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信念 執筆関係

小説家になるという夢を未だに持っている男、中村慎太郎

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ぼくの夢は、小説家になることです!!

そう叫んだのは12歳の時、小学校の卒業式であった。恐ろしいもので長男が同じ小学校に入学し、あの時歌った校歌をもう一度歌う機会を得た。不思議な話だ。本当に不思議。

長男の後ろの席に座っている子を仮にA君と呼ぶ。そのA君のお父さんはよく知っている人物だった。26年前の卒業式の時に、彼も同じように夢を叫んだのだ。

彼の夢が何であったかは忘れてしまったのだが、要するにかつての同級生である。ぼくと彼が席を前後にしていたのと同じように、息子通しが席を前後にしている。人生は小説より奇妙なりという言葉があるが、まさしくその通りだなと感じる。

小説で書いたら狙いすぎだなという設定であるが、事実の説得力の前には沈黙せざるを得ない。

実は小説を書こうと思っている。

やはり小説が書きたいのだ。

これまで文章を書いてきたのは、小説を書くためのウォームアップではないかという気もする。とはいえ、今までやってこなかった創作に手を出すのは決して簡単ではない。

さらにいうと、脳の状態が万全ではなかったことから、プラスαの挑戦をするのが難しい状態がずっと続いていた。要するに生きているだけで精一杯だったので、それ以上のことが出来ないのだ。

先日。昼の間は原稿を書き、育児・家事を終わらせ、寝付かせるのは妻にバトンタッチをした。その後2時間ほど自分のための時間を持つことが出来た。そこで何を思ったか、小説を書き始めた。

書いたと言っても冒頭のさわりだけで、かなりの高確率で没原稿になるので、ここに掲載してしまおう。

冒頭だけ書いた後は設定をどうするかについてノートに書き殴りを始めた。

その男は、しゃがみ込んでいた。

打ちひしがれていたわけではない。

絶望しているわけでもなかった。

男は、人差し指を地面につけて、軽くなぞる。

人差し指を口につけて、ペロリと舐める。

小さく頷いて、少し微笑んだ。

今日の塩もいいぞ。

ただ、カタールはどう出てくるかな。

男は立ち上がって、少し微笑んだまま空を見上げた。

その笑顔からは、何も感情を読み取ることが出来なかった。まるで、能楽のような不思議な含みのある表情だった。

塩作りの匠、森保一。

間違えた!!これじゃない!!

これは塩のやつだ!!

正しくはこちら。

その世界には、ある日突然迷い込む。そういうものらしい。

霧に包まれるように周囲が白くなり、その白いだけの時間が延々と続く。1時間、3時間、10時間……。大声を出しても反響することなくどこかに吸い取られていく。足を前に進めることは出来るのだが、ほんの数センチ先も見えないくらい視界が悪い。そのため、足先はもちろんのこと、指ですら見えない。目の前まで指を持ってくるとかろうじて少し視野が暗くなる程度だ。

その小さな変化によって、俺はまだ死んでいないことを知る。死んではいないが何もすることも出来ない。思い切り駆け出そうにも、前が見えない状態では恐ろしくて進むことも出来ない。いや、怖いから進めないというよりも、進む気にならない。この状況を変えようという気にならないのだ。時間の感覚はとうの昔に失われていて、唯一出来ることは何時間経ったのかを推測することだった。

俺という第一人称が書いていてまだしっくりきていないので、何かを直さないといけない。それは表現なのか、文体なのか、あるいは書き手である自分のメンタルセットなのかはわからない。しっくりいくまで取り組む必要がある。

そして、冒頭は大切だが、冒頭などどうでもいいのだ。収穫はこういったタイプの冒頭なら無限に書けるだけの筆力がついたこと。ただ、それより大切なのはキャラクターであり物語である。そこを描けるかどうかは……。正直不安だ。けどやってみたい。やってみたいのだ。

夢だったから?誰かを楽しませたいから?

なんでやりたいんだろうか。その理由は自分でもよくわからない。

けど、小説が書いてみたい。

noteで公開しようか。どこかに投稿しようか。あるいは知り合いの編集者さんに見てもらうのか。とても悩むのだけど、何が正解ということもないのかもしれないな。

ただ書き始める前に六韜と孫子を読まないと話にならないなと思う次第。そいう戦闘が書きたいのだ。

こういう生活とか、稼ぐとかいうことと関係がない方向でクリエイティビティが使えるようになったことを考えると、だいぶ状況がよくなってきたのかなという気がする。

この文章は15分弱で書くことが出来た。調子がいいとそんなものなのだ。

この後は、今治の原稿を仕上げる。本当に沼原稿で、書いても書いても終わらない、というかしっくりこないので全然進まないのだが、今日は必殺の気合いで書き上げたい。

こちらは、小説の書き方に特化した書籍で、非常にためになった。著者の豊富な経験が説得力を生んでいる。本の山から探し出してきてもう一度読みたい本。

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