物書きタクシードライバー
中村慎太郎
東京生まれ、東京育ち。タクシー乗務の合間にブログ記事やサッカー旅記事、タクシーエッセイなどを書いている。
自分で洗うといいつつ、洗車はあんまり好きじゃない!!
タクシードライバー稼業の何が大変かというと、一日仕事をした後、最後に洗車をしなければいけないことだ。
洗車というのは、字の通りである。車を自分で洗うのだ。
隔日勤務の場合は、毎月11〜13回。日勤あるいは夜日勤の場合には22〜26回洗うことになる。日勤と夜日勤というのは、昼間だけ、あるいは、夜だけ勤務する働き方のことだ。
この場合、洗車の回数が狂ったことになる。毎月26回も車を洗えと言われたら、発狂する人も出てくるかもしれない。それも疲れ果てて帰庫した後の作業である。
洗車の裏技ー課金ー
隔日勤務(2日分まとめて働く)の場合、20時間近くタクシーを走らせた後、30分くらいかけて精算作業をして納金し、その後洗車をする必要がある。これが本当にしんどい。
そのため、裏技を使う人が多い。
それは、課金である。
ガソリンスタンドなどがタクシー運転手をターゲットにして、洗車サービスを展開しているのだ。ガソリンスタンド以外にも、洗車だけに特化したサービスを展開してるところもある。
料金はおおむね1000〜2000円程度なのだが、ここでは弊社車庫近くの水準にあわせて1500円と考えよう。
洗車作業は意外と時間を食うため、洗車をせずに帰宅出来るという心理的な効用は非常に大きい。タクシーはみんな乗りたいのだ。しかし、洗車はしたくないのである。
もちろん、洗車が大好きで洗車に特化している人もいる。人によっては2時間以上もかけて細かいところまで念入りに洗うこともある。ただ、丁寧に洗車している人の売上が高いのかというとそうでもないようである。
かといって丁寧に洗う意味がないのかと言われればそれも違っているようで、キラキラと輝くタクシーはそれなりに人を惹き付ける効果がある……。ような気もする。
先に断っておくのだが、洗車を自分でするかどうかは、その人の置かれた環境次第である。洗車スペースがない会社もあるし、自分で洗車をしないほうが営業成績をあげやすいという人もいるだろう。
これはあくまでもぼくの環境で、ぼくが実践している方法である。
洗車とお金の話
ぼくは洗車が好きではない。しかし、絶対に自分で洗車をするようにしている。その理由は簡単で、お金がもったいないからである。
というのも、ただでさえコロナ禍で稼ぎが少ないのに、お金を払って洗車をしてもらうのはあまりにも贅沢であり、浪費であると考えたのだ。
え?たったの1500円だよ?
安いものじゃない?
そう思う方もいるかもしれないが、1500円は実に高いのである。
というのも、1500円の洗車を月に12回行った場合の支出は18000円となる。この金額が事業経費などに使えた場合にはまだ役立つのだが、法人タクシーは個人事業主ではないため、純然たる自腹である。18000円あれば、高級料亭で天然トラフグのコースを食べることも出来るし、錦糸町や歌舞伎町で70分(以下自粛)。
もちろんぼくは、錦糸町や歌舞伎町で70分(以下自粛)する趣味はないのだが、金額の大きさを考えるためには適切な例なのではないかと思う。
ちなみに個人タクシーの場合には、領収書さえあれば事業経費にすることが出来る。稼いでいる個人タクシーの場合には、経費はいくらあっても足りないはずなので、洗車サービスを使う方が正解ということもありえる。安く済むわけではないが、法人タクシーが自腹で払うのとは意味合いが異なる。
さて、月あたり1.8万円の洗車代である。これがいかに高いかを示そう。ちなみに(夜)日勤の場合には3.6万円である。
これを年間あたりで計算してみよう。すると21.6万円となる。(夜)日勤の場合にはなんと43.2万円である。21.6万円というのは、ぼくの場合には一月分の給料とあまり変わらない。
つまり、一年間洗車サービスを利用した場合、1ヶ月くらいは洗車のために働いているということになる。
乗務数にすると12回、時間にすると240時間は洗車のために働くことになる……というと少し言い過ぎなのだが、10回ー200時間くらいには相当するかもしれない。
もちろん稼ぎが多い人の場合には少し話が違ってくる。あるいは洗車代を1000円で抑えられる場合ももっと計算が楽になる。
月収60万円ある人の場合で、洗車料金が1000円であったとしても、年間15万円かかるわけなので、年のうち3乗務は洗車のために勤務することになる。年に3乗務分くらいなら払ってもいいという人もいると思う。
しかし、ぼくの場合は10回なので、多すぎである。
年間に21.6万円くらいはいいだろうという人もいるかもしれない。これは価値観によるので一概に良いとも悪いとも言うつもりはない。
ただ、10年間で216万円というと、もの凄い金額になる。20年間タクシー運転手をした場合には432万円である。仮に洗車に使う金額を投資に回して(年間21.6万円を投資に回して)、年利4%で運用した場合いくらになるかを計算してみよう。
すると10年で約70万円、20年で260万円余計にお金を得ることが出来るのだ。洗車代1500円をすべて投資に回して20年間タクシー勤務をした場合、720万円を貯めることが出来る計算になる。
20年後、59歳のときに720万円余計に持っていたら、何に使おうかな?
もちろんこれは洗車代だけを投資に回した場合で、少し色をつけて月3万円を投資に回した場合には1160万円となる。お金が働いてくれるので、20年間で400万円余計に稼げるという理屈になる。
つみたてNISAなどを利用すると、投資で得た利益が非課税になるのでかなりのインパクトになる。
洗車を毎回自分でやって、そのお金に毎月8000円加えて投資に回すだけでそれだけ稼ぐことが出来るのだ。
ぼくが自分で洗車をする理由は、1500円が惜しいからではなく、400万円の不労所得が欲しいからなのである。
洗車嫌いが楽しく洗車をするために買ったもの
さて、洗車を自分でするとお金が貯まっていくという話をしたのだが、乗務後の洗車はとてもきつい。とってもきつい。自分でやるのは本当に辛い。
しかし、それでもお金がもったいないのでやるべきなのだ。時給1500円の仕事であれば悪くはないので、1時間以内に終わらせれば問題ないのである。
そこでぼくが考えたのが、洗車グッズを購入することである、それも高級な洗車グッズである。一度買ってしまえば何年も使える上、車庫で共用の洗車グッズを求めて彷徨い歩く手間も減るので圧倒的に速く洗車をすることが出来るようになる。
ぼくは出庫するときに、この2つの洗車グッズをトランクに一緒に入れておくようにしている。
まずは水切りであるのだが、この水切りが一番大切だと思っている。びしょびしょになった車からいかに素早く水分を拭き取るのかが鍵なのだ。
会社には共用の水切りがいくつかある(これが使えなくて待つ羽目になることもあるのだが、これが本当に時間の無駄なのである)。
この水切りは700円くらいなのだが、正直行って性能は良くない。せっせと水を切ろうとしても、少し水が残ってしまうので二度手間、三度手間になるのだ。
後でタオルで拭き取る際にも、すぐにタオルが水を含んでしまうので効率が悪い。
そこでぼくが購入したのは高性能水切りである。Amazonでもう少しだけ安く売っていたのだが、今は在庫切れになってしまっているようなので、楽天のリンクを載せる。
そもそも大量生産している製品ではないようだ。
高機能水切りワイパー wiper |
製品の説明はAmazonのページのほうが詳しい。
この水切りワイパーは、最初は使いづらいと感じたのだけど、使い方に慣れると劇的な効果がある。一回でつかめる水の量が違うし、水が全然残らない。それに、細かい箇所も楽々水が切れる。
そのため、洗車時間が圧倒的に速くなるのだ!!
たとえばボンネットの場合には、4,5回ストロークすれば終わりである。
シャ!シャ!シャ!シャ!
で水がほとんどなくなる。後で拭き取る場合にもほとんど水がないので瞬殺である。ガラスもあっという間に水がなくなる。本当に速い!!
職場の先輩にも使ってもらったところ——。
「これ!!すっごいいいね!!これから俺使うわ。頂戴!!!」
と言われました。誰があげるか!!
よく見つけたねとも言われましたが、ぼくは検索が得意なので色んなところで念入りに探した結果、一番良さそうなものを選んだのです(先輩が出てきたので、ですます調になるやーつ)。
さて、それに加えて拭き上げ用のタオルなのだが、この正解はまだ見いだせていない。今使っているのはこちら。
こちらはサイズの割には水を拭き取ってくれるタオルで、2枚セットがあれば一台丸々拭き上げることが出来る。共用のタオルを探しに行って、最後に洗濯かごに放り込むプロセスを節約できるので時短になるのはいいところだ。
しかし、タクシー会社の車庫で使われているボロカスになったゴワゴワタオルの吸水力は侮れない。あのタオルに匹敵するくらいの実力はあるのだが、圧倒しているかと言われるとそこまででもないという性能である。
なので、先ほどの高機能ワイパーを出しているカーピカネットの高機能タオルは試してみたいと思っている。※どうもカーピカネットは今Amazonに出品していないっぽい。在庫が復活したら、リンクを再掲載する。
カーピカネット 洗車 マイクロファイバー 拭き取りクロス タオル 【極細繊維クロス】 高い吸収力 速乾性 高品位繊維 両面起毛加工 |
それはそうと、自宅での洗車用にはこれが欲しい。
買っちゃおうかな……。