これは、Jリーグの今後にも関わる話だと思っている。
ぼくはNBA漬けの年もあるし、全然見られない年もある。
酷い時はほぼ毎日何かしらの試合を観ていたし、ほぼ全選手の年俸、契約年数、スタッツを記憶していた(ヤオミンとかいた頃ね)。
今は全然観れないでいる。時間と心に余裕がないせいだろう。特にJリーグ関係のことを始めてから、海外サッカーもNBAもさっぱり観れなくなってしまった。何せチャンピオンズリーグでどこが優勝するかよりも、「大分さんと水戸さん大丈夫?」のほうに関心が向いてしまっているのだ。
チャンピオンズリーグまでいくと流石に面白いので来年からはちゃんとスケジュール組んで観るようにしよう(というか、そのうち現地で観戦してみたい。ブラジルよりは楽だろうし)。
閑話休題、久々にNBAファイナルを観ることが出来たことが、どうしてJリーグに関係あるのか。ファイナルというのは、要するに、プレーオフの決勝戦のことである。ぼくが言いたいのは、プレーオフは面白いよということなのだ。
「プレーオフでの勝者よりも、年間のリーグ戦の勝者のほうが真の強者である」
こう考える人もいるかもしれない。しかし、NBAのレギュレーションでは、シーズン優勝したところでプレーオフでのホームコートアドバンテージが多めに得られる程度のメリットしかないのである。だから選手にインタビューをすると……
「レギュラーシーズンは通過地点に過ぎない。プレーオフを制すことだけが目標だ。」
というような答えが返ってくる。
NBAでは、30チーム中16チームがプレーオフに進出し、4勝先取の熾烈な争いを行って最後の1チームまで淘汰されていく。これは、バスケだから出来ることだし、日本のサッカーとそのまま比較しても仕方がないところはある。
ぼくが言いたいのは一点だけ。
「プレーオフだけ観る人、プレーオフから観始める人も結構いると思うよ!」
Jリーグフリークの中には、毎試合熱心にスタジアムに通う顧客を獲得しないと意味がないと考える人もいる。それが大事なことは言うまでもないし、そっちはそっちでやっていくべきだ。
ぼくが考えているのは、年に数回スタジアムに行くとか、テレビでたまに観戦するとか、あるいは、試合はあまり観ないけど勝敗には関心を持っているだけとか、そんな人を増やす必要があるなということ。
サッカー日本代表がなぜドル箱コンテンツなのかというと、時折テレビで観たり、うすらぼんやりと関心を持っていたりするだけの人が膨大な数いるからだ。だから、スポンサーも付きやすいし、放映権も売れる。
ディープなマニアをいくら増やしたところで、内部で揉めて喧嘩するだけだから、限界があるなと感じている。ライトなファンをいかに掴めるか。この一点だけに絞るなら、プレーオフは非常に有効だと思っている。
もちろん、今年の2ステージ制+プレーオフが有効だったかどうかは、終わってみないと検討のしようがない。しかし、2年ぶりにプレーオフを観戦したぼくの血は一瞬で沸騰したのだ(ちなみに去年はブラジルにいたから結果を見るのが精一杯だった。ここ10年で始めて見逃した)。
レブロン・ジェームズ。稀代の化け物選手が率いるキャバリアーズは、いつの間にかポンコツだらけのチームになってしまった。というかレブロンがいるチームは、不運もあるとは思うし、レブロンのプレースタイルの問題もあると思うが、気付くとポンコツだらけになっていることが多い。
そのポンコツの一人、JRスミスは、能力は高いし、ツボにはまると止められないのだけど、どう考えても大一番向きの選手じゃない。実際に、「おまえ!脳みそ入ってるのか!!」と思わず叫んでしまうようなポカを3回もしたのだ。3回だよ、3回!!不要なファールで、不要な得点を与え続けてしまった。
ウォーリアーズもいいチームで大好きなのだが、やはりレブロンがいるとそっちを応援してしまう。ぼくのNBA歴はちょうどレブロンが出てきたところから始まるからだ。
最後の方は判定も辛くなっていって(審判の心理として、試合を決定づける笛は吹きづらいらしい)、レブロンは孤軍奮闘していた。
レブロンは、一人で何でも出来る上にエゴがない。無敵の選手ではあるが、一試合を一人で戦い抜くことは不可能だ。
土壇場でピンチを救ったのがデラベトバという選手。「という」と付けたのは、最近全然NBAを観ていなかったからこの選手のことは知らなかったのだ。今日の主演は間違いなくレブロンだが、デラベトバのしつこいディフェンスと、最後まで勝利を諦めない姿勢がなかったら、確実に負けていた。
MVPを獲得したカリーを守り切ったのは、正直目を疑った。カリーって守れるものなんだね。カリーのゴール成功率は21%だもの。大体40~45%くらい決められるところを半分抑えているわけだから、本当に素晴らしい。
試合を終えた直後、レブロンジェームズは、大声で咆哮した。限界まで口を開けて叫んだ。それほど苦しい試合だった。インタビュアーがすぐさま近寄ってレブロンにインタビューをする。
「苦しい試合でしたが今日の試合で必要なものは何でしたか?」
「Everything!! Everything......Everything......Everything!!」
細部は違っているかもしれないので気になる人はどこかで映像を探して欲しい。試合のハイライトはこちら。
ハイライト
試合後すぐにハイライトが公式ページにあがってくるのは、Jリーグにも是非やって欲しいところ。
書き出すと長くなるのでこのへんにしておくが、2年間ろくすっぽNBAを観ていなかったのに、一瞬で熱く語りたくなるほど、プレーオフの一戦には「何か」が含まれている。それは、「熱気」と言い換えてもいいし、「大きな歴史」といってもいいかもしれない。
レギュラーシーズンの1試合も、ファンの心に刻まれていくが、より多くの人が関心を持つプレーオフの一試合は、もっと大きなところに刻まれていくような気がするのだ。「大きな歴史」という表現が適切かどうかはわからないが、「目撃者」にならなければならないという気持ちには強くさせられる。
「選ばれし男の目撃者たれ」というのは、若き日のレブロンのキャッチフレーズだったが、実際にその通りになっている。想像していたよりもはるかに茨の道ではあったが。
ところで久々にじっくりバスケを観てみると、4クォーター制である上にタイムアウトもあるので、家事をしたり、トイレにいったり、携帯をいじったりしながら、テレビで気軽に見やすい競技だなと実感した。
テレビ向けにルールをカスタマイズされ続け、TVタイムアウト(CM時間)なんていうものすらあるバスケットボールの面白さを実感してみたい方は、6月10日(水)の午前10時から第三戦があるので是非ご覧頂きたい。ここを取った方が非常に有利になるので、天王山といえる試合なので、非常に白熱した試合になるはずだ。WOWWOWか、BS1で生中継しているので録画して是非どうぞ。
アイキャッチ画像は、Golden State Warriorsの公式より引用。
Golden State Warriors – 2012-2013 Roster | Genius