昨日は、「どうみてもスポーツ万能の顔をしている」と仲間内で噂されているP氏と会食(これ言ってたの誰だっけ?)。直前に、仕事上で爆弾が炸裂したらしく、爆弾処理班としての責務も負うこととなった。
そんなP氏に「今日はどんなスケジュールだったの?」と聞かれたのだけど、社畜界のトップスターには理解されなかった模様である。P氏は2日に1回は、自分のことは社畜であると述べ、5日に1回くらいは生牡蠣を食べている(ような気がする)。
さて、振り返ると、昨日はこんな感じのタイムスケジュールであった。
午前3時 起床
起床というか目が覚める。前日にビールを2杯飲んだせいで、血行がよくなって中途半端な時間に目覚める。お酒は安眠を妨害する。こうやって目覚めると心臓がドクドクいって二度寝することは不可能。
午前3時から6時 散歩
家にいてもしょうがないので、防寒具を装着し、スケッチブックと双眼鏡をもって散歩に出る。サッカーを見始めたことの最大のメリットは、普通の寒さにはビクともしなくなったこと。朝3時だというのに全く寒さを感じない。
お気に入りの川沿いの道を歩く。緑と水に彩られた江戸川区は、散歩するには良い場所になってきた。鳥がいる森がないのは難点ではあるが、水鳥には会える。キンクロハジロ、マガモ、オオバンなど。
はとのすblogの記事のうち気合いを入れて書いた物や、サポーターをめぐる冒険の原稿などは、この道を歩きながら考えたのである。浦和レッズのゴール裏にいった時のblog記事を書いていた時のこともよく覚えている。
雨の中、レインコートを着て、覚えたばかりのチャントを歌いながら、夢遊病のように延々と歩き続けた。無心になるまでとにかく歩き続けると何かが見えてくることがある。キラリと閃くこともある。じんわりとやるべきことが見えてくることもある。
サポーターをめぐる冒険を書くときは合計100時間以上歩いている。歩くことは、考えること。とにかく歩くのだ。今回の散歩は非情に有意義で、どうしても決断ができず、うまく書けなかった箇所を突破する閃きを得ることが出来た。あるいは、覚悟をすることが出来た。
いや、覚悟は既に出来ていたのだが、やはりそれで行くしかないと諦めたというべきだろうか。
ぼくは自由で、どこにでも進んでいくことが出来る。しかし、すべてを自分で決めなければならない。最初は絶望的なまでの孤独に震えて、恐ろしさすら感じたものだ。
6時~9時 帰宅 仮眠
自宅に戻り、子供を起こして自分は寝る。2,3時間寝た後にゴソゴソと起きる。そして、子供を保育園へと送る。
10時ー12時 書斎「ファミリーレストラン」
帰りにガストでモーニング。新聞が置かれているファミレスはお得である。野菜ジュースを2杯とコーヒーを1杯。黒豆茶も。
散歩した時に閃いたことをメモしたスケッチブックを開く。無秩序に並んだ断片的なアイディアを統合し、大きな流れになるかどうか試してみる。今書いてるのは本の前書きで、ここで流れを作らないと、本がうまく機能しなくなる。
大きな流れを作り、読者は流されているだけでいいようにする。渾身の力を込めて読解することを求めるような書籍は、現代では通用しない。サービスとしての大きな流れが必要である。それはサービスであり、愛である。
せっかく本を手にとってくれた人に、気持ちが伝わりやすくなるように、少しでも楽しんでもらえるように、愛を込めて流れを作る。
しかし、何もないところに流れを作るのは本当に難しい。冒頭の文章は生まれてはまたすぐに消えていく運命にある。本当に強い冒頭しか生き残れないのである。著者の仕事は、良い冒頭を生み出すことであるが、それは同時に、悪い冒頭に対して淘汰圧をかけることである。
ある意味では淘汰圧の強さが、作家としての質に関わってくる。しかし、圧が強ければ強いほど執筆には苦痛が伴うようになる。圧は、職業意識というべきなのか。これも愛情というべきなのか。
ともかく、この日は良い文章が出来た。これまでは、何度書いても、どこか自分の遠くにあることを書いている、心のこもっていない文章に思えてしまっていたのだが、自分との距離が近い、自分が根ざした、魂の籠もった文章が書けたように思う。
単に技巧を凝らしただけの文章を書いてはいけない。魂が逃げていってしまう。小学生でも書けるような、小学生でも読めるような、平易な、普通の言葉を使って、緻密で壮大な浪漫を描くのだ。
12時半~14時 帰宅 小休止
自宅に戻り、リラックスしながら、唐揚げとクリームチーズを食べる。
14時ー15時 家事
食器洗浄、洗濯、掃除機、風呂掃除。
15時ー16時半
財務とスケジュールの整理。車のタイヤ交換。
17時半ー19時半 書斎「上島珈琲」
原稿の続きに挑むが、いまいち調子が出ない。あまり有意義ではなかった。
隣の隣にノマドワーカーが座っていた。ずっとパソコンと睨めっこしているのだが、時折若者がその席にやってきて、お金を受け取り領収書を書いて去って行く。若者とノマドの男は面識がないようで、初めましての挨拶から始まることも多い。
一体何の仕事なんだろう。この人前に来た時も同じ席に座っていたような気がする。LINEの通知音を切らずに、ずっとピコピコと音をさせていたから覚えていた。静かで落ち着いたカフェのソファー席で、通知音を切らないのはどうかなと思うのである。仕事が捗らなかったのは、そのせいかもしれない。単に眠かっただけかもしれない。
20時-23時 P氏と会合。爆弾処理とサッカーの話
色々喋る。友人との楽しい時間であるが、同時に仕事上のアドバイスや示唆も多々もらえる有り難い時間でもあった。
というわけでこの日は、大まかに言うと執筆のために使った時間が7時間。雑務が1時間半。家事1時間。会食3時間。というスケジュールでございました。
仕事時間はやや短めだけど、濃度は高め。