2014年2月8日から11日に、みなとみらいで、ヨコハマ・フットボール映画祭が開催される。
上映される映画は9本。いずれもフットボールが題材とされている。
縁あって、ぼくも1つの作品のレビュー記事を書かせて頂いた。
サッカー記事に比べればはるかに馴染みのある文芸批評なので、お話を頂いた時は非常に嬉しかった。
馴染みがあるといっても文学部時代にレポートで提出していたのと、時折ブログに書いていたくらいのものであるが。
映画祭について詳細は、オフィシャルホームページに載っているのでそちらをご参照頂きたい。
ヨコハマ・フットボール映画祭
サントス〜美しきブラジリアン・サッカー
まずはぼくが書いた記事はこちら。
「俺たちの映画『サントス〜美しきブラジリアン・サッカー』」――中村慎太郎
この映画では、ブラジルはサンパウロから70km程度離れたところにある港湾都市「サントス」、そこにある名門クラブ「サントスFC」の歴史について描かれている。
悩みながらもブラジルワールドカップ行きを決めたぼくに、ブラジルのサッカー文化はどう見えるのか。
というような背景から、レビュワーに選出して頂いた。
豪華なメンバーと共に選んでいただいたことは光栄の極み。
映画のレビュー記事を書く際は、ネタバレをどこまで許容するか、どういったアングルから作品を解釈するかに気を使う。結局ネタバレは序盤のみとし、最小限にした。そして、アングルは「にわか」ではあるものの、Jリーグクラブのサポーター目線とした。
「俺たち」というのは「Jリーグのクラブのサポーター」という意味で、どこかしらのチームを応援している人なら、この映画は楽しめるだろうと考えてタイトルとした。
そういう意味では、このレビュー記事は若干一般性が低くて、テレビで海外サッカーを観ている人や、代表選だけ観ている人には訴えるものが大きくないかもしれない。最近は、やはり身近にあるクラブを深く愛してみないとフットボールの力は見えてこないのではないかと考えていているのだが、その仮説を肯定する方向の映画だと感じたのだ。
後から読んだのだが、Goal.comに上野直彦さんのレビューも掲載されていた。
ぼくの書いたものと比べてみると、上野さん記事のほうがはるかに映画の全体図を捉えている。なにせぼくのはサッカーシーンの描写がない。そういう意味では欠陥品といえなくもない(流石にもうちょっと書けば良かったね)。
しかし、サッカーシーンよりも、住んでいる町に俺たちのクラブがあることの充足感、「サントスFCが俺達の全てなんだ!!」という「根拠がない絶対的な気持ち」に着目すると、本来メインディッシュであるべきサッカーシーンが、まるでデザートであるかのように大人しく感じられてしまったのも事実だ。
サッカー映画なのに、サッカーシーンがなくても成立するとしたら、それはサッカーの深みを証明していると言えるかもしれない。
というわけで、映画の趣旨を正しく理解するためには、上野さんのレビューも是非読んで頂きたい。
レビューを読んだところで、サントスのチャントの威力とブラジルサッカーの雰囲気、特にスタジアムの凄まじさは伝えるのは不可能なので、是非映画も観て頂きたい!!
他の映画も面白そう。
レビューの一覧はこちら
ぼくが興味を持ったものを載っけてみると……
「インドネシア・コネクション サッカーを蝕む男達」
サッカーと闇社会の関わりというのは実はかなり重いテーマだ。
セリエAであっても、八百長問題の根は深いようだし、西ヨーロッパを除くとかなり酷い状態のリーグもあるようだ。
ちょっと重いテーマではあるのだが、「裏社会の話を聞くのが好き」な自分としては非常に楽しみな映画でもある。
一方でJリーグはクリーンで真っ当なリーグというブランドを確立していくべきなんだろう。
ビッグマネーを手にするだけが大切なことではなくて、ちゃんとしたブランドを確立すれば、それこそ100年先でもやっていけるのだ。
ラブ・セレソン お姫様と11人の選手たち
マナウスで開かれる大規模なサッカートーナメントを描いた作品。かなり異色の大会だと思う。
トーナメントの勝ち上がりが試合の勝敗ではなくて、チーム所属の女性がミスコンで勝ち上がったかどうかで決まるらしい。
要するに雑魚チームでも、女の子が超可愛かったら優勝できる、と。
スポーツ大会において、「ガチ」か「エンジョイ」かという議論は昔からある。ガチにすると楽しめない人もふえるが、「まったりした試合」というのもなかなか成立しない。試合になると誰もが熱くなってしまう。
けど、勝敗が別のファクターで決まるということであれば、試合をまったりエンジョイすることも可能なんだろうと思う。
これは面白い。ブラジルはサッカー文化、いやスポーツ文化において日本のはるか先に行っているのかもしれない。そういえば、バスケも凄く強い。
ベッカムに恋して
タイトルはちょっと取っつきづらいのだが、内容はとても面白いらしい。
このタイトルは確実に観てみようと思う。
筋骨隆々とした澤山さんがレビューを書いていたのが、個人的にはすごくツボだった。
クレムリンに立ち向かった男たち ポーランド代表 ベスト4の真実
いとうやまねさんがレビューを書いている。
「お勧めというより『知っておいた方がいいサッカー史のひとつ』だ」――いとうやまね
やまねさんといえば、言葉の端々から溢れるセンスの良さだと勝手に思っている。そして、この映画はやまねさんが「センスが良い」と言っている映画だ。というわけで、紛れもなくハイセンスな作品だろうと期待している。
映画祭の開催期間は8~11日。
ぼくは2月8日の昼頃から映画を観続けて、夜のパーティーまでいるつもりなので、ご都合会う方は是非どうぞ。「本が出来るまで断酒キャンペーン中」なので、烏龍茶で乾杯しましょう。
肝心の「サントス」の会には参加できないのだが、終了後にノンフィクション作家の田崎健太さんによる「キングカズ サントス時代の深いい話」という講演があるらしい。
前年は前売り券の売り切れが続出したとのことなので、映画祭に興味がある方は、チケットの確保はお早めに!