久々にプロ野球を観に行ったサッカーファンの感想@神宮球場 広島カープvsヤクルトスワローズ


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野球とサッカーの潰し合い、煽り合い。

そういう構図は確かに存在する。というのも、日本の人口は限られているし、財布の中身にも限りがある。だから、プロスポーツが収益を得ようとする際には、「競合」した関係にあると言える。

もう一点。子供がどのスポーツを選択するのかについても「競合」している。最近は子供の好きなスポーツを調査すると、野球よりもサッカーが上に来るらしい。これは将来的には、野球よりもサッカーのほうが競技人口が多くなり、ファンの数も増え、経済規模が大きくなる可能性を示している。

「野球の時代は終わる。これからはサッカーの時代だ!!」

こんな危機感が野球界にはあるという話も聞いたことがある。一方で、サッカーの勝ちだと思っているサッカーファンはあまりいなくて、「野球には決して適わない」というような敗北感がある(日本のクラブを応援しているファンの場合である)。

ワールドカップや、香川真司などの海外組の活躍などサッカーの華やかな面に注目すれば、それは野球よりも優位にあるように思える。子供達の人気も恐らくここに由来するのだろう。一方で、海外のスター選手が引退し、ワールドカップのアジア予選で敗退するようなことが生じたら、子供の人気は一気に低下することだろう。

ワールドカップに出れない日はいつか必ず訪れる。実際に、次のロシアワールドカップの最終予選でも初戦を落としてしまったので、はやくも黄色信号が点灯している。

日本のプロサッカーを取り巻く状況は順風満帆には程遠い。日本代表だけはお金になるが、国内リーグとはうまくリンクしていない。そして、国内リーグのスタジアムの立地が悪いことも多く、クラブの数が多すぎることもあってスポンサー獲得にも苦労していて、大抵のチームは財政難である。Jリーグのクラブは全世界に羽ばたくどころか、アジアでも勝てないのである。

「野球とサッカーどちらが勝つのか。生き残るのか。」

こういった視点から、この2つの競技を眺めている人もいるかもしれない。そこで、ぼく個人についての立場を解説すると、ややサッカーよりである。子供の頃は熱心な巨人ファンであったが、大人になるにつれて薄れてしまったのだ(ミセリ、キャプラーという謎のカタカナが脳に刻まれている)。

野球を見ることはなくなった。一方でサッカーもそこまで好きなスポーツではなかった(その間は、バスケ漬けであった)。30歳前後でサッカーをプレーし始める機会が増えたこともあり、段々と関心が増してきた。

「サッカーと野球のどっちの味方なのかを選べ。さもなくば処刑する。」

このように迫られた場合には、ぼくはサッカーを選ぶことになるだろう。ここ数年のスポーツ観戦の選択肢は、サッカーに限られていたのだ。次の選択肢は、自分がプレイヤーをしていたバスケである。野球については、小学生の時に少年野球をやっていたものの、最近は野球を観に行くという選択肢はなくなった(弱小チームのライトで8番という見事な雑魚であった)。

ただ、Jリーグと深く関わるにつれて、「そういえば、大成功しているように見えるプロ野球はどうなっているのだろう」という疑問は大きくなっていった。敵なのか味方なのか、学べるところがあるのか、ないのか。

そんな時に、こんな連絡があった。

「急なんですが、明日神宮球場いきませんか?チケットが余っています。」

ぼくは「この手の誘い」には乗ることにしている。この日は、応援しているサッカークラブFC東京の試合もあったのだが、福岡での開催であったので、録画で見ることにした。

外苑前から神宮球場へ

ここ数年何度も足を運んだエリアであるが、大抵は旧国立競技場でのサッカーが目的であった。神宮球場に最後に訪れたのはいつであっただろうか。

10年以上前、六大学野球を観戦に行った時である。ぼくの友人は、代走に選ばれ見事にホームベースを踏んだ。熱くコミカルな東大応援団と、明大のサンバみたいな応援をよく覚えている。

その前は、記憶にあるものだと小学生か中学生の頃だ。確か、近所に住んでいる双子と一緒に行ったはずだ。双子とは、同じ野球チームに入っていた。

大人に連れて行ってもらうことが多かったが、子供だけで行ったこともあった。

当時は、巨人ファンからヤクルトファンに乗り換える友達が多かった。野村ID野球の全盛期だったこともあり、魅力あるチームだったのだ。ある晴れた日のナイターで、売店で買った月見そばを食べながら、東京音頭の傘の乱舞を眺めたのを覚えている。

プロ野球をここで観るのは、20年以上前ということになるらしい。

外苑前で降りる。少し歩くとあっという間に神宮球場へと到着する。驚くべきアクセスの良さである。こういう場所で、毎回試合できるのだから、収益は取りやすいことだろう。サッカースタジアムでは、「最寄り駅からバスで30分」ということもあるのだ。

神宮球場の外周を回る。子供の時見たのとまったく同じ風景だが、随分と小さく感じる。あの頃は、「巨大な球場」の延々と続く外周を必死に走り回ってゲートを探したものだ。試合が始まるドキドキ感を胸に、野球の話を友達と大声で話しながら――。

そういえば、ぼくらは池山という選手が好きだった。というより各チームのホームランバッターが好きだった。原辰徳はもちろん、落合も清原も秋山もブライアントも好きだった。

20年前の記憶が蘇ってくる。あの頃、ぼくらの夢は野球選手になることであった。もちろん、誰一人成し遂げることはなかった。ぼくは、少年野球のレベルでさっさと挫折し、小説家になるという夢に修正したのであった。

エースクラスの夢はもう少し長持ちした。ああ、そういえば、うちのピッチャーは卒業式の日に、一番可愛い子に告白したんだった……。

「巨人のエースになったら迎えに行くよ」って真顔で言って、それでOKをもらったのだ。それが学年中に知れ渡って、みんな甘酸っぱい気持ちになった。

今となっては現実のこととは思えないような遠い昔の記憶であった。

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外野席とはじめてのビール

座席は広島カープ側の外野席であった。元々は熱心なカープファンのチケットだったらしい。

周囲の席はユニフォームを着込んだカープファンで一杯だった。こういう席に座ってヤクルトを応援するわけにはいかないので、にわか広島ファンになって応援することにした。

子供の頃は外野席に座るのは少し怖く感じたのだが、最近は色々と濃い衆に揉まれているのでこういうのには慣れた。マイペースでのんびり応援することにしよう。

応援すると行っても、野球のニュースを10年単位で見ていなかったので、選手についてはほとんど知らない。バラエティ番組『アメトーク』のカープ芸人を見た時のことをほんのり覚えている程度だが、それすらもうろ覚えだ。ぼくの記憶の中での広島カープは、北別府が現役で達川がボールを受けていたのである。

隣には片耳にラジオを突っ込んだ陽気なカープおじさんが座っていた。通路から遠くにいる人がビールを頼むと、ビールと会計を代行して「いやー、おっさんがビールを渡しちゃってごめんね~」などとおどけながら受け渡しをしていた。

幸か不幸かぼくは代行してもらうことにはならなかったのだが、夕暮れのスタンドで風を受けながら飲むビールはとても美味しい(でもちょっと高い)。そういえば野球を見ながらビールを飲んだのは初めてである。

サッカー場でも飲むことはあるが、少し趣きが違う。試合中はとにかく忙しいし、トイレに行きたくなると大惨事を生むので試合前に1,2杯飲む程度である。大惨事とは、ゴールを見逃すことと、ハーフタイムにトイレの大行列に巻き込まれることである。

野球の場合には、休み時間が多いし、相手の攻撃の時はみんなのんびりしと黙って見ている。スポーツ観戦で一番嬉しいのは、応援しているチームの得点である。守備の時にトイレにいけば、得点を見逃すリスクはない。一方で、サッカーの場合には90分間、常に得点と失点の可能性があるので目が離せないのだ。

というわけでぼくは、一杯目のビールと、水筒に入れてきたキンキンの泡盛水割りを飲みながら、のんびりと観戦した。そして、守備の時間に2回トイレに立った。トイレはとても空いていた。サッカーだと、休み時間に人が殺到するのでこうはいかない。

だったら、サッカーもクォーター制にするとか、タイムアウトを作るとかすればいいと思うし、アメリカなどはそういった提案をしたようなのだが、サッカー側がルールを大きく変えることを拒否したらしい。こういった不便さも含めてサッカーだという判断なのだろう。

サッカーは原始的な競技である。地面とボールさえあれば一応プレーすることが可能だ。ゴールの代わりになるものは適当に作ればいい。一方で野球には、バット、ボール、グローブが必要である上に、投球にも守備にもバッティングにもある程度の技術習得が必要だ。

サッカーでももちろん技術は必要だが、下手でもいいという条件ならば誰でもすぐにプレーすることが出来る。だから、発展途上国の人々でも容易にプレーすることが出来る。サッカーの世界的な広がりには「上に合わせない不便さ」が確実に効いている。

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ヤクルトスワローズvs広島カープ プレーボール!!

試合が始まる。

ヤクルトの先発は、山中というアンダースローの選手であった。

詳しいことはわからないが、何となく球が走っていない印象を受けた。ファールの打球などを見てこれはどこかで捕まるんじゃないかなぁとぼんやり感じたが、3人できっちり締める。

広島カープの先発はヘーゲンズという長身の外国人投手であった。なかなか球が速そうだが、こちらも打たれそうな気がした。何でなのかと言われると明言は出来ない。何となく、タイミングが合わせられているように感じたのだ。

バッターが球威に圧倒されているならば、もっと振り遅れたファールを打ったり、身体をのけぞったり、まったくタイミングが合わないスイングをしたりする。しかし、どうもそういうわけではなさそうだ。

見たところ小技が効いているタイプのピッチャーには見えなかったので、球威が十分ではないなら、プロのバッターにはどこかで捕まる。

このぼんやり予想は見事に的中した。

ぼくは4-4くらいになるのではないかと予想したのだが(証人あり!)、実際にその通りになったのだ。もちろんある程度当てられたのは偶然であろう。しかし、自分なりの根拠の上で予測が出来たのは事実なのである。

これは、野球を解釈する下地となる「野球脳」とでもいうようなものを持っていたからではないだろうか。

これは、ぼくの中で、何となく野球を見る「脳」が出来ていることの1つの証明かもしれない。真面目に野球を見るのは10年以上、いや20年以上ブランクがあるのに、野球という競技を解釈することが出来たのだ。

身体のキレとか、スイングの振り切り方とか、ピッチャーのボールの伸びとか、そういったものを組み合わせて何となく試合の展開が予想できる。もちろん、裏切られることもあるだろうが、それを含めてぼくは野球を見て楽しむための基礎を持っているようだ。

一方で、サッカーはそうではなかった。少し前までわけがわからない謎のスポーツであったし、実際に今でもサッカーを解釈する「脳」は発達途上である。

サッカーでは、判定が妥当なのかどうか未だによくわからないことが多い。だから、試合後にモヤモヤして、評論家の意見を探しに行くことになる。わかることよりも、わからないことのほうが多い。

ドリブルの時のボールタッチとか、シュートコースとか、シュートに行くまでのスペースの見つけ方とか、そういったところから選手の調子を判断することが出来る。

しかし、それが勝敗にどの程度影響するのかはさっぱりわからない。だからこそ面白いとも言えるが、まだまだサッカーのことがわかっていないというのも間違いない。

思うに、ヨーロッパや南米の観客は、今の僕よりもサッカーを解釈する「脳」が発達しているのだろう。それは、ぼくが子供の頃「原辰徳がこの外角のカーブをホームランまで持って行くのはすごい技術で……」と散々吹き込まれたのと同じように、「ルーニーがこの狭い場所でボールを受けたと同時に逆サイドにボールを振れるのは……」と教えられたり、友達と語り合ったりした結果の積み重ねなのだろうと思う。

そのあたりが、日本野球が世界戦で強い理由であり、サッカーはまだまだ勝てない理由にもなるのかもしれない。

さて、プロ野球の選手についてほとんどわからない状態で観戦となったのであるが……。
そんな状態で見てもあまり楽しめないかなとも思ったのだが(実際、両チーム合わせて4,5人しかわからなかった)、どうやらぼくは野球を見ても楽しめるらしい。

これは面白い発見であった。ぼくの世代は「野球脳」を持っている傾向にあるのかもしれない。球威のある球が、胸の辺りをえぐっていく際の呼吸が苦しくなる感じを共感できるし、そうじゃない場合に思い切り踏み込んで悠々とバットが出せる感じもわかる。

ピッチャーが投げて、バッターが打つ。ただ、それだけのことに緊張感を感じるし、ピッチャーの気持ちも、バッターの気持ちも、毎回身構えないといけないライトの気持ちもわかる。

ただ、ぼくよりも若い世代がどうなのかはわからない。この辺が「野球vsサッカ-」のガチバトルなのである。

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試合の展開について

試合について書いたら少し長くなってしまった。というのも、野球の試合展開は書きやすいのである。個人的な尺度ではあるが、サッカーの50倍、バスケの200倍くらい書きやすい。

プレー1つ1つを丁寧に描写すると膨大な分量になってしまうことから、サッカーやバスケでは「流れ」の描写が必要となる。そして、なぜその「流れ」が生じたのかを考察するのが肝なのだ。

それでもサッカーは得点数が少ないのでまだ何とかなるのだが、バスケの場合は1試合で100ゴールくらい入ることもあるので、非常に厄介なのである。

というわけで、あまりの書きやすさが気持ちよくて1回表から詳細に書いていたら長くなりすぎてしまった。これでは読みづらいので、大幅にカットする。

2回裏 ヤクルトの攻撃

広島の守備陣はダブルプレーで2つアウトを取る。

このダブルプレーがすごかった。センター前に抜けていく打球であったのに、真ん中より、しかも後ろ目にシフトしていたセカンド菊池が横っ飛びでキャッチ。

そして、そのままグラブトス。ショートが1塁に投げてダブルプレー。

なんだこれ。なんだこれ。なんだこれ。と3回唱えたスーパープレー。今まで見たすべての野球のプレーの中で一番凄いものを見てしまったかもしれない。菊池という選手について知らなかったのだが、ショートの小坂を思い出した。

守備シフトについてはベンチの指示もあったのかもだが、身のこなしと、意表を突くグラブトスにも芸術性すら感じた。

後で思い出したのだが、菊池選手はアメトークのカープ芸人で紹介されていた守備の名手であったかもしれない。阪神ファンの千秋さんが、「うちにくれー!」と言っていたような気がする。

大人になってから野球を観戦すると守備のシーンも面白くなっていた。ボールを取ってからの身のこなしが、やはり超人なのである。子供の頃は、あのくらい出来て当たり前だと思っていた。大人になれば自分でも出来るようになると思っていたのかもしれない。しかし、常人では辿り着かない境地であることが今ではよくわかる。

3回表 広島の攻撃
投手ヘーゲンズの強襲ヒットから始まり、2アウト、2,3塁へ。

そこでバッターは4番の新井。新井って阪神に移籍したと思っていたのだが、どうやら今年から広島に戻ってきていたらしい。

先制点のチャンス。打席は4番バッターである。

歩かせて満塁にするという手もあるが、5番の鈴木は打率が3割3分近かった。1巡目にスコアボードを見て驚いたのである。どうでもいいが、スコアボードに「球速」が出る度に「キリン生茶」と出るのにも驚いた。

さて、5番が強打者ということは、歩かせるのはリスキーである。従って勝負。

4番バッターと勝負。

いきなり燃えるシチュエーションが到来した。こういう場面に打席に立つことを、子供の頃、何度も何度も想像したことがある。だから緊張感がよくわかる。

赤い心見せ 広島を燃やせ
空を打ち抜く 大アーチ
新井! 新井! 新井! 新井!

新井!新井!と言いながら、観客はスクワット運動をする。席に座ったり、立ったりする。膝に悪そうな応援である。それにお酒も回りそうだ(実際酔っ払ったのか、広島の応援席は途中で少し元気がなくなった)。

ぼくも目を見開いて集中する。

結果。

新井の打球はレフト前へ!!

ランナー二人を返す2ベースヒットであった。

広島、2点を先制!

観客は総立ちで大喜びする。ぼくも便乗して喜ぼうと思った。しかし、残念ながらうまく乗れなかった。

というのも、サッカーであれば、みんな素手でハイタッチをするのだが、広島の外野席は手に持っている「触角みたいなやつ」でタッチしあわって喜ぶのである。だから、広島ファンは素手のぼくを見ると、戸惑った顔をするのである。

それでは何だか申し訳ないので、みんなが大喜びしている時は、黙って座っていることにした。

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↑ 触角みたいなやつ。細いメガホン。ぼくが子供の頃にはこういうのはなかった気がする。

それはそうと、この触角でみんながコツコツやりながら喜び合う様子は「アリさんの交流」みたいで何だかほほえましかった。

そして、得点を喜ぶ応援歌が始まった。わっしょいとかバンザイとか言っていたので確かこれだったと思う。

宮島さんの神主が おみくじ引いて申すには
今日もカープは 勝ち 勝ち 勝ち 勝ち

おーーー ワッショイ! ワッショイ!
おーーー ワッショイ! ワッショイ!
きょうもカープは かーち! かーち! かっちかち!

バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ!

なんて平和なんだろうか。わっしょいとバンザイ。日本人なら誰にでもわかるおめでたい言葉。「宮島」という広島の名所も歌詞に含まれていて、何だかとても気持ちの良い曲である。

広島の外野席にいて思ったのが、応援する言葉が非常にわかりやすいことである。サッカーの応援で多用されるようなイタリア語やスペイン語はまずない(オレ、アレ、フォルツァ、バモスなど)。

誰の応援歌忘れてしまったが、「頑張れ!頑張れ!」と言っているのを聞いて、逆に新鮮さを感じた。競技者に対して「頑張れ」とは言うべきではないというような議論が、定期的に巻き起こる。それよりは「リラックスせよ」とか「スマイル」とかいうほうが効率的であるとかいうような論調である。

こういった議論は、言ってみれば西欧文化至上主義に由来する。従ってぼくは賛同できない。日本人にとって一番しっくりくる応援の言葉は「頑張れ」というのは一つの事実なのである。これはどんな異国の言葉でも適わないだろう。日本人は、苦しいとことに直面したときには「頑張る」ことで乗り切ろうとするものなのである。

4回表 広島の攻撃
先頭バッターの松山が出し抜けにソロホームラン。いきなりすぎてちょっと驚いた。これで3-0。

打線は下位に回るが、ピッチャーが捕まりそうなので集中して見ることにする。一人三振した後、キャッチャーの會澤。

打率は2割2分程度だし、この回は8,9番で終わらせておけば次の回1番から勝負できる。なのであんまり打ち気はないのかなと予想。

しかし、フルカウントからレフトスタンドへホームラン。それほど勢いのある打球ではなかったが、ぼくのいるエリアまでのんびりとボールが飛んできた。これはラッキーだ。

子供の頃はホームランボールを取るのを夢見てグローブを持ってきていたものだ。そういえば、大洋のポンセが打ったフェンス直撃団を応援団がキャッチしてホームランにしてしまった「事件」をすぐ後ろで目撃したことがあった。あの頃にTwitterがあったらな……。

さて、4-0と広島がリードし、1アウトでバッターは投手ヘーゲンズ。

これは打たないはずだ。軽いスイングを3回して、次のピッチングに備えるのであろう。

と思ったら、ヘーゲンズはバッドを出してレフト前ヒット。

「なんで打った?!」

思わず口に出た。本当になんで打ったんだろう。バッティングが好きなのかなぁ。

ピッチャーヘーゲンズは、出塁してしまったおかげでファールの度に1、2塁間を何度も往復する羽目になった。体力の無駄遣いのように思ったんだけど、このへんは普段からカープの試合を見ているファンはどう解釈するのだろうか。

サッカーでも、野球でも、同じチームを連続で見続けることでしか見えてこないものがある。

結局、ヘーゲンズは残塁に終わる。ここでの体力消耗が後に引かなければいいのだが。

6回裏 ヤクルトの攻撃
ヤクルト打線は2番の上田から。クリーンナップまで回るし、そろそろヘーゲンズが捕まるのではないかと思っていた。

しかし、予想に反して、1ヒットを許すも4人でチェンジへ。ヘーゲンズは後半から乗ってくるタイプなのだろうか?

ダブルプレーの時の菊池の送球がすごかった。ファーストに完全に背を向けてたのにぐいっと振り向いてそのまま投球してゲッツー。外野席から塔目に見ていたので、近くで見ると違ったのかもだが、ステップせずに上半身のひねりだけで投げたように見えた。魔法のようだ。

7回表 広島の攻撃
9番ヘーゲンズからの打順だが代打はなし。このまま投げるらしい。相変わらず打つ気満々。しかし、三者凡退に。

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7回裏 ヤクルトの攻撃

ついにヤクルト反撃へ。

東京音頭の音色が聞こえる。子供の時に聞いたものだ。唯一違うのは、「くたばれ読売、くたばれ読売」という歌詞がついていること。

なかなかお行儀はよろしくないが、カープファンも便乗して「くたばれ読売」と歌っていたのが面白かった。

※追記
「くたばれ読売」については、スワローズ応援団からはもうやめようと呼びかけているのだそうです。ぼくが見ていたのはカープ側なので、ヤクルトの外野席でこのような掛け声が上がっていたかはわかりません。

http://tsubamegundan.com/report1.html

ノーアウトランナー2,3塁へ。

8番西田が内野ゴロだったのだが、ファーストが触ってコースが変わったところを、セカンド菊池が素手でキャッチしてそのまま投げる。菊池の守備が凄すぎる。しかし、流石に無理があったらしく送球が逸れてしまった。

送球が逸れている隙にランナーが二人帰ってしまう。あれは投げないほうが良かったのかもしれない。4-2、ヤクルトは2点差へと詰める。

ノーアウト、ランナー2塁。
そこでついに、先発のヘーゲンズが交代へ。やっぱり捕まったなぁという印象。

広島側の応援席は静まりかえる。相手の攻撃の時は静かにするものなのだが、それ以上に大ピンチに青ざめているような雰囲気であった。

そして、代打で入った坂口が見事にツーベースヒットを打つ。4-3の一点差へ!!

ランナーは2塁、ノーアウト。絶体絶命のピンチである。

そこで2塁ランナーに代走が送られる。代走に出るからには足が速い選手なのであろう。1ヒットで同点だが、送りバントによって1アウト3塁へ。

しかし、ここからの中継ぎ今村が凄かった。上田、山田を連続三振にとって見事にピンチを凌ぎきったのである。

非常に見応えのある場面であった。

8回表
広島、三者凡退。


8回裏

ピッチャージャクソンに交代。キャッチャーも石原に交代。

ブルペンが目の前にあったので、投球を見ていたがかなり球の速い投手のようだ。150km以上の速球に、時折遅い球が混ざる。遅い球がチェンジアップなのか、変化球なのかぼくにはよくわからないが、135kmの球なのに、投げる瞬間まで速急に見える。

これは打ちづらいんだろうなぁ。

ジャクソンは、フォアボールを1つ出すも無失点で抑える。

9回表
ヤクルト投手交代 松岡→村中

松山に代わりエルドレッドというやたらと強そうな名前の外国人選手が打席へ。しかし、フォアボール。

1アウト2塁で、投手ジャクソンに代打梵。「そよぎ」である。うまく変換できなかった。

ぼくでも知っているレベルの選手だが、今は不調もあってスタメンではないようだ。しかし、非常に人気のある選手のようで、スタンドは俄然盛り上がる。

燃えろ!燃えろ!そよぎ!

思えば広島ファンは、エルドレッドが出てきたあたりから、急激に盛り上がってきた。一試合を通して大声を出し続けるという使命感が感じられないのが、新鮮に思えた。これについては後述する。

結局、梵はサードゴロに倒れ、続く石原も三振し、チェンジ。

9回裏

ピッチャーはジャクソンに代わって中崎。1位を走るチームのストッパーなので、簡単には打てないピッチャーなのだろうと思っていたが、その通りのピッチャーであった。

ビシッ、ビシッっと速球が良い音を立てる。あれ、音を立てていたような記憶があるのだが、外野席から聞こえるものなのだろうか。もしかしたらブルペンで投げていたときの音かもしれない。

中崎は、見事に3人を斬って落としてゲームセット。逃げ切った広島の勝利であった。

例の曲が聞こえてくる。

宮島さんの神主が おみくじ引いて申すには
今日もカープは 勝ち 勝ち 勝ち 勝ち

おーーー ワッショイ! ワッショイ!
おーーー ワッショイ! ワッショイ!
きょうもカープは かーち! かーち! かっちかち!

バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ!

喜ぶときにわっしょいわっしょいは、FC東京でも同じ文化があるのでしっくりくる。勝利の凱歌は、宮島さんの曲以外にもあったようだ。

アップテンポで「やっぱりカープがNo.1」とか 「FuFu」というホストのような合いの手が入る曲であった。

野球vsサッカーの行く末について

野球vsサッカーという議論に決着をつける気はないのだが、比較対照するとなかなか興味深いことがわかった。

特に応援については思うことが多かった。

広島カープの応援は、時に勇ましく、時に温かく親しみやすいものが多かった。「かっとばせ!」とか「もってこい!」とか、日本人なら誰でもわかるような表現がほとんどだった。

サッカーでも、似たような応援を選択するクラブもあるが、どちらかというと英語やイタリア語、スペイン語の歌詞を散りばめるケースが多い。外国語にすることで表現できることもあるが、「サッカーの応援はよくわからなくて怖い」というような声が出てしまうのも事実だ。

Jリーグブームが勃興した頃は「オーレオレオレオレ」の響きが、物珍しく格好良く思えたのは間違いない。それは新しい文化が誕生した瞬間なのである。

ただ、現在のJリーグは、浦和レッズを初めとした一部のクラブ以外は、集客に困っているのが現状だ。特にJ2以下の地方クラブは、クラブに関心を持ってくれる人を増やすのに苦心している。

そんな中で、この日の広島の、親しみやすい応援は非常に参考になる
と感じた。馴染みのないアルゼンチンとかブラジルの応援を真似するよりも、「頑張れ」とか「わっしょい!」とか、地元のおじいちゃんでもわかるような言葉で組み立てる戦略のほうが有効なように思える。

もう一点。
野球の応援は、「プロ同士の技比べをワイワイ騒ぎながら見守る」という傾向が強いように感じた。つまり、声援によって、試合の勝敗に影響を与えようという気持ちはあまり感じられない。

あくまでも試合の勝敗は選手がつけるもので、その結果を受けて、大騒ぎする。あるいは、悲嘆する。

サッカーはちょっと違うのである。サポーターは、12番目の選手として戦う。だから、少しでも勝率を上げられるように、大きな声を出したり、不利なジャッジに対してはブーイングを送って主審にプレッシャーをかけたりする。

つまり、「戦う観客」なのである。そういった要素があるためか、サッカーのサポーターは自己主張が強い。ゲートフラッグを掲げて自分の好きな選手をPRしたり、「俺たちがここにいる!」ということを主張するような応援歌を歌ったりする。

サッカーの応援はしんどい。90分間で休んでいる時間は少なく、基本的にはずっと歌いっぱなしである。もっとも疲労はするのだが、選手達と一緒に疲労していくのも、楽しいものなのである。

自己を犠牲にしてでも真剣に応援を続けて、ゴールが決まったときには爆発したように歓喜することが出来る。あの1点を決めた時の「爆発感」は、サッカーの最大の見せ場である。

サッカーには、ある種の理不尽さがある。どれだけ頑張っても勝てない時は勝てない。30本のシュートを撃っても、たった1本の相手のシュートにやられることもあるのだ。

それは宗教的な受難に似ている。そのため、我々は応援する際には、祈るしかないのである。神に祈り、ゴールという奇跡が起こるのを待つ。そして奇跡を起こした選手を英雄として祭り上げるのである。

サッカーを応援する際に求められる必死さとしんどさ。そして、その先にある救いと、強烈な高揚感。これには麻薬的な魅力がある。だからこそ、ワールドカップなどの世界で行われる試合であっても、現地まで応援に行こうと思うサポーターが見られるのである。

ここまで考察してきた上で、またこの問いの前に立ちたい。

「サッカーと野球のどっちの味方なのかを選べ。さもなくば処刑する。」

ぼくの回答は、「両方面白いじゃん。両方楽しめばいいよ。」というものである。もちろん、野球協会とかJリーグとかの中の人は、自分たちが運営している競技が最高のパフォーマンスを発揮するように努力するべきだ。

しかし、普通の観客という立場でいうならば、サッカーも野球も面白いのである。何もわからなくなってしまった野球という競技が、ここまで楽しめるとは正直言って思わなかった。

ぼくの中には「野球脳」があるからというのは一つの回答なのだが、一緒に行った仲間の中には「タッチアップ」とか「ボーク」とかがわからない人もいた。それでも野球観戦は楽しかったと言っていた。

野球とサッカーのどちらが生き残るのかというのは、お互いを高めるためにも全力で競争しあうべきだろう。しかし、どちらか片方しか見れず、もう片方を敵視するというのは何か違う気がする。

日本にとってのサッカーは、イングランドやブラジルのサッカーとは違う。野球という競技が根付き、プロ野球が文化として存在しているという土台の上でのサッカーなのである。

サッカーと野球は質的にまったく異なるスポーツで、参考にならない。比較しても意味がない。ぼくもそう思っていたのだが、見比べてみると色々と発見があって面白かった。

日本全国のサッカースタジアムに行ってみようと志し、今のところ28クラブの本拠地を訪れている。その延長として、野球場も全部回ってみようかな。

鳥取とか、沖縄とか、会津とかそういうところじゃなくて、新幹線が通るような大都市でやっている野球場を回るのは非常に楽である。広島に行ったときも、マツダスタジアムのすぐそばで新幹線を降りてから、遠路はるばる大秘境のビッグアーチまで行ったのである。

思えば東京近郊の球場は、東京ドーム、神宮球場、横浜スタジアム、西武ドーム、マリンスタジアムと5つもある。半分近くが東京近郊ということになる。

千葉ロッテマリーンズの応援は、サッカーに近いなんて話を聞いたことがあるし、覗いてみると面白いかもしれない。そういえば、ビールの売り子も可愛いらしい。

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野球を観に行ったことでの最大の収穫は、小学生だった頃の自分に再会できたことかもしれない。卒業式の時に告白したエースのことなんか思い出すとは思わなかった。

彼は、巨人軍に入ると宣言していたのに、中学ではサッカー部に入ったのである。

それは1993年。Jリーグ開幕の年のこと。

思えばあの時から、サッカーvs野球の戦いは始まっていたのだ。この先、野球とサッカーはどちらが発展していくだろうか。それをぼんやりと見守っていくのも楽しかろうと思う。


ちなみに、同じようにチケットをもらってJリーグを初観戦した時のブログ記事がこちら。だいぶ雰囲気が違うのは、当時の自分を取り巻く状況のせいか、あるいは競技としての性質、応援の性質の違いが影響しているのか。

Jリーグを初観戦した結果、思わぬことになった。 | はとのす

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