この記事を書いたのが、10月16日のことだった。試合をみたのが10月5日なので、今日で2ヶ月と2日。わずか2ヶ月であることに驚く。ゴリラ型の研究者の人(@the_kawagucci )も驚いていた。もうちょいプロフェッショナルとしてちゃんとせいと説教されてしまったこともあるが、自分のペースも掴めないまま振り回され続けている間に、プロフェッショナルな姿勢など作れるわけがない。
どういうプロになるかというのは大切な論点のように思えるが、そんなことを考えちゃ駄目なんだ。何を作って何を売るかじゃない。もっと全身でサッカーを体験して、今では思いつかないような何か奥深いものを引きづり出してこなければいけない。
そのためには現場に行かなければいけない。
今日の試合のことはここでは詳しく書かないが、スタジアムに行かないことには何もわからないと痛感した。
テレビ観戦をしていた人の中には、「大迫の退場」について、Twitter上で議論していた人もいたようだ。でも、現場はそんなもんじゃない。あんな絶望はない、あんな悲しみはなかった。得失点差9を埋めないと優勝はない。それを成し遂げるて優勝する可能性はわずかにしかないことを知りながらも、全力で戦っていたのだ。その時に、ポイントゲッターの若きエースを失った痛みは、Twitterに軽々と書けるような類いものではなかった。
特にゴール裏では、イエローカードは妥当かどうかなんていう議論をしている暇はなかっただろう。危機的な状況に陥っても、少しでもチームの背中を応援しなければいけない。失意を抑えて、大声で叫んで、必死で応援していたように見えた。そのサポーターの姿をみて、その声を聴いて、スタジアムを包み込んでいる空気を感じないことにはサッカーを観たことにはならないんじゃないだろうか。
テレビ放送は、サッカーであってサッカーではない。紛れもなくサッカーの試合が放送されているが、あくまでも「参考資料」であって、サッカーの本当の姿は現場に行かないと何もわからないような気がしてきた。
例えば、テレビで観ていた人は、鹿島サポーターがハーフタイムの間ずっと声を出し続けていたことを知らないだろう。テレビでも7割か8割のことはわかるが、本当に大切なことは現場でしかわからない。
だから、スタジアムに行かないといけない。
ところで、「本当に大切なこと」と書いたが、これは何なのだろうか。
その答えを導き出して表現していくことがぼくの仕事なんだろうと思う。
誰にも真似はできない。似せることはできても本質的には絶対に真似できない仕事だと思っている。
ところで2ヶ月で一体何試合サッカーを観たのだろうか。数えてみた。
こんな感じ。
明日のJ2昇格プレーオフをあわせると約2ヶ月で12試合。見逃したのは、ナビスコの準決勝くらいだ(その時はナビスコカップがよくわかっていなかった)。随分とみたものだ。
方々から誘ってもらって、それにホイホイついて行ったからというのもあるのだけど、やっぱりサッカー観戦が段々楽しくなってきたことが大きい。初観戦時は「よくわからなかった」サッカーも、10試合も観るとだいぶわかるようになってくる。どっちの足で止めたのかとか、トラップの位置はどうだったのかとか、細部まで目に入るようになってくる。そうなると、サッカー観戦は俄然楽しくなってくる。
楽しさ余って、サッカーのプロライターとしてデビューしてしまった。
いつの間にかサッカーのプロになってしまった。
自分でもわけがわからない。2ヶ月前は想像もしていなかった。
ちなみに初記事はこちら。
サッカーの試合そのものというよりも、サッカー観戦あるいは応援を楽しみに来ているサポーターに光を当てた記事。
サッカーファンはもちろん、サッカーが全くわからない人でもわかるように書いたつもりなので、未読の方は是非ご一読頂きたい!!
タイトルに「愛」という文字が入っているサッカー記事を書ききれるライターは、ぼくしかいない(多分)。
穏やかに始まる愛もある!J2・JFL入れ替え戦で讃岐サポから感じられたこと | フットボールチャンネル
と、いつの間にかプロとして記事を書くまでに至ってしまった。
思うのだが、ここまで来るともう引き返せないのではないだろうか?
もし、来週からサッカー観なくていいよってことになったら暴れてしまいそうだ。
ところで、天皇杯の準決勝と決勝にも行けそうだから、J1、J2、ナビスコ、天皇杯が決まる瞬間を体験することができる。これは何を表しているかというと……
初観戦からのサッカー体験をまとめると、Jリーグのかなりの部分をカバーできるということだ。もちろん全てとは言えない。しかし、全てをカバーするのは不可能だ。これは、作家志望で書籍化を目指す自分にとっては追い風としか言いようがない。
つまり、ぼんやりとした初観戦から段々とサッカー観戦が楽しくなってきて、Point of no return(引き返せない地点)まで突き抜けてしまうまでのドキュメンタリーを書くことができる。これ、結構面白いんじゃないだろうかと自分では思うのだが、周りに話すと「まだ素人くささがぬけないうちに書くと、後で後悔するぞ」のようにアドバイスされることが殆どだ。
確かに、後で恥になったり、仕事をする時の邪魔になったりする可能性はあるかもしれない。それでも、「おもろきゃええねん」の精神でやってみてもいいような気がしている。ともかく…… 企画書を作らないことには誰も相手にしてくれないので、何とかストーリーを紡ぎたい。
結構気軽に真似されちゃったりすることもあるので、途中からは大事なことは伏せておいたりもしたのだけど、それが役立つ時が来たようだ。ふふふ、おぬしも策士よのぉ……
ステマ疑惑じゃないけど、最初から計算していた疑惑みたいのが出てくるかもしれない。でも、それはそれですごいよね。いや、むしろ、全部計算でした、私は天才ですって言い張ろうかしら。
ともかく、J1が最終節を終えたので後は天皇杯だけ。これが終わればしばらくはオフシーズン、と思ったのだが……
いつも方々につれていってくれる過激派のhiroさんが、「高校サッカーを観た方がいい」だって。
「いや、みないですよ。だって学生サッカーでしょ?ぼくが観たいのはプロなんです」
「何を言ってるか、あれこそが日本のサッカーの基礎なんだ(という主旨の内容)」
「でも、そんな観客が入らない試合を観ても……」
「決勝なら国立が埋まるよ」
「国 立 が 埋 ま る ?!」
ということは5万人以上はいるということか。高校生のサッカーに5万人? どうなってるの?
全く意味が分からない。なんでそんなに人が集まるのか、そもそも誰が集まっているのか。
どんな応援をするのか。どんなサッカーが観れるのか。
……これは行かないと駄目か。
いつ終わるんだ、サッカー観戦。
「いやいや、もう引き返せないところまで来ちゃったんだよ」(心の声)
とはいえ、本でも出さないと観戦するためのチケット代が払えなくなる。本当に。
さっき、今月のカード請求額が来たけど、口から魂出たわ。なんじゃあの額は。
サッカー記事を書く仕事をしたところで、単発の記事ではとてもじゃないけど……
やはり書籍化を進める方向で努力しないと、こういう暮らしは今年で限界になってしまう。
少しでも可能性があるなら、最後まで戦い続ける。そういう人生の姿勢こそ、ぼくがサッカーから学んだことなのだ。精一杯やってみよう!