徹マガで「Jリーグの未来を考える対談」をしてきました!


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写真家・ノンフィクションライターの宇都宮徹壱さんが主催するウェッブマガジン「徹マガ」で、対談をしてきたので告知&報告したいと思う。

「徹マガ」といえば、以前こんなインタビュー記事を載せてもらった。

通巻173号 僕がJリーグについて書こうと思った理由
中村慎太郎(作家、「はとのす」主催)インタビュー

これは、まだ例のブログ記事を書いたちょっと後くらいのこと。この時宇都宮さんから「将来的にはブックライター(本を書く人)を目指すべきだし、1年後にはきっとそうなってると思いますよ」と言ってもらったことは一生の宝物。

そういう経緯もあり、肩書きを「フリーライター」から「作家」に変えた。照れくさいし、何の実績もないのに偉そうにと叩かれるかもしれない。けど、胸をぐぐっと張って、しっかりと名乗ることは大切なことなのだ。


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秋元大輔さんと『Jリーグ再建計画』について

というわけで対談へ。

お相手は、サッカーライターの秋元大輔さん。関わった本の中で、代表作はこちら。

サッカーで飯が食えるかと言われると……と語りだすとキリがないのでやめておこう。

秋元大輔さんというと最近この本を書かれた方。

編者は前チェアマンの大東和美さんと、現チェアマンの村井満さん。そして構成が秋元大輔さん。

この本は、ぼくの『サポーターをめぐる冒険』と一緒に購入する人が多いらしく、Amazonのページを開くと同時購入が勧めらる。

対談に備えて読んでみたのだけど、非常にクリティカルな本だと感じた。大まかな内容は以下。

第一章 Jリーグの窮状 ~課題山積の現在~

第二章 2ステージ制とシーズン移行について

第三章 Jのアジア戦略について(欧州資本に食い荒らされるアジア)

第四章 クラブ経営について (優勝が決まる試合でも満員にならない)

第五章 J3について

第六章 育成について

第七章 国内プロモーションについて (日本にはJリーグに興味のある人が少ない)

第八章 村井チェアマンの掲げるビジョン

こう概略を眺めてみて最初に気付くのは「2ステージ制」について。未だにサポーターから、強い反対を受けているこの新制度が、何故ここまで反対されているのか、突然の発表の裏舞台を書いている。

この本は、チェアマンの名前が連ねてあることから、Jリーグの公式発表と言っていい。真剣にJリーグの未来を考えて2ステージ制に反対しているサポーターは、第一章の「Jリーグの窮状」を読んだ上で、この章に目を通すといいと思う。

いや、これは読むべきだろう。

・ポストシーズン制導入の背景
・導入決定に至る経緯
ベストは1ステージ制という共通認識
・ポストシーズン制を採用する国々
・メリットとデメリット
サポーターとのコミュニケーション不足を謝罪
・なぜもっと早く現状をオープンにしなかったのか
・導入決断を評価する声
・最後まで反対した浦和レッズ社長の見解
クラブによって異なるサポーターの受け止め方
・選手会の立場からの意見
・一連の騒動について選手の立場から感じたこと
ポストシーズン制をいつまで継続するのか
改革に失敗した場合の責任の所在
・Jリーグは秋春制に移行するのか

基本的には、Jリーグが抱えている難題をすべてオープンにした本である。こういうのがオープンになるという点は、非常に優れた特性であることを踏まえた上で、議論していく材料にしたい。

でも、実は、対談を一回断った

対談、といっても宇都宮さんもいるので、実質的には「鼎談」なのだが、最終的にタイトルは「Jリーグ、内から見るか? 外から見るか?」というものに落ち着いたらしい。

このタイトルからわかるのは、ぼくと秋元さんの姿勢が異なったものであり、対立する構造であったということ。

正直言って、この対談のオファーを宇都宮さんから受けた時、

「喧嘩になると思うからやめたほういいと思いますよ」

と返したくらいなのだ。今のぼくとはJリーグを見ている位置が全然違う。観戦歴も違うし、書き手としてどう扱っているかも違う。

また、「この手」の人は、サポーターをクレーマーのように思っていることが通例で、ぼくはどういうわけかサポーターになってしまったこともあり、恐らく対立構造になるだろうと予測したのだ。

そして、対談では案の定……

久しぶりにエキサイトした気がする。ある種のイライラ、「こいつわかってねぇな」感を抱えながらの議論は、宇都宮さんのジャッジもあって、決して破綻することなく、意外な結末を迎えることとなった。

お互いかなり熱を入れて話していることが功を奏したのか、対談原稿を読んだ編集長の澤山さんはこうつぶやいた。

とまぁ、おまけとして、『サポーターをめぐる冒険』の対談を行った時点での出版部数がわかります。印税は通常5~10%くらいなので…… 以下略

対談後。

「宇都宮さん、だから喧嘩になるって言ったじゃないですか。」

宇都宮さんは微かににんまりと笑いながら……

「もちろん、ぶつかるのはわかってたけどね。でも、お互いやり過ぎないところでやめれるでしょ。おかげで面白いものが取れました」

というような主旨のことを仰った。流石です。適いません……

DSC_0303

写真は、試合後、もとい対談後に、ファイルの処理作業などをする宇都宮さん。サッカーマニアは後ろにあるユニフォームに注目!

対談の裏にあった構図

実はこの鼎談、裏の構図が面白い。

中村慎太郎 = サポーター。

秋元大輔さん = 元サポーター。

宇都宮徹壱さん = 非サポーター。

ぼくは「Jリーグが面白いよ!面白いからぼくは好きになったんだ!」というウェットで主観的な感じ。

仕事にしている人の中には、「Jリーグはお客さんが増えないいまいちなリーグ」であり、「構造的にどうしようもない」という諦めを見つけられることがある。

一方で、ぼくはその「どうしようもないはずのリーグ」が好きになってしまったわけで、Jリーグを再建したいと言われてもいまいちピンとこないわけだ。

「サポーターじゃないとわからない」という感覚はどうしてもあるのだ。これは、なかなか言語化が難しい。

例えば、『サポーターをめぐる冒険』で、ルーカスが重傷を負ったという報を受けて、ぼくは仙台に向かうことを決断するわけだけど、あれはサポーターからすると「よくわかる話」らしい(もちろん、すべてのサポーターがそう思うかどうかはわからない)。

一方で、サポーターではない人からすると「唐突な出来事」と感じられることもあるようだ。

サポーターとしての生き方というのは、ぼくの人生の刻一刻に根付いていて、それは時には理屈を超えて作用することがある。

2ステージ制が大炎上した時、ぼくはサポーターではなかった。それどころかJリーグに関心すら持っていなかった。だけど、あの時ぼくがサポーターだったら、猛烈に怒っていたかもしれない。

サポーターとは、支持するクラブの歩み、あるいはその母体であるリーグ自体の歩みと、自分の人生がごちゃまぜになってしまった人のこと、と定義することも出来るかもしれない。

「37歳の誕生日? ああ、あれは最高に気分が良かったよ。何せ、某チームに勝った次の日だったからね!!」

まだ1年に満たないぼくでもこういうネタはある。

「2014年の正月は、虚しさもあったね。本当はぼくらが国立競技場で騒いでいるはずだった。それなのに、広島のゴール裏から、横浜側が盛り上がっていくつも弾幕を出しているのを眺めていた。帰り道は色々考えちゃったよ。なんで、あの試合で勝てなかったのかって。でも、その時の思いがあったから2014年っていうのは、優勝したいなという思いを込めて頑張ろうという気持ちになったところはある。優勝して飲むビールは美味しいだろうなぁ。」

などと書き出すと止まらなくなる。サポーターとしてクラブに接すると負けの虚しさをしょっちゅう味わう羽目になる。しかし、それはネガティブなものではなく、だからこそエンターテイメントとしても優秀なのだ。

負けた時には心底落ち込むし、そういう経験を何度もする羽目になる。だからこそ、勝った時は尋常ではなく嬉しいのだ(最もまだその嬉しさを味わってないんだけど!!!)。

一方で、非サポーター的な視点では、「どの試合であっても、どんな結果になっても楽しめる」という理屈が成立する。

同じ試合を見ていても、サポーターと非サポーターでは感じ方が全然違うし、例えば2ステージ制などの議論においても、考えることは全然違う(当然どちらが良いという話ではない)。

宇都宮さんと中村慎太郎の対談であれば、「なるほど、そうなんですか」と宇都宮さんが淡々と話を聞くような展開になっていただろう。ぼくとしては、自分の言いたいことが言えるし、気分が良い内容になったいただろう。

しかし、今回は、元サポーターである秋元さんが介在していた。ぼくとの議論で、失われたサポーター魂を思い出したのか、あるいはぼくの意見にどうしても納得がいかないところを見出したのか、秋元さんの論もヒートアップしていく……

それに合わせて、ぼくも段々とヒートアップしていき……

正直あと2時間欲しかったが、それは是非次回ということで!

最後に宇都宮さんの言葉を引用したい。

「そんな両者の対談だが、読み進めるうちに話が噛み合わない部分があることに気づくはずだ。おふたりが実質的に初対面だったこと、司会役の私がうまく仕切れていなかったことも要因としてあったかもしれない。

だがそれ以上に思い当たるのが、Jリーグを内側から見るか、外側から見るかによって、まるで問題意識が異なってしまうということだ。確かに予定調和ではないけど、その分、興味深い内容にはなっている。この対談が、Jリーグの今後を考える契機となれば幸いである。」

確かに、予定調和ではないけど、ぼくとしては、最後の最後に「秋元さんすごい!!!」と感じられる一言を頂いて、なかなかの清涼感でした。

※徹マガは、有料ウェッブマガジンですが、購読料は「当月無料」となっているので、ぼくの記事については、最低でも前半、場合によっては後半も無料で読めるかもしれません。


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