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松本サッカー旅とハトトカ収録の旅 2日目のまとめ

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松本二日目。
車中泊から目覚めて、松田のいびきを聞きながらブログ記事を作っているところまでは書いた。

松本山雅vs東京ヴェルディとハトトカ収録の旅 1日目のまとめ - はとのす

奇人松田が、わざわざ信州松本まで来て動画編集の仕事がしたいというので、面倒なので置いていくことにした。

ちなみにその時の動画はこのストリーミングのどこかにあるらしい。オルテガ監督は、メッシの恩師らしい。足立区のメッシとかじゃなくて、リオネル・メッシそのものです。娘さんは超美人。

というわけで、運気が下がるので松田を切り離す。

当初は、山奥の方まで行ってみようと思っていたのだが、車中泊の疲れも正直言ってあるので諦めてアルプス公園へと向かうことにした。

アルプス公園というのは、松本市蟻ケ崎にある総合公園で、自然博物館や動物園、アルプスドリームコースターなどがある。アスレチック器具も多数あるので子供を遊ばせられる公園とのこと。松本の人に聞くと、学生時代に歩いた(歩かされた)思い出がある人もいるらしい。

松本の温泉地に遊びに来たら家族でアルプス公園にいけば、お金をかけずに子供を一日遊ばせることが出来るし、大人も自然散策や絶景を楽しむことが出来る。なかなか良いスポットだ。

大人だけの場合でも、遊具がない自然散策コースを選べば楽しむことが出来るはず。マレットゴルフのコースが36コースもあって、早朝からおじいさんのソロプレイヤーがプレーしていた。

駐車場は完備されていて無料。
バスの場合は、松本駅から15分。松本城から歩けないこともないとは思うが、坂がきついので徒歩はやめたほうが無難。

さて、ぼくが車を止めた南口(だったと思う、北口ではないほう)にある展望台からの景色。

 

レタッチしたので再掲!

松本城天守閣からの風景も素晴らしいのだが、山の上から見るほうが壮大であった。風が吹き抜けてとても気持ちがいい。そして、山の斜面で野鳥が鳴いている!!

ホオジロ、シジュウカラ、ハシブトガラスなどのどこにでもいる野鳥に加えて、冬の野鳥であるジョウビタキを発見。

簡易的なカメラではあるがなかなか上手に撮れた!!ちなみにカメラはこちらのシリーズ。うにょーんと先が伸びて、50倍までズームすることが出来る。野鳥の写真を撮ってみたい人にはオススメのカメラ。野鳥は小さくて、速いので、撮影は簡単ではないが、撮れた時の喜びは大きい!

FUJIFILM コンパクトデジタルカメラ S1 ブラック F FX-S1

小型キツツキのコゲラさんも発見。

もっともコゲラは、東京の普通の公園でも見ることが出来る。ギィーっとネジを巻くように泣くので、村上春樹の『ねじ巻き鳥クロニクル』の元ネタなんじゃないかと思っている。

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

山の神はこちらという標識があったので向かってみる。山の神という言葉の意味はよくわからなかったが、どうやら少し登山のノリになるようだ。このあたりでアカゲラの声が聞こえてくる。

キュッキュと子供用のサンダルのような音がする。アカゲラはかなり数がいるようで、4,5回は鳴き声を聞いた。姿も確認は出来たが、写真には取れなかった。もう少し落葉していれば写真も取りやすそうだ。

結局2時間くらい歩き回る。
高原の空気が肺に入ってきて非常に気持ちが良かった。

観察出来た野鳥は……
ハシブトガラス、コゲラ、アカゲラ、ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ、スズメ、ホオジロ、ミヤマホオジロ(?)、ジョウビタキ。

というわけでアルプス公園を堪能したので、アルウィンに行って試合を見よう……

と、その前に!!

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松本に来るといつもサッカーやら飲み会やらロック総統の介護やらで忙しいため、ゆっくり温泉に行ったことがなかった。なので、エディオンとかくら寿司があるショッピングエリア(何ていうんだろう、あそこ)、にある「湯の華銭湯 瑞祥 松本館」というところに行っている。

ここも駅から近いので悪くないのだが、本格的な温泉という風情ではない。そして今日は午前中がフリーになったのでチャンスだ!! 調べてみると浅間温泉が近くにあるらしい。

行ってみよう!!

途中、塩倉池という水場があって、あそこを丁寧に探せば色々いそうだなと思ったものの、試合の時間もあるので諦めた。池の探鳥をやりだすと、結局ぐるりと一周する羽目になるので結構時間がかかるのだ。

ちなみに、今回は車なので、望遠鏡も搭載してきていたので水辺でも楽しく探鳥ライフを楽しめる。浅間温泉より先に進んで美ヶ原のあたりまでいけば、美鈴湖という水場があるので、今度来た時はそっちのほうまで行ってみてもいいかもしれない。

さておき、初の浅間温泉だったのだが、正直言ってあまり期待していなかった。というのも、アルカリ性単純泉なので、ほんのりアルカリ性のお湯が湧いているだけなんだろうと思っていたからだ。硫化硫黄泉とか含鉄泉とかいわれたほうが何だかありがたいような気がしてくる。

ただまぁ、車中泊したため、身体はちょっときつかったので、お風呂には行きたかったのだ。

さて、浅間温泉。今回は枇杷の湯というところにいった。浅間温泉は傾斜地に細い路地を組み合わせたような地形になっていて、こういうところだから温泉が湧くんだろうかと思いつつ運転していたのだが、ここではグーグルマップが役に立たない!!

指示された道を進むと、途中から歩行者しか通れなくなっていたり、うまく曲がれなかったり……。苦労してようやく辿り着く。

雰囲気のある古い旅館の中を進んでいき、身体を洗って入浴。単純アルカリ泉なので、無色透明の普通のお湯である。

と思ったら想像以上に気持ちがいいお湯だった。柔らかく、刺激が小さいけど、普通のお湯よりも身体にまとわりつくような感覚があって、ほんのり気持ちがいい。刺激が強くないからずっと入っていられる。

露天風呂、というか屋根はあったので外風呂に入ると、これまたとても気持ちがいい。山の空気を感じながらしばらく入っていると身体はポカポカになっていた。普通のお湯っぽく見えるけど、普通のお湯よりずっと強力!!長時間入っていられるから全身くまなく温まる。

「温泉分析書」を見ると、うつや神経疲労に効くと書いてある。確かにこういうお湯ならば効くかもしれない!!

ここで湯治したい!!いくらだろう?!と思って調べてみるとまぁまぁ高い。

温泉郷で文章を書く暮らしをするには、もう少し出世しないと難しい。精進あるのみ。

浅間温泉を出て、アルウィンへと向かう。目的地は大芝生。アイシティに停めるといいよとか、色々な情報は頂いていたものの、大芝生へと向かった。というのも大芝生に車を止めてみたかったからだ。

初めてアルウィンに行った時、そうそうこれを書いた時。

松本山雅と出会った日 前編|中村慎太郎|note

帰りのシャトルバスは松本駅行きか、大芝生行きと書いてあった。

大芝生とはなんだろうか。

大芝生……。地名?

どうして松本駅と大芝生の二択なんだろうか。松本駅と○☓駅とい表示ならわかるのだが。と思っていたので、後にぼくは大人になってしまった。大芝生とは駐車スペースであり、だだっ広い芝生であることも知ってしまった。

それでもなお、大芝生を見てみたかった。ああ、死ぬまでに一度大芝生に行きたい。一度でもいいから大芝生の地に行ってみたい。ああ……憧れの場所、大芝生。

そして……何度も道を間違えながら……アルウィンに近づく。しかし、GoogleMapはまだ松本市を攻略していない。油断するとすぐに田んぼの中を突っ切って行く細い道が指示される。いやいや、こんなところは行けんよと一人でつぶやきつつ、バックで切り返すこと数回。

ようやくアルウィンへ!!!

そして約束の地、大芝生はすぐ近く!!

……のはずだったのだが、全然つかない。アルウィンからどんどん遠ざかっていく。大芝生、遠すぎないか?そうか、だからシャトルバスだったのか。

そしてようやくついた大芝生。びっくりするほど広い芝生!!!

……ということでもなく、ただの駐車場であった。うむ、夢は叶えるまでが美しいのだ。

そして、大芝生のシャトルバス待機列が大行列していて、アルウィンに全然つかない。大芝生はやはりちょっと条件が悪いようで、駐車場AとかBとかいうあたりを確保するために地元の人は頭を使っているようだ。そういえば、ゆーすけさん(twitter)につれてきてもらった時は、もう少し近くに止めていたような気がする。

シャトルバスの待機列に並んでいると、後ろにいる女性をどこかで見たことがある気がする。誰……だっけ……。どこかで会ったことがある。でも、どこで?

話しかけて聞いてみるのはなかなか難しい。そんなに高いレベルのコミュニケーション能力は持っていない。誰だろう……。ぼくは、サッカー界隈ではぷち有名人のはずだが、こっちを知っている前提で話しかけるととんでもない恥ずかしい思いをすることになる。あるいは、「どこかで会いましたよね」とか話しかけるのは完全にナンパじゃないか。松田じゃないんだ、ぼくは。

それでも一人だったら話しかけたかもしれないが、女性の二人連れだったので、尚更話しかけづらい。どこかで会ったはず。誰だっけ……。でも、あっちは覚えていないだろう。

と思ってようやくバスに乗る。

バスの降り際に目があったところ、何となく思い出してきた。間違いなくどこかで会っている。が、何を話したとか、どこへいったとかいう記憶が出てこない。

うーん……。

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バスを降りた後、しばらく悩んでいたところ、アルウィンを見た瞬間に思い出した。

そうだ。前にゆうすけさんと二人できた時、5月のアビスパ福岡戦の時だった。その時は、明治安田生命の社内誌に書かせてもらっている連載のための取材であった。

試合には松本が勝ち、原稿を書く上でも撮れ高は十分だなと思い、ゆうすけさんと駅前でお土産を仕入れた後、喫煙所に立ち寄った。ということは、ゆうすけさんタバコ吸ってたのかな(覚えてない)。

そこにいたのが、ソロ観戦に訪れたアビスパ福岡のサポーターと、松本山雅サポーターの女性。ぼくはタバコを吸わないので、手持ち無沙汰だから何か喋っていた気がする。

ぼく「アビスパサポーター御用達のスポーツ居酒屋Kiten!ってご存知ですか?」

アビスパサポ「知りません」

ぼく「……」

アビスパサポ「……」

ぼく「サガン鳥栖サポ以外は大歓迎みたいなので是非いってみて下さい」

アビスパサポ「はい。」

ぼく「……。ロック総統ってご存知ですか?」

アビスパサポ「知りません。」

ぼく「……」

アビスパサポ「……」

ぼく「コスプレした変なおじさんなんですけど知りませんか?そちらの……」

といって松本サポーターの女性を見る。

松本サポ「……。知りません。」

ぼく「……」

ぼく「うん、ただのおじさんなので、知らなくてもまったく問題ないので大丈夫ですよ。失礼しました!

このときの松本サポーターの女性だ!!!
そうだ、あのときのあの人だ!!!

はー、すっきりした。
詳細を覚えていないわけだ、話していないわけだから。

あのときのことを切っ掛けにロック総統ファンとかになっていたらちょっと嫌だなと思いつつ、すっきりした脳でスタンドへと向かう。

そこで、松田が復帰。そういえば松田がいることをすっかり忘れていた。

隣りにいるのは松本サポのアサクラさん。前日は一緒にボールを蹴ったり、アルウィンの話をしたりして遊んでもらった方。

松田が復帰したので何か収録しようと思ったのだが、いつ戻ってくるかもわからないので何も構成を組んでいなかった。なので、ちょっと気の抜けた収録に。すっかり一人旅モードになってしまった。

そして、松田と共にアルウィン内部へ。

日本語はひどいが、写真はうまい松田。
ちなみに、英語は日本語よりもうまい。枠としては帰国子女。

というわけで試合。

試合のレビューは書き出すとキリがないのだけど、ぼくの好きなセルジーニョ、高崎、岩上が活躍したのでそういう意味では良かった。ぼくは自分のところを除いて考えた場合だが、松本山雅はとても好きなチームだ。これはサッカーの内容の意味においてである。

その「好き」の8割くらいは岩上祐三が占めている。ああいう選手になりたいなと常々思ってプレーしていたから、理想を体現してくれているようでとても好きなのだ。

いつか公開されるハトトカの収録で、さんざん推し続けた成果が出たのか高崎選手がゴールを決めて、収録的には勝った!

というくらいで試合の話はおしまい。ハトトカで色々喋っているけど、旅の疲れもあるのでマッチレビューとしての精度は低め。その分のリアリティがにじみ出て面白くなっているといいなぁと期待はしている。収録した音源が面白いかどうかは、聞いてみないとわからないのである。

この日の観戦について、書くか書かないか迷ったのだが、ちょっとモヤモヤするので書き記すことにした。基本的にはよそ者の意見なので、コアな人々は無視してくれたら良いと思う。ちょっとネガティブに聞こえるかもしれないが、100点満点で500点だったものが400点になったというような受け取り方をしてもらえると幸いだ。

ぼくは良いと思ったことは良いと書いてきた。それは心の底から良いと思ったから書いているのであって、誰かに好かれようと思って良いと書いてはいない。松本が好きだと書いているのも好きだから好きなのだ。

というわけで前置き終わり。

この日のアルウィンもとても良い雰囲気だった。優勝がかかった試合なので観客も多く、熱狂に包まれていた。初めてアルウィンを訪れた松田も驚いていた。アルウィンすげーな、と。

ぼくも思った。やっぱりアルウィンはいいな、と。

ただ、どうも、なんか、引っかかる。

山雅の応援ってこうだったっけ?

確かにとてもおもしろい応援だし、スタジアムは熱狂に包まれている。しかし、昔はこんなものではなかったはずだ。

初めて訪れた時は、ブラジル・ワールドカップから返ってきたすぐ後だった。そして、アルウィンで見たものは、ワールドカップのスタジアムで見たどの光景よりも凄かった。動き回るメッシ、叫ぶアルゼンチンサポーター。それよりもアルウィンのほうが凄かったのだ。

もしかして自分がアルウィンに慣れたせいだろうか。違う。明らかに音圧が異なっているし、「なるほど、そう来るか」という意外性が失われていた。そもそも、試合前の整然とした交通整理がなくなっていて、なんというか何となくになっているように思えた。

もちろん、ほとんどのチームの応援よりも整然としているのは間違いない。しかし、2014年の頃は、秒単位で計算されているに違いないと感心したのだ。今回はそこまでの精度があるようには思えなかった。悪いとは絶対に言わない。しかし、世界で唯一の特別なチームから普通のチームに少し近づいたように思える。

これは、松本で出会った古参サポーターの方から聞いた話ではない。100%自分の感想だ。

そういえばこういうこともあった。ぼくの勧めで松本を訪れたサッカーに詳しくないミュージシャンの方から、音楽的にちょっと厳しかったという感想を頂いたことを思い出した。その時は、音楽の専門家からすると、流石にサッカーの応援の粗が見えてしまうんだなぁと思っただけだった。

アルウィンの音は、世界最高の音楽の一つで、これ以上のものはないと思っていたからだ。ただ、もしかしたら、アルウィンの応援は、昔と少し変わったのかもしれない。

繰り返すが悪いとは絶対に言わない。恐らく特別な時代が過ぎてしまったのだろう。ぼくは詳しく知らないが、FC東京にも特別な時代があったと聞く。サポーター界のレジェンドである植田朝日さんが主導するFC東京の応援は、特別中の特別であり、日本に初めて現れたものであったため、次から次へとサポーターが増えていった。

しかし、今のFC東京の応援は特別ではなく普通になっている。斬新だったものが時代と共に当たり前になっていき、FC東京の応援を特別視する人もあまりみない。もちろん、サポーターは自分のところのチャントが好きな人が多い。そうではなく、他のサポーターや、サッカーを普段見ていない人も巻き込めるかどうかだ。

そういった特別な何かは、作るために信じられないような労力、あるいは勢いを必要とするのだろう。それはずっと続けられるものではないし、サポーターが十分に集まった後も保持する必要は必ずしもない。

2014年にタイムスリップして、当時のツイートを引用しよう。

ぼくはこう書いていた。

松本山雅の応援は、今がピークなのか。あるいは、もっと上があるのか。それとも残念ながら、少しずつ落ち込んで普通のチームになるのか。上があるとしたらどこまで突き抜けるのか。

この文脈でいうと、その時は特別なチームだったけど、今は普通のチームだと言えるかもしれない。当時のツイートを見てみると、いろんなところのサポーターがアルウィンと松本山雅についてコメントしている。東京、鹿島、広島、川崎……etc

くり返し言うがぼくのような部外者が何を言ってもそんなことは一切気にする必要はない。そしてぼくも、松本の応援を変えたいとか、特別であって欲しいというつもりもない。年月が経つ中で、当然の帰結として、段々と普通のチームになっていったということなのだろうし、それが悪いこととは言えない。

アルウィンという最強のスタジアムがあるので、それでも応援の迫力は感じられるし、何よりサッカーがとても見やすい。眼の前で見えた永井龍のスーパートラップはお見事だった。

ただ、昔のようにうっとりとした顔をして、アルウィンのことを語る人はあまりいなくなるだろうと思う。一体何が失われたのだろうか?部外者のぼくにはわからない。そして、そう言われるのは当事者の皆さんからすると腹が立つばかりだろう。

この感覚は、スタジアムでも感じていたのだが、家に帰って一日置いてみてようやく固まってきた。絶対に、当時の松本山雅はこんなものではなかったのだ。あれは、優勝がかかった試合の鹿島アントラーズや浦和レッズにも比するようなとてつもない迫力だったのだ。

『サポーターをめぐる冒険』に書いた、ナビスコカップ決勝の浦和とか、天皇杯で仙台と戦ったときのFC東京のような、特別な何かがあった。しかも、決勝などの異常な状況ではなく、日常の中にそれを作り出していたのだ。

あれは明らかに、誰かの意図によって作られていた。緻密な計算、工夫、死ぬほど時間と手間がかかる内部調整。そういったものを経て、細い糸をたぐりよせるようにして作り上げていった何かだった。

もちろん、その時作り上げたものはすべて継承されている。しかし、少しずつネジが緩んでいるように思える。

ツムツムというゲームがある。

中毒性があるゲームで、ぼくも一時期ははまっていた。
どうして中毒性があるのかというと、音や演出のタイミングを調整することで、脳が快楽を覚えるように最適化されているからなのだそうだ。やっているうちにどんどん気持ちよくなって、高揚していく。

当時の松本山雅の応援は、これでもかというくらい気持ちいいツボを押してきた。泣きたくもないのに泣かされた。こんな優れた芸術表現が、サッカーのスタンドに存在するなんて信じられなかった。

ぼくは、松本山雅という存在は、サポーターの力によって世界でも有名なクラブになるかもしれないと思ったし、知名度があがっていった結果、日本のレアルやバルサのようなビッグクラブになることもあるんじゃないかとすら本気で思った。もちろん、現実にはそうそうありえない話かもしれない。しかし、まったくの部外者にそう思わせるくらい、信じがたい光景が広がっていたのだ。

宇都宮徹壱さんは、松本山雅劇場という形容をした。

今回は、劇場とは言いがたかった。思えば、前回も、前々回も劇場だとは思わなかったように思う。もちろん、サポーターの応援による熱気は試合の展開などにも左右される。しかし、優勝がかかっていて、同じく優勝争いをしている相手に対して、ホームで迎え撃つというタイミングであることを考えると、やはり少しゆるい。

それが世代交代のせいなのか、ライバル不在の影響なのか、そういったことはまったくわからない。ぼくは知りえないし、知ったとしても書かない。今やっているサポーターも、全身全霊でやっているはずだ。手を抜くなんて意識はないはずだ。だから、こう書くのは失礼だし、怒られたり嫌われたりすることだろう。二度と松本に来るなと言われるかもしれない(そして実際に5件くらいは言われると思う)。

だけど、その論理で行くとぼくも「じゃあ東京来るな」とか「築地から魚を仕入れるな」とか言いたくなるし、そうすると困る人も確実にいる。

例えばここに務めている人とか。

ハトトカの音源の中でも繰り返し語っているが、松本は海から最も離れた地域の一つだが、海産物がとても美味しい。それはさておき。

サッカークラブは地域のものではなく、日本中のみんなのものであり、世界中の人のものだ。世界のインフラなのだ。だから、語ることくらいは許して欲しい。そして、ぼくは嫌われたとしても、松本には行くと思う。単純に好きな土地だし、アルウィンでサッカーを見るのが好きだからだ。

そしてもし、松本が普通のJ1.5のクラブになったとしたならば(J1.5 = J1とJ2を行き来するクラブ)、ぼくはもう一つの信州が気にかかる。

北信を訪れたときのことも外に出せずにまだずっとしまってある。あれを書こう。もうこれは商売ではない。書かないと気持ち悪い。しまってあるオレンジの取材ノートを引っ張り出そう。

なかなかJ3から抜け出せずにはいるが……

ライオンの牙はもう抜けてしまったのだろうか? それとも……?

今年の試合は12月2日だけのようだ。

さあどうする?

サッカーは関係ないけど今度北信に行った時には断固、戸隠へ行く。松本の探鳥スポットはまだ良いところが見つかっていないのだが、戸隠だけはガチ。あそこ以上に野鳥が多いところには行ったことがない。そばもたっぷり食べられる。

おしまい。記事への苦情はTwitterに受け付けるが「あくまで個人の感想です」としかお返事しようがないかも。
中村慎太郎 (@_shintaro_)

あと、ハトトカで細かいことにうるさいサポーターは5年でスタジアムからいなくなる説というのも語ったので、公開お楽しみに!

長野パルセイロと松本山雅のダービー「クラシコ」を描いた映画。この時の熱が残っていたのが2014年。ギリギリ間に合ったと言えるかもしれない。

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