東大に11年在籍した後、タクシードライバーになりました

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短期語学留学とは人生のご褒美ではないか

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ふと思った。

短期語学留学をすると幸せになれるんじゃないだろうか。

ぼくは語学が苦手だ。
いや、教科としての英語や国語はとても得意で、偏差値でいうと75くらいまで到達していた。
しかし、会話ができないのだ。

その理由は明白で、日本語で思考するのが得意すぎて、英語だけで思考することがうまくできないのだ。

これはぼくだけの話じゃなくて、学校の成績としては日本の歴史に残るレベルの優等生であった友人も、英会話には障壁があると言っていた。つまり、母国語のように使いこなすのは難しいということだ(もっともその友人の場合は、ハーバード大でディスカッションする際などが想定されているのだが……)。

研究者は英語で話をするのが得意な人が多いのだが、それは専門について話しているからだろう。ぼくもアワビの生態についてならある程度英会話はできた。

また、酔っ払ってくると日本語を使う脳の部分が麻痺してくるのか、英語が流暢に話せるようになる。

海沿いの研究所に一緒に暮らしていつも一緒に飲んでいた不良京大生も同じ事言っていた。

「おれ、酔うと英語ペラペラやで」

(脳内の記憶だとこんな口調)

趣旨と関係ないのだが、研究世界で生きていくことに絶望しつつ、多量のお酒を飲みながらドゥームメタルを大音量で聴いていた日々が懐かしい。住む世界が変わったのでもう会うことはないかもしれないけど、あれはとても良い時間だった。

本格的なドゥームメタル愛好者はお薬をやるのだろうが、気持ちはわかる。お酒で涅槃の境地に至るのはなかなか大変だ。大麻が合法化したら試してみよう。日本で合法化したら。

閑話休題。

語学が苦手なのは、会話する経験が少ないからなのは間違いない。一番いいのは海外に飛び込んでしまうことだ。日本にいるとどうしても日本語で思考してしまう。ぼくはブラジルに1カ月いたことでかなり英会話が上達した。ブラジルでは英語を使っていないのに。

どうしてこういうことが起こったのかというと、日本語に頼れない状況にいたことで、外国語でのコミュニケーション能力があがったのだろう。言葉だけではなくジェスチャーや表情などで意志を伝える方法を学んだのだ。

ブラジリアのホテルで、受付のお姉さんがぼくを不法宿泊者と勘違いして、早口のポルトガル語でまくしたててきたことがあった。

そんなときは困惑してはいけない。安心させるように笑顔を浮かべて、表情で「安心して。敵ではないよ」と伝える。そして、片言でいいので、一つずつ説明していく。そうすると誤解は解けて、彼女はまた早口で「デスクーパ」といった。

ぼくも笑顔で「チャオ!」と言うと、彼女は選手宣誓くらいの勢いで手を上げて「チャオチャオ!!」と言った。

コミュニケーションは出来ているのだ。しかし、これは語学が出来ているとは言いがたい。

彼女の出身地から好きな食べ物、家族構成や、好きなサッカークラブについて聞き出すのが語学の力だ。

この能力を身につけたいと思ったのは、先日松本山雅といわきFCの若いサポーターと話していたときのこと(青いタオルをつけたおじさん含む)。

少しでも良いクラブにしたいと燃える若きサポーターは、ぼくの周囲の人がもう言わなくなったことを熱心に語っていた。そして、他のクラブの応援も知りたいから国内の色んなところにいってみたいと言っていた。

そこでぼくは言ってしまった。

「国内はあんまり意味ないから海外いったほうがいいよ。浦和レッズの初期のサポーターはイングランドにいって応援を研究してきたし、植田朝日さんが作ったFC東京の応援はアルゼンチン系が多いんだ」

反応はぽかーんでした。

そりゃそうなるかとあとで反省したのだが、国内で学んでいても、国内のクラブと差をつけることができないのは、理屈としては明白だろう。ぼくはブラジルワールドカップで、アルゼンチンサポーターをみて人生が変わった。そういう経験をしてほしいなと思ったのだが、今は、若いサポーターと海外を結ぶリンクがない。

となると、ぼくが書けばいいのだ。

国内だけでガラパゴス化していくのもいいと思う。
しかし、やはりまだ応援についても海外から学べることはあるだろうと思う。

日本の応援は、自由さよりも、規律を求める傾向がある。
「隣の奴が飛んでいない。声を出していない」などの不満を聞くことがある。
しかし、アルゼンチン人は隣の人間などみてもいなかった。自由に、自分が楽しむことを優先していたのだ。

規律を求め続けると究極的には北朝鮮のマスゲームになる。それが一番良い応援だろうか。ぼくは違うと思う。規律と統制の先には自由な表現はないからだ。

ただ、これはぼくの考え。今のぼくの考え。ぼくだって、海外の応援にそんなに強く向き合ったことがないし、そもそも語学ができないから海外に行こうともあまり思わないし……。海外旅行するお金もないし……。

もし海外旅行をしても、結局買い物くらいしかしないから、大して言葉を覚えないことは明白なのだ。

と、まで考えたところで、閃いた。

語学留学。

英語、スペイン語、ポルトガル語の語学留学にいけば、サッカーが盛んな地域に行けるではないか。語学を学び、週末はサッカーを見に行く。そしてそれを文章にする。海外サッカーの応援を、サポーターについて専門性がある著者が書く。これは日本のサッカー文化の財産になりうる。

売れるかどうかでいうと……。まだビジョンはないものの、面白いものを書いて突き抜けていく気迫が大事だ。きっと面白くなると思う。

他にも、アジア圏では、タイ語、タガログ語(フィリピン語)、インドネシア語、ベトナム語などもいいと思う。

タガログ語なんかフィリピンパブでも使わないレベルなのだが(英語が通じる)、大学にいるとき消えゆく少数言語について調べたことがあって、ちょっとマイナーな言語にも興味があるのだ。興味はあるが、習得コストと代価が釣り合わないと思っていたのだが……。そうか、本にすればいいんだ。物書きなんだから。

ああ、見つけたな。これは面白いテーマだ。

語学留学&サッカー観戦!!

書籍のアイデアを出していいのかという話なのだが、同じ事を誰か他のライターがやっても、ぼくのほうが面白いことを書けばいいだけだ。

英語だとイングランドが一番いい。
スペイン語だと、スペイン、メキシコ、コロンビア、コスタリカ……などなど。
ポルトガル語はブラジルとポルトガル。

東南アジア諸国のサッカー紀行文も書いてみたい。

必要ないのは、時間とお金。時間は何とかなるのでお金だけ。
お金といっても必要なのは20〜30万円。絶対に用意できない額ではない。

よし、今年頑張って、来年行こう。目標ができた。
やっぱり最初はイングランドかな。

プレミアのにわか勉強もするけど、行ってみたいのはノッティングフォレスト。伝説の白いチームはまだあるって聞いたんだけど。

物書きの人生は忙しく、非常に楽しい。

きっと
想像した以上に
騒がしい未来が
ぼくを待ってる

スピッツ『チェリー』より

<補遺>
国語や英語の偏差値が高くても文章がうまいとは限らない。むしろ邪魔になることがある。東大生であっても、大学にいっていない高校卒業者であっても、文章がうまくなる人の割合は一定のような気がしている。

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