誰もが彼のプレイに夢中だった。
シルクのように滑らかなボールタッチ、一度ボールを持ったら離さない利己的なドリブルは悪魔的でさえあった。
敵も、味方でさえも彼に魅了された。将来を嘱望された選手だった。
イリヤ・ペトロヴィッチ。彼は、ある日突然消えた。
ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦の終結から十年後、私はトヨタカップで来日するシーナ・アクシシャヤを迎えに成田空港に車を走らせていた。あの、”やせっぽちシーナ”が今や代表のエースだというのだから、時間はあまりにも早く、未来は全く予想がつかない。
私は、彼と話すべきことがあった。あの日の、イリヤ・ペトロヴィッチと、彼を鼓舞するビリヤシュのサポーターの声と、そして私を含むあらゆる人達の傲慢についてだ。
Ammo vol.1「Lucifer」 | Ammo
劇作家の南慎介氏は、10年くらい前から一緒にバスケをしている仲間の1人(お互いもうやってないけど)。
元々スポーツ全般が好きな男で、アメフトや野球をテーマにした舞台を書いたこともあった。
そして、ここ1年ばかりJリーグとサポーターにスポットライトを当てているぼくの活動に影響を受けたこともあり、旧ユーゴ圏のサッカーをテーマとした作品を作った。
旧ユーゴ圏といえば?!ということで、協力のクレジットに千田善さん、宇都宮徹壱さん、木村元彦さんの名前も。
宇都宮さんは資料となる写真を提供を行ったとのことで、<ミニ写真展『SARAJEVO 1997』を開催>も同時に開催される。
ぼくも現段階では、詳しい情報を持っていないのだが、「サポーター」にスポットライトを当てた作品になるらしい。劇団のTwitterに紹介文が書いてあったので引用したい。最後のツイートに注目!!
【Luciferのおはなし①】舞台となるボスニア・ヘルツェゴビナという国は、元々ユーゴスラビア社会主義連邦にの構成国でした。今はセルビア、クロアチア、スロヴェニア、モンテネグロ、マケドニア、コソボ、そしてボスニア・ヘルツェゴビナの7つの国に独立しています。
— Ammo (@Ammo_works) 2014, 10月 15
【Luciferのおはなし②】ユーゴスラビアという連邦国家の面積は本州と大体同じくらいですが、ものすごくスポーツの盛んな地域です。先日錦織圭選手と全米オープン決勝で対戦したマリン・チリッチ選手も国籍はクロアチアですが、ボスニア・ヘルツェゴビナのメジュゴリエ出身です。
— Ammo (@Ammo_works) 2014, 10月 15
【Luciferのおはなし③】その中でも盛んなのはダントツでフドバル!サッカーですね。日本にゆかりのある人だけでも、名古屋の選手、監督のドラガン・ストイコビッチ、浦和レッズの監督ミハイロ・ペトロビッチ、元ガンバ大阪のアント・ドロブニャクなど数えればきりがありません。
— Ammo (@Ammo_works) 2014, 10月 16
【Luciferのおはなし④】有名な観光地は色々ありますが、クロアチアのドブロニクは一番のオススメ。映画「魔女の宅急便」でキキがほうきに乗って街を下るシーンのモデルになったとも言われています。別名「アドリア海の真珠」とも呼ばれる美しい街です。
— Ammo (@Ammo_works) 2014, 10月 16
【Luciferのおはなし⑤】ボスニア・ヘルツェゴビナのご飯とお酒のお話。イスラム教徒が多い御国柄ですので、羊肉を沢山食べるみたいです。日本でもおなじみシシケバブやチェバプチ(挽肉のソーセージ)はトルコの影響。お酒はワインやビール、ラキアという蒸留酒を良く飲むそうです。へー。
— Ammo (@Ammo_works) 2014, 10月 17
【Luciferのお話⑥】ここからはしばらくフドバル=サッカーのお話です。物語の舞台であるボスニア・ヘルツェゴビナは元々ユーゴスラビア社会主義連邦という大きな国の一部だったということは前に触れました。個のユーゴとう国、スーパースターがぞっくぞくと出て来た国でした。
— Ammo (@Ammo_works) 2014, 10月 17
【Luciferのおはなし⑦】(続き)先述のトイコヴィッチの他にもACミランの黄金期を支えたデヤン・サビチェビッチやズボニミール・ボバン。98年W杯得点王ダボール・シューケル。史上初めてフリーキックだけでハットトリック(三得点)を達成したシニシャ・ミハイロビッチなどなど。
— Ammo (@Ammo_works) 2014, 10月 18
【Luciferのおはなし⑧】そもそも、各国のリーグ優勝クラブで争う、欧州サッカー連盟チャンピオンズカップで東欧で優勝しているのは、90-91シーズンのレッドスター・ベオグラードだけです(ベオグラードはユーゴスラビアの元首都。現在のセルビアの首都)。
— Ammo (@Ammo_works) 2014, 10月 18
【Luciferのおはなし⑨】ヴィッチヴィッチって頭が痛くなって来た頃でしょう?そもそもなんで〜ヴィッチって名前が多いのか?というと、『-vic』というのは、〜の子、という意味なんですね。つまり、「ペトロヴィッチ」は「ペテロさんの子供」という意味です。それが姓になったのですねえ。
— Ammo (@Ammo_works) 2014, 10月 19
【Luciferのおはなし⑩】フドバルに欠かせないものは?そう、応援ですね。特に「チャント」と呼ばれる短いフレーズを繰り返す応援歌は世界中どこでも歌われています。チャントにも国や地域、クラブチームによって様々な特色があります。
— Ammo (@Ammo_works) 2014, 10月 19
【Luciferのおはなし⑪】今回のお話では日本人が演じるのだから日本のチャントをやりたい!ということで、日本代表、FC東京、柏レイソル、アルビレックス新潟、アビスパ福岡(コンサドーレ札幌)のチャントをお借りしてオリジナルのチャントを取り入れています。
— Ammo (@Ammo_works) 2014, 10月 20
【公演日程】
10月31日 19:00~
11月1日 15:00~、19:00~
11月2日 19:00~
11月3日 11:30~、15:00
【アフタートーク】
10月31日19:00〜 中村慎太郎(作家)氏
11月1日19:00 千田善氏(翻訳家、国政政治学者。イビツァ・オシム前サッカー日本代表監督)
ぼくが登場するのは、10月31日(金)のアフタートーク。
政治学・人類学的な小難しい話はせずに、サポーターがいかにサッカーを楽しんでいるかについて語れたらいいかな、と。
旧知の間柄だからうっかり「おまえは本当にわかってないなぁー、脳みそ入ってる? ん? 大丈夫?」などという歴史残る罵詈雑言を残さないように気をつけなければ!!
といいつつもかれこれ長いこと、慎介の……おっと、南慎介氏の劇を見てきているが、今のところ外れはない。特にここ2,3年の作品は、熱の籠もったものが多く、劇場まで出向いてライブで観る価値の高いものである可能性は極めて高い!!!(もっとも、実際にどういう舞台になるかは、行ってみないとわからない。サッカー観戦と同じだ。
チケットはだいぶ少なくなってきているとのことなので、ご予約はお早めに。
特にぼくが登場する金曜日は初日なので、売り切れになる可能性が高いとのこと。
南慎介(twitter)
Ammo(twitter)