『【新年会】ブラジルW杯現地参戦組決起集会』に参加してきた。
主催していた村上アシシ氏は、「初観戦記フィーバー」のトリッガーを引いて、はとのすのサーバーをダウンさせた人物であると同時に、半年仕事・半年旅人という欧米人のようなライフスタイルを構築し、半年は日本代表サポーターとして世界各国でサッカー観戦をしている。
ちなみに、ぼくがブラジルに行こうかなと思い始めた最初のきっかけは、このアシシさん。
「ワールドカップ期間中は、Jリーグもないのに日本にいるなんてあんたバカー?」(一部脚色)とTwitterで言われてしまったのだ。
詳しくはこの記事をご参照頂きたい。
「ブラジルに行こうか激しく悩みつつ「村上アシシ氏」の本を再読。」
そして、この記事を宇都宮徹壱さんが読んでくれたようで、イベントでお会いした時にブラジル行きを強く勧めて頂いた。
ブラジルに行くことを決断はしたが、動き出すのはこれからという段階で、アシシさんに誘って頂いてこのイベントに参加した次第だ。
日本代表サポーター
そういえば、日本代表サポーターという言葉はあまり耳にしたことがない。今回の会合で最初に話した方は「ジェフ千葉&バルササポーター」だった。「あーそうなんですね」と言いつつ千葉の現状などについて話を聞いた。これは「いつもの感じ」だった。次に話した方は「ザスパ草津サポーター」だった。
その次に話した女性に「どこサポの方ですか?」と聞いたら、うまく通じなかった。ポカンとされてしまった。
少し間を置いて「北海道から新潟までほとんど行っている」ということを説明してもらった。そこでピンときた。そうかこの方も日本代表サポーターなのか!!!
思えば、最近は濃い衆に揉まれてきている(スペリオ城北とか青梅FCとか奈良クラブなどのサポーターやウナトラスとか)。だから、すごく新鮮な感覚を覚えた。
今まで会った人の中にも「日本代表サポーター」と言っていいような人もいた。しかし同時に、Jクラブのサポーターでもある人が多かった。たとえば、ボーリングのピンのコスプレをして観戦している人とは、随分仲良くなったのだが、彼は日本代表だけではなく、ベガルタ仙台に対する熱すぎるほど熱い気持ちをもっている。
一方で、Jリーグは観ないけど、日本代表はずっと追っかけているという人に会ったのは初めてだった。そうかそうか。
いや、ちょっと待つんだ!!!
そもそも、3ヵ月前まで、ぼくだって日本代表にしか興味がなかったはずだ。
日本代表が好きで、その次がレアルとバルサ(この二つを同時に挙げるのはなかなか酷い)、その次がイタリア代表だった。日本代表が大好きになった。だから、サッカーが好きになったのだ。そういえばそうだった。極貧研究生活をしていたこともあってスタジアムに行く事なんて考えたこともなかったが、日本代表の試合が楽しみで楽しみで仕方がなかった。
もし、ぼくが最初に観にいった試合が、FC東京vs鹿島アントラーズではなく、日本対フランスだったらどうなっていただろうか? もしかしたら、ぼくも日本代表サポーターとして世界中を駆け回るようになっていたのだろうか?
いや、そうはなっていなかったような気もする。うーん、どうなんだろうか?
歴史に「もし」はないので横に置いておこう。
今回のイベントはどのようなものであったか紹介したい。
W杯新年会
開催場所は新宿で参加費は5000円。
参加者はなんと127名!!
この人数で時間は3時間。フリートークはそのうち1時間半くらいだったので、正直誰が誰やら状態だった。でもまぁ、同じ時間に同じ場所のいたという縁で今後絡みがある方もいるかもしれない。このブログをご覧になった方は、FacebookやTwitterなどで意見を交換できれば幸いだ。
とにかく今回会いたかった人がいた。ポルトガル語を勉強中の井戸さん(@KIMIO_IDO)だ。群集の中から見つけ出して、無事に会えた。何となくだけど、この方はぼくの目指すスタイルに似ている気がする。異常なものを異常なものとして楽しむのではなく、異常事態をいかに日常に落とし込み、日常のアングルから覗き込むという考え方だ。
なんだかバタバタしていてゆっくりお話しできなかったのは残念だった。今、ふと思いついた。ブラジル文化研究会的なゲリライベントを小規模に開催してもいいね。要するにただの飲み会なわけだけど。
さておき、井戸さんとお会いしたことでモチベーションアップ!!
早速ポルトガル語の本を買ってきた。半年で話せるところまで行けるだろうか。いや、行く! 行けるかどうかじゃない。行きたいかどうかなのだ。
さて、井戸さんは何とかして群集の中から見つけ出したのだけど、そのあとは隅っこで「ゐのくま」氏を相手にひたすらオレンジジュースを飲むという薄暗い青春が待っていた。ぼっち仲間がいてくれたという意味では良かった。どうも、輪が出来てしまっていてうまく入り込めない感じになってしまった。ぼくはパーティーだといつもそうなのだ。
みんなが積極的に交流して、情報交換している中で、フリーキックの蹴り方とか柴崎岳の活かし方について隅っこで語っていたのは、ある意味負け組と言われても仕方があるまい。
閑話休題。
とはいえ、フリートークを除くと実に有意義だった。
会は、以下のように進行していった。
1.はちまきプロジェクト
日の丸と必勝という文字が入っている「例の」はちまきを1人10枚ずつブラジルに持って行き、現地の人に配って日本代表を応援してもらおうというプロジェクト。今後具体的なプランニングが進んでいき、マスコミなども巻き込んでいくつもりらしい。
紛れもなくサポーター発のイベントだ。地球の裏側のスタジアムで日本の応援を聞くのはどんな気分なんだろうか。今の段階ではちょっと想像もつかないが、何度もワールドカップに行っている人はまた違うものを感じているのだろう。
2.プレゼンテーション by 村上アシシ
内容の主旨としては、「ブラジルは危険だから個人手配ではいかないほうがいい」ということだった。
英語やポルトガル語ができて、チケット、宿泊施設、航空券が自分で手配できて、海外経験が豊富で、トラブル対応力に自信がある人以外は、個人手配はやめるべきということだった。
そりゃそうだよね。
ぼくは、後ろ2つをどうするかというのがネックになりそうだ。今からバックパッカーになるわけにもいかないから、しっかり情報を集めないといけないね。
上記のポイントがどうにもならない人は、旅行会社のツアーに申し込むか、サポ村に入ることを進めていた。サポ村というのは、元々は個人手配でワールドカップに行っていた方が始めた旅行ツアーのようなものらしい。大手ツアーよりも値段が安いことと、友人ができやすいことがメリットのようだ。
それでも、個人手配で行きたい上級者のためのメソッドもアシシ氏はもっているらしい。
その情報は……
なんと……
村上アシシ氏が、手配マニュアルを電子書籍で出版予定らしい!
「売るのかよ!」
と、ここで会場からブーイング。なかなか良い瞬間だった。本人は「ブーイングは自分で煽ったんだよ」と言っていたが、あれは紛れもなく自然発生的なものであった。
しかし、これは物書きにとっては結構シビアな問題で、「文章」や「情報」は無料だと思っている人は結構いるんだろうなと思う。だからこそ、「物書き」は後ろ暗い気持ちになることもあり、「お金をとって申し訳ない」と低姿勢にならざるをえず、パーティー会場で自分から積極的に名刺交換をするという芸当は逆立ちしてもできなくなるのだ。
ともかく、ぼくはそれを参考にしつつ個人手配にしよと思う。
というわけで出版を急いで頂きたいが、その前にだいぶ準備を進めておかないと間に合わなそうではある。
とにかく、これをまた読み直すかな。
超危険なブラジルワールドカップ
ブラジルはとても危険な国らしい。
そりゃそうだろう。
貧しくて不幸せな国だから、タフな選手が育つのだ。
最もぼくは南アフリカのほうが危険だと思っていた。ところが、手配する人の立場からするとブラジルのほうが10倍厄介らしい。というのも、安全な場所と危険な場所の区別をつけづらく、町中を普通に歩いていたと思ったら次の瞬間には犯罪者の巣窟に突入しているようなことがあるようだ。
特に女性はレイプされる危険性が十分にあるということを明言していた。そういうのはどんどん言ったほうがいい。
さらに、国土がとても広いので移動には「航空機」が必須になる。今回聞いた話ではないがブラジルの航空機がまた厄介らしい。目的の空港で降りるだけでも一苦労なんだとか。そして、移動の時が一番危ないときで、犯罪者が涎を垂らして狙っているとのことだった。
サポ村関係者の恐らくブラジル人の方が話してくれたのだが、「バスの運転手と乗客が共謀して、女性客を強姦する」という事件もあったらしい。なかなかとんでもない。
旅行作家の嵐よういち氏も、世界でもトップクラスに危険な都市としてリオデジャネイロを挙げていた。嵐よういち氏の大ファンなので、この機会にかこつけて何とか会いに行けないかなぁ……メールしてみよう!
ちなみに、嵐氏が一番危険としているのがヨハネスブルク。南アフリカ最大の都市だ。南アフリカワールドカップのとき、行こうと思ったことは一度もなかった。世界でトップクラスに治安が悪い国に、高いお金を払ってまで行く意味がわからなかったのだ。テレビでやるのだから家で観ればいい。
そう言っていた自分が今ブラジルを目指している。自分でも呆れるが、もう決めたことだ。実現できるように努力するのみ。
サポ村の代表の方の挨拶は、ブラジルがいかに危険であるかを念入りに説明してくれた後に、「ワールドカップを楽しみましょう!」のかけ声で終わった(このかけ声で始まったのだっけ?)。
ともかく、このギャップがなかなか凄かった。
「強盗される」「レイプされる」「殺される」のすぐ後(あるいは前)に「楽しみましょう」が来る。これは、他の場所ではそうそう聴ける言葉じゃない。それでも行きたいという人がたくさんいるし、ぼくだって行くつもりだ。何とクレイジーな話なのだろうか。
何故ブラジルに行くのか
思い出しても変わった会合だった。色々な話が出たが、ほとんどサッカーの話はなかった。
選手の名前も出てこない。長友も香川も本田もいないし、メッシもクリスティアーノ・ロナウドもロッベンもいない。もちろん、そういう話をしている人もいただろうが、最大の関心事は「旅」をどうやって組み立てるかだった。
変な話なのだが、試合を観るのは最大の目的であると同時にデザートのようなものなのかもしれない。ワールドカップがあって、試合が行われているというのが行く動機なのだが、最も大変で最も楽しめるのはプロセスなのかもしれない。
Jリーグのサポーターと話していると、「生活の香り」がしてくる。埼玉スタジアムで行われる抽選に参加するために浦和の近辺に住んでいるだとか、カシマスタジアムにいくために息子に車を運転してもらっているだとか、我が子をFC東京サポーターにするために英才教育をしているだとか、人間の生活と非常に密着している香りがしてくる。
一方で、ワールドカップはそうではないのかもしれない。遠く離れたところで行われる、幻のようなサッカー大会。そこに行くことは、巡礼の旅のようなものなのだろうか。
まだわからない。しかし、自分の中で静かに燃えてくるものがある。
ぼくもワールドカップに行くのだ。危険なことは100も承知だ。死ぬ可能性だってある。だけど、今は行かなければいけない。そんな気がする。
1度行くと決めると、行かないことがありえないことのように思えてくる。
ぼくが尊敬する作家である宇都宮徹壱さんは、30歳の時に内戦の傷跡が残る旧ユーゴスラビアに行った。
カメラを片手に、民族紛争の後を身体で感じて来た。
その経験があったからこそ宇都宮さんはあれだけの文章を書けるようになったような気がしている。
それあったのと、なかったのでは、まるで人生が違ったのではないだろうか。これはぼくの勝手な推測なのだが、そんな気がしている。
その時の様子は一冊の本にまとめられている。驚きのあまり、口をぽっかり開けながら読んでしまった。本当に凄い本だ。ぼくが最初に執筆する本にとって、最高の教科書であり最強のライバルが「幻のサッカー王国」なのだ。
旅は特別だ。しかし、ぼくはあまり旅をしたことがない。危険なところには最初から近づかない。そういう気質だからだ。だが、今回だけは無理をする。全身全霊を賭けて、命を賭けてまでチャレンジしたい。
ブラジルへの旅が自分の中の何かを変えてくれそうな気がする。
本田圭佑を始め、日本代表の選手達の夢の舞台を見届けたい。
勝つか負けるかも大事だが、それ以上に大事なことがある。
夢の行方を見届けるのだ。
両手一杯に危険とリスクを抱えて、自分の人生を揺さぶる旅に出よう。
あと半年を切っている。時間がない!!
でも……
ブラジルに行くぜ!!!!