読み直して復習! この本、GK本だけど、FWの人にもいいような気がする。