東大に11年在籍した後、タクシードライバーになりました

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しあわせのおせんべい屋さん

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我が家の長男は4歳。長女は、えーっと、もう4ヶ月か。妻はぼくより4つ上。

赤ん坊というのはすごいもので、ある成長段階に達すると、それに応じた筋トレを始めます。

自動筋トレプログラムみたいなものが頭の中にあって、段々と起きあがって、這い回って、歩き出せるようになっていまふ。

4ヶ月のレイディーは、最近寝返りがうてるようになりました。

仰向けに寝かしておくとコロンと転がってうつ伏せになります。

しかし、転がった後の姿勢が不愉快らしく、泣き出します。

戻す。

コロン。

うえーん。

戻す。

コロン。

うえーん。

戻す。

コロン。

うえーん。

これが延々と続きます。今日の朝、妻が叫んでいました。

「私はおせんべい屋さんですかーー!!!見てあのおせんべい!!!」

「可愛いおせんべいだねぇ……」

そんな会話をしていると、おせんべいをもらえるかと思った長男の目がキラキラし始めます。

「おせんべいどこー?」

「そこに寝てるよ!!」

と妻は長女を指さします。

「パパとママはおせんべい屋さんなんだよ!」

そう告げても、意味が理解できずに、「だはーっ!なんだそりゃー!」とか言っている。

ああ、登場人物が全員可愛い。

今日も仕事は大変だけど、我が家はとても平和です。

生きているなんて苦しいだけだから、さっさとリセットしてしまいたい。随分と前にそんなことを考えたこともあったし、子供たちも成長過程でそんな気持ちになるかもしれない。

それは仕方がないことだ。生きていくのはとても辛いこと。立っているだけでも辛い。

この狭い世界に絶望することだって、何度もあるだろう。

そんなとき、心のどこかに引っかかって、「もうちょっと頑張ってみよう」とか「生きてみよう」とか思ってもらえるといいんだけど。

親が注ぐ無償の愛。無限大の愛は、必ず子供の人生に影響していくはず。

かつて恋愛に悩んで、愛とは何だろうかとフランス文学を漁った若き日の自分に伝えてあげたい。

愛とは、おせんべいをひっくり返すこと。それを慈しみ、楽しむこと。そこに幸福を感じること。

さーて!

おせんべい屋さんの次は清掃員。這い回るまでは時間の問題なのだ。柵を作ったり、コンセントのところを塞いだり、飲み込みそうなものをちゃんとしまったりしないといけない。

今日も大変な1日になりそうだけど、頑張らないとね。

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