東大に11年在籍した後、タクシードライバーになりました

はとのす 

サッカー論

【筋トレサッカー観戦】サウサンプトンvsリヴァプール 2017-2018【No.01】

更新日:

Tweet
このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket
LINEで送る


筋トレサッカー観戦を始めよう!

筋トレ。

サッカー観戦記事にこんな副題をつけてみた。

占い師の石井ゆかりさんが、筋トレというサイトをやっていて、そこでは非常に示唆的な占いを無料で読むことが出来る。

筋トレ

ログが見つからなかったが、確か、石井さんが日々占いのことを書いておき自らを鍛えるため、つまり「占い筋トレ」をするために書き記しているというような趣旨であったように思う。

石井さんを見習って、筋トレとしてのサッカー観戦記事をブログに書いていこうと思う。

ぼくはサッカーについてそれほど詳しいわけではないので、試合のレビュー記事を書いても「革命的な記事」にならず、月並みなものになるのは自明である。

というわけで、サッカーについては、書籍原稿以外は書かないと決め、専念していた時代があったのだが、なかなか筆が進まず、いつの間にかどん詰まりになってしまった。

狙いすぎてシュートが撃てなくなるという状態である。

ちょっとした表現、言い回し、ロジックの運びなど、普段からサッカーについて書いているほうがきっと楽だろうなと今になって感じている(とはいえ3年前の時点でそれが出来たかというと不可能であっただろう)。

「たいして詳しくない人のたいして深くない記事」

思えば、これがぼくの特徴でもあり、持ち味でもある。しかしながら、こういった記事を有意義で印象的なものにするのは、とても難度が高い。そのため、日常的に筋トレをしておく必要があるのだ。

最初は手探りになるだろうが、のんびりやっていこうと思う。

大切なのは継続すること!!

というわけで100回はやる!!

絶対にやり通す!!!

この筋トレシリーズは、とりあえず今年は、FC東京とリヴァプールFCについてのレビューを中心に展開していく。他のJクラブについて書くのも勉強にはなるのだが、例えば「浦和vs鹿島」について書いた場合には、何をどう書いてもめんどうなことになるように思う。

とはいえ、燃えてくれたらそれだけ広まるということなので、機会あれば恐れることなくやっていきたい。サッカー記事を書くために必要なのは、いや、サッカーに必要なのは知性と勇気なのである

サッカーがよくわからない

ぼくにとって、すべての出発点はサッカーという競技、あるいは文化がよくわからないことであった。

だからこそ面白さを感じて、取り憑かれるように学んだのがきっかけであった。それは一種の逃避であった。当時は大学院暮らしであったのだが、先に進むも、退却するのも出来ないくらい混乱していたのだ。だから、全力で逃避先であるサッカーと向き合うことになった。

そのときの逃避がサッカー本を出版するところまで行き着いたわけだから、人生というのはわからないものだ。

サッカー記事を書いて収入を得たり、ブラジルワールドカップへ行ったり、サッカー本大賞なんてすごいものを頂いたりと、ある種の階段を一気に駆け上がってきた。

しかしながら、ぼくは未だにサッカーのことがよくわからない。

特に海外サッカーについては全然わからない。国内の、特にFC東京中心に見えてくるサッカーならばよくわかる。東京だけではなく、なぜかサガン鳥栖にも詳しくなるというようなシステムで、少しずつ知見は広がっていく。

しかし、海外サッカーはさっぱりわからない。クラブ数も、選手数も多すぎるし、すごい勢いで移り変わっていくからだ。

定点観測しているクラブを持たない限りは、その流れに多少なりともついていくことは不可能だろうと思った次第である。

というわけで筋トレである!!

シックスパックも日々の食事とクランチから!!

万里の道も一つの記事から!!

リヴァプールFCを追う理由

箇条書きで書き出していく。

・公明正大に、ホンダロック以外の赤いユニフォームを着て歩けるようになるため。

・いつかアンフィールドスタジアムでYou'll never walk aloneを歌うという夢が出来るため。

・リヴァプールFCは、まだプレミアで優勝していないので初優勝に間に合うため。

※プレミアリーグの前身では優勝している。

・強くてお金もあるけど、油が湧いてくるほどの金満チームではないため。

・日本のCL(地域リーグ決勝)じゃないほうのCL(チャンピオンズリーグ)を実感を持って楽しめるため。

・レアル、バルサ、バイエルンミュンヘン、シティ、チェルシーあたりは敵でいてくれたほうが盛り上がるため。

そういえば、リヴァプールFCの愛称は、The Redsというらしい。Theがついているので、「世界各地にRedsと名乗るクラブはたくさんあるが、俺たちのRedsがオリジナルである」という意味なんじゃないかと思う。

wikipediaを見ると、19世紀から始まっているわけで、流石イングランドだなぁと感じいる次第。歴史を辿ってみたところ、最初の80年くらいは誰も知っている選手が出てこなかった。

1959年にビル・シャンクリー監督が改革したことで強くなったらしいのだが、その時の読売ジャイアンツの監督は水原茂。ぼくが生まれて10ヶ月でご逝去されていることもあり、まったく聞いたことがなかった。

水原巨人なんて聞くと、もう逆にサッカーを思い起こしてしまう(水原といえば韓国のサッカークラブでACLの常連)。

長嶋茂雄とかが選手をやっていた時代だそうな。王貞治とタッグを組んで9連覇した黄金時代よりも昔の話。リヴァプールFCが出来たのはそれよりもはるか昔の1892年。125年前か……。

第一次松方正義内閣の時だってさ。幕末に暴れ回っていた徴収の品川弥次郎が選挙干渉していた年だってさ。

歴史の深さに圧倒される。

The Redsの話をしたが、これは別に浦和レッズに嫌みを言っているわけじゃなくて、浦和の応援だって、古来からあるイングランドのクラブに敬意を払い、模倣するところから始まっているはずなので、これは当然の話なのである。

確か、『サポーター戦記』というムックに当時のサポーターのインタビューが載っていたので、そこで読んだような気がするが……。別だったかもしれない(ざっと読み返しけど見つからなかった)。

We are Reds!―サポーター戦記 (アスペクトムック)

さて、脱線し続けて永久に終わらなくなるので試合の感想に移ろう。

「スターティング」

【サウサンプトン】  

4-2-3-1

GK マッカーシー

DF スアレス ステファンズ  フート バートランド

MF レミア ロメウ
タディッチ ホイベルグ ワードプラウズ

FW カリージョ

【リヴァプール】 

4-3-3

GK カリウス

DF アレキサンダーアーノルド マティップ ヴァンダイク ロバートソン

MF ワイナルドゥム ジャム オクスレード チェンバレン

FW サラー フィルミーニョ マネ

恥ずかしながらぼくは、サウサンプトンだけではなくリヴァプールの選手のことがよく知らなかった。

え、ジェラードやスアレスいないのはもちろんわかるけど、コウチーニョは?スターリッジは?という状態である。

全然知っている選手がいなくなっているというのも、リヴァプールを見てみようと思った理由の一つである。

今更メッシやクリスティアーノ・ロナウドを見て大喜びしないほどにはスレているのである。

概観:サウサンプトンvsリヴァプール 2017-2018

アナウンサーは安井成行さん。V・ファーレン長崎のホームゲーム実況もしている方らしい(覚えるためにいちいち書く!)

サウサンプトンの本拠地はセントメリーズスタジアムで、収容者数は32689人。ゴール裏からスタンドまで、概ね3分の2くらいは屋根に覆われているように見えた。

テレビで見る限りではあるが、ちょっと大きいユアテックスタジアムという印象だ。ここはきっとサッカーが見やすい!!いつか行ってみよう。

サウサンプトンといえば日本代表の吉田麻也の所属クラブだが、ハムストリングの怪我で離脱。復帰したようだが、ベンチスタートでそのまま出番なし。

サウサンプトンとリヴァプールでは予算規模が大きく違うため、サウサンプトンは我慢の相撲(この言葉はサッカー用語として適切だと思っている)。恐らく、耐えてしのいでカウンターかセットプレーに巧妙を見いだすはず。

それに大して、リヴァプールはどこまで揺さぶって力で崩せるか。

そういう試合になるだろうと予想。

サウサンプトンのマウシリオ・ペジェグリーノ監督は「CLに出るようなチームに勝つのは大変だが、何らかの抵抗が出来るチーム状態にはある」というコメントを残したようだ(解説・実況の安井さん談)。

何らかの抵抗というのがどういう表現だったのか気になるところだ。

"some resistance"という表現であったとしたら、ぼくの認識からすると、戦意が感じられない言葉だ。

原文に触れられるように情報集める必要があるな……。時間あるときに探してみよう(努力目標)。

日本では、相手が鹿島だろうが、浦和だろうが、「勝つかはわからないけど、抵抗できそうな状態ではある」なんて試合前に言ったら大炎上すると思う。

リヴァプールとかユナイテッドみたいなメガクラブ相手には「必ず勝つ」とは言う必要がないのが、プレミアなどの大きなリーグの流儀なのかもしれない。このへんの感覚を持っていないので、試合を見ながら身につけていきたい。

試合展開は予想通りで、縦に速く、プレスも素早いリヴァプールと、ロングクロスとセットプレーを武器に戦うサウサンプトンという展開。

「このプレスの速さはなんだ!」と思ったら、監督がユルゲン・クロップだったのを忘れていた。ああ、そうなのね。ゲーゲンプレスなわけね。l細かいことはわからないけど。

どうでもいいけど、一時期の戦術ブームは、ゲーゲンプレスの解説記事が出てきたあたりで終わった。レアルvsバルサくらいわかりやすい対照じゃないと、一般の人が娯楽で読むものとしては難しいのである。

海外サッカーブームがぼくの中で再燃したため、footballistaの最新号を購入してきたのだが、折良く「戦術用語講座」なるものが特集されている。

「ポジショナルプレー」

「ハーフスペース」

「エントレ・リアネス」

「偽サイドバック」

「戦術ピリオダイゼーション」

聞いたこともない用語が並んでいる。念のため言っておくが、こういった用語が出るのはヨーロッパのサッカーが進んでいるからというよりも、あの人たちが抽象用語を使って考えるのが好きだからである。

ヘーゲルとか、カントとか、マックスウェーバーとか、レヴィナスとかの本を読んで発狂したことがある人間ならわかるはずだ。ドイツ人3人、フランス人1人である。ああ、ソシュールもつらかった……。こっちはスイス人だ。

一方でイギリス人の学者は、わけのわからない抽象用語をあまり使わない。サッカーでも、イングランド発の謎の概念が生まれることはそれほど多くないはずだ。

さておき。

まったく知らない戦術用語の中に……あったー!!

「ゲーゲンプレス」

あの話が出てきたのは6,7年前のように思うので、それだけの期間よくわからない用語であり続けた証拠でもあるかもしれない。いや、ぼくもよくわからないよ、ゲーゲンプレス。

というわけでfootballistaで勉強しようと思う。

話が逸れまくったが、ぼくはクロップ以前のリヴァプールを見ていたわけではないので、どの程度変化があったのかはわからない(きっとあったとは思うが)。今度誰かに聞いてみよう。

サウサンプトンの選手が、コーナーキックを勝ち取った際にガッツポーズしていたのが印象的であった。

今シーズンはセットプレーから24得点していて、そのうち半分がコーナーキックからの得点らしい。

ということは、コーナーキックから5本に1本得点出来るとしたら、コーナーを獲得した時点で0.2点を取ったようなものなのだろう。10本に1回なら0.1点である。

イングランドのクラブだけあって、サウサンプトンには美しく、強力なクロスをあげる選手が何人かいたので、結構な高確率で決められそうな気がする。

あれだけ速くて正確で破壊力あるクロスを供給できるのは、そういうサッカー文化だからとしか言いようがない。サッカーレベルの高低ではなく思想・哲学の問題である。

ともあれ、強豪と戦うときは、0.2の期待値を積み上げていくような戦い方をするようにプログラムされているはずだ。期待値0.5 vs 期待値5ではまず勝てない。

しかし、細かく積み上げていって、期待値1.8 vs 期待値4くらいまで持って行けば勝てる可能性も見えてくる。実際に、確率通りにいけば、何回かに一回かは勝てるはずだ(脳がさび付いたので計算方法がもうわからないのだが)。

観客の方も、そういう戦い方に慣れているのだろう。コーナーを獲得した時のガッツポーズから感じた。

熟練した観客は、得点そのものではなく、得点への期待値が積み上がったことにも喜べるのだ。同じような成熟を、小瀬公園の中銀スタジアムで、ヴァンフォーレ甲府サポーターにも感じたことがある。流れが変わる小さなトラップに歓声が上がるのを聞いて、甲府のしぶとい強さにも納得がいったものである。

ゴールはただの結果に過ぎない。ゴールまでの道筋こそ尊く、その道を選ばせた哲学こそが、最も味わう価値のものだ。

サウサンプトンの戦い方は気持ちが良かった。ぼくはこういう戦い方は好きだ。勇敢だと感じる。

リヴァプール3銃士

しかしながら、リヴァプールのFW3枚がちょっと凄すぎる。なんだこれ。

サラー、フィルミーニョ、マネ。

しばらく海外サッカーを観ておらず、「破壊力のある攻撃陣といえば広州広大」という世界にずっと生きてきたわけだが、久しぶりにメガクラブの攻撃陣を見てみたら、あんまりにも強力すぎてぶっ飛んだ。

モハメド・サラー。エジプト出身の選手で、ドリブルの速度と動きのキレが尋常ではない。一度ボールを持つと手がつけられない。

得点力の高い右サイドのスピードスター。どこかで聞いたことがある話だ。

ちょっと不純なのだけど、ここ数年見たくても見れずにモヤモヤしていたものが、幾分か解消されたような気がする(全部解消するのは、もう無理なんだけどね)。

ただ、サラーは、メガクラブが相手で、しっかり対策を練られている場合にはどの程度活躍できるものなんだろうか。チームで止めようと思ったら止められないこともないように見える。けど、それを踏まえてチームで崩していくものなわけだから……。

木曜日にCLのポルト戦があって、3月10日にはマンチェスターユナイテッド戦があるので、その日を楽しみにしよう。

フィルミーニョについては、語るほどはよくわからなかったけど、バランスよく、戦い方を知っている選手なのはわかった。

ただ、なんか判断悪いんじゃないかと思うような場面もあって、あれは、こういうチームの状況だからやっちゃえ!という感じなのか、それともぶった切っていく性格だったからなのか。

これは、1試合見ただけじゃ全然わからなかった。

1得点1アシストなので結果は残しているが、弱者相手に数字が残せることと強者を倒せることは違う。

そして、本当に苦しいときに英雄になれることは異次元なのである。

フィルミーニョみたいなタイプの選手については、ガチガチのフォワード経験者に聞いてみたいところだ。フィルミーニョについて理解するという試みが、これからリヴァプールを見ていく上での最初の課題になりそうだ。

そして、マネ。

こっちは簡単。

だって、明らかにおかしいもの。

一目でわかる。

ゴールが決まりはしなかったものの、一回ジャンピングボレーしたときの躍動感のものすごさに思わず叫んでしまった!!なんなんだ、この選手は!!

高速ドリブル時のフェイントもすごかった。ガクッと躓いたみたいなアクションをしたた。

左側に抜いていくように見えた。

だからぼくも、画面の前で左に目をやった。

しかし、左には一歩も進まないで、そのままほぼ直進でディフェンスをぶち抜いていった。一瞬消えたかと思うほどの鋭さであった。

いやー、あんなんでプレミアのディフェンスを揺さぶれるんだなぁ。やってみるとわかるのだが、サッカーのドリブルというものはとても難しくて、ディフェンスを振り切って抜くのは神業なのである。

一瞬ずらすことくらいは出来るが、ぶち抜くのはそうそう出来ない。

いやー、すごい選手だ。こればかりは、才能としか言いようがない。ここまでわかりやすい能力の高さを持った選手を見るのは久しぶりだ。

ただ、能力の割には目立ってなかったかなという印象もあった。次のチェックポイントは、どこまで戦術的に動いてるのかと、シュートセンス。この試合だけでははっきりしないので次を見るのが楽しみだ。

そして、マネが凄いのはわかるけど、マネだけで試合を決定づけられるのかというのも、この試合だけではわからない。

三銃士が大一番でどの程度やるのかというのは見てみたいところだ。

今回は中盤とバックスについては、語るほど理解できていないので書かない(書けない)。こっちが書けるようになってくると、本格的にリヴァプールに馴染んできたということになるだろう。

Man of the mutchはマリオ・レミナ!!

この試合で最も印象的だったのは、マネでも、サラーでも、カリウスでもない。イングランド代表のオクスレード・チェンバレンでもない。

サウサンプトンの18番。マリオ・レミナというMFであった。

中盤でピリリと効いたレミナに、リヴァプールは手を焼き続けていた。

試合前の予想では、サウサンプトンはポゼッション出来ず、大味なロングボールだけになると考えていたのだが、レミナの存在によってサウサンプトンの前線ではパスワークが機能していた。

あれだけプレスされてもまったく怯まず、敵を引きつけては、クロスへとつながる組み立てをしていく。結局得点にはつながらなかったけど、レミナが効いているからこそのクロスが何本かあった。そして、そのクロスこそがサウサンプトンの生命線なのだ。

記憶にあるだけでFWのカリージョとMFのウォードプラウズにピンポントで入ったクロスが3本あったわけだが、サイドから精度が高いクロスが入るのも、中央にレミナがいたおかげかなという気がする。

リヴァプールの先制点は、GKカリウスが、マークミスからかドフリーになっていたチェンバレンにスロー(この投げ方はとても興味深かった!)。

そこからの高速カウンター。

ボールはサラーから、フィルミーニョに渡り、そのままフィニッシュ。

2点目も、サラーとフィルミーニョのワンツーからの得点。たった2人で4人のディフェンスを翻弄して得点である。これもある種のインチキだ。

これも凄い。どうしようもない。

しかし、こういったゴール以外では、リヴァプールはサウサンプトンを攻略できていなかったかなという印象であった。

確かに「抵抗できる状態」であった。

マリオ・レミナがサウサンプトンを支え、勢いづけ、得点こそは許したものの、力を拮抗させていた。

イングランド代表オクスレード・チェンバレンのドリブルを完璧に読み切ってインターセプトするシーンが象徴的であった。中盤の支配者はレミナであった。

一度3人に囲まれ、たまらずボールを失ったシーンがあった。その直後、悠然とボールを奪取するためにディフェンスし始めた。ブラボーである。

先ほど言及したマネのスーパーボレーも、レミナが身体を投げ出して止めた。止めたことが偉いのではなく、攻撃的なタスクがあるにもかかわらず、そこに戻っているのが偉いのだ。

あそこにレミナがいなかったら、マネのスーパーゴールが決まって、一年中ハイライトとして流されたかもしれない。

チーム力が違う中、獅子奮迅のレミナであったが、流石にオーバータスクであったようだ。後半早々、小さな接触をきっかけにコートに倒れ込んだ。怪我はしていないと思うが、限界だったのだろう。

レミナの交代と共に試合は終わった。

その後、サウサンプトンが逆転する確率は限りなくゼロに近づいた。そのため、リヴァプールも無理をする必要がなくなった。

レミナが去った後は退屈な試合になった。

レミナがいるときだけ試合が試合として成り立っていたのである。つまり、マリオ・レミナこそが試合だったと言える。

文字通り"Man of the mutch"である。

レミナが、というよりかは、レミナを中核においた連携によって、サウサンプトンは圧倒されることなく、前線に致命的なパスを送り続けた。

しかし、三銃士によるハイパーオフェンスで2点をもぎ取ったことでリヴァプールが勝利した。

サッカーという競技では、相手を制圧して圧勝することは極めて難しいため、「個人技によるインチキゴール」を決めて勝利をもぎ取れるような攻撃的選手が重要であり、非常に高価なのである。

サラーの移籍金は、50-60億円くらい。
フィルミーニョも同じくらい。
マネは、ちょっとだけ少なくて約46億円。

3人あわせて150億円!!
年棒入れたらたぶん200億円!!

一人分の値段で、いつも観ている日本のクラブの選手が全員買える。というか2クラブくらい余裕で買える。

少し前は、「こんなの金積んでるだけだろ」と思って見る気もしなかったし、今でもちょっとどん引きしているところもあるのだが、こういうサッカーも知っていなければいけない。

ぼくは斉藤恵太というFWの選手が好きになった(といっても、福島ユナイテッド時代に1試合しか見たことがないのだが)。

不器用ながら足が速く、突進力がある選手で、何よりゴールを決めると非常に盛り上がるのである。

一挙手一投足に人柄の良さが現れている選手で、こういう良さは日本の選手だからこそ、応援しようという気にもなる。

スタジアムで見る斉藤選手のプレー、というか、速さと迫力はまさしく絶品だった。J3だったのもあったのかもしれないが、とにかく速くて迫力があった。粗もたくさん見つかったが、粗があるくらいのほうが見ていて面白いのである。

テレビで見るマネやサラーよりもJ3の福島ユナイテッドでエースストライカーだった斉藤恵太のほうが、印象に残っているというのは不思議なものだ。ましてや石川直宏とか武藤嘉紀の躍動感なんて……。こればっかりは一生忘れまい。

そういえばブラジリアで生メッシや生アザールを観たが、席が遠かったこともあり、あまり感動はしなかった。一度速攻に走った際には、その速さに驚いたのだが、間近で観るJ3の選手の方が体感速度が高い。

サッカーとは、そういうものなのである。

だから、テレビで見るとか、海外サッカーを見るとかいうのは面白くないなと思っていたわけだが、それはそれ、これはこれなのだ。

サラーとフィルミーニョのワンツーを見て、こういうプレーはJリーグでは見ないなと感じた。こういう思い切ったことを日本の選手はあまりやらないのだ。たぶん決めきるイメージが持てないのだろう。

これが、「世界との差」というやつだ。才能が足りないのではない。意識や文化に差があるのだ。その差をもっと明瞭な形と捉えるためにも、海外サッカーを見ていく必要がある。

といっても、世界に追いつくためにとか、ワールドカップで優勝するためにとか言って、日本代表を強化しようという気持ちもなくなっている。

そういうナショナリズム的なサッカー論は、ブラジルの奥地、クイアバで粉々に砕け散ったからだ。コロンビア代表に、ハメス・ロドリゲスに、コロンビアサポーターに、コロンビア美女に、ぶちこわされたのだ。跡形もなく消え去った。

ならば、なぜサッカーを見るのか。

ぼくは一度サッカーを見失った。それは、南アフリカワールドカップにおける躍進によって、「日本だって世界に勝てるんだ!」という「国粋主義的な安酒」に酔っていただけだったのだ。

サッカーは、ナショナリズムと結びつきやすいが、戦争でもないし、レイシズムでもないし、国の誇りでもなんでもない。

サッカーはサッカーでサッカーなのだ。

サッカーをサッカーとしてみよう。そして書いていこう。

なぜ見るのか、なぜ書くのか。一度見失ったものは、そう簡単には見つからないかもしれない。

サッカーがナショナリズムではないとしたら何なのか。改めて探求せねば。そのためにもリヴァプールである。筋トレである。

次の予定は、チャンピオンズリーグ。2月15日の木曜日だ。

ポルトvsリヴァプール。

ポルトには誰がいるのかと軽く調べてみたら、まさかのイケル・カシージャス!まじっすか?試合出るのかしら。

後はよくわからないのだけど、MFのアンドレ・アンドレという選手がなんだか気になる。どんな選手だろう、アンドレ・アンドレ。

というわけで長くなったので今日はこのへんで。サッカーに詳しい人には怒られてしまいそうな大ざっぱな記事だが、こんな調子で続けていこうと思う。こんなに長く書いていては身体がもたないのでほどほどにするが。

というわけで、筋トレ一発目終了!!

いえー!!

-サッカー論

Copyright© はとのす  , 2022 All Rights Reserved.