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妹「中村友紀」の作品を観て、その異質性と迫力に驚くーVOCA展2103にてー

 

妹の中村友紀が、上野の森美術館で開催されたVOCA展に出展したと聞いて観覧してきました。
VOCAは、Vision Of Contemporary Artの略称。
「今の時代の芸術(家)を観よ!」というような意味合いでしょうか。
妹は美術系の大学に入学して、ひたすら油絵を描いていました。

家中絵だらけで、彼女の部屋の床は油絵の具だらけです。
その妹が今ではプロの画家です。

今回出展したですが、応募条件は40歳未満のアーティストで、美術関係者1名からの推薦を受けないと出展できないそうです。

というわけで、VOCA展に行ってみると早速入り口付近に作品を発見しました。

 

4RIMG0474 妹「中村友紀」の作品を観て、その異質性と迫力に驚くーVOCA展2103にてー

 

 

 

なかなかの存在感です。

正面からアップでみるとこんな感じ。クリックすると大きくなります。

1RIMG0486 1024x632 妹「中村友紀」の作品を観て、その異質性と迫力に驚くーVOCA展2103にてー
中央の水晶のような透明の石のアップはこんな感じ。

2RIMG0488 794x1024 妹「中村友紀」の作品を観て、その異質性と迫力に驚くーVOCA展2103にてー

 

この絵を観て最初に大方の人がインパクトを受けるのは、中央に浮かぶ水晶ではないかと思います。
その背後から光が刺し込み貫いています。
恐らく水晶の真後ろに太陽があるはずなのですが、あたかも水晶が太陽になったかのような錯覚を受けます。

絵画についての造詣はあまりないのよくわからない部分もあるのですが、
この絵のように、絵のど真ん中に印象的なものが居座っているものも珍しいのではないでしょうか。

あんまりにも真ん中に水晶が置いてあるので、観ていると少し心がざわついてきます。
もう少し座りのいい場所があるのではないかと感じるわけですが、どかしてしまうのは惜しいような気がしてきて、
何ともいえないもどかしい感覚にさせられます。

さりとて、それは不愉快さではありません。
絵から染み出てくる爽やかで快活でポジティブなイメージのおかげで、気分はすこぶる良いです。
ただ、中央の水晶の圧倒的な存在感をうまく消化できずに、まごまごしてしまいます。

気付くと口から出ていた言葉は、「なんて異質な絵なんだろう」でした。
中央に浮かぶ水晶の異質さが心を捉えます。
異質さを感じながらも、不愉快ではなくむしろ気持ちがいいというのは実に不思議です。

そういった感覚のためでしょうか、気付くと長い時間この絵を見つめていました。
この“しっくりこない感じ”を無意識のうちに何とか解決しようとしていたのでしょうか、この絵の前から離れられなくなりました。
それは私だけではなかったようで、この絵を観ているほかのお客さんの中には数分間動かずに観ている方もいました。

そしてもう一つ驚いたのは背景の存在感でした。

写真でどこまで伝わるかはわかりませんが、山々と空が実に美しく描かれています。
これは実際に作品を観てみないとわからないことかもしれません。

山々からはひんやりと透き通った空気が通っている感じが伝わってきますし、
空は実に清々しい青に満たされています。

これは、美術館で20cmの距離まで接近して観ないとわからないことの一つかもしれません。

背景として緑あふれる山々が実に美しく描かれていてその上に、光輝く水晶が浮いているというこの構図は、非常に不自然といえます。
中央に居座るその堂々とした態度やサイズ感。存在感は圧倒的に異質です。

「一体何なんだ、何を表現しようとしているのだ」と問いかけたい気持ちが自然と生じてきます。

それは、漠然と感じることはできても、言葉に直すことはできない何かのようです。

タイトルが絵の横に掲示されていました。

「その光は、あたたかく満ち溢れ、全ての人を照らしている

私の観ていた前後の20数人の人達の中には、絵とタイトルを何度も往復している人が何人かいました。

私と同じような気持ちになっていたのかもしれません。


今、中村友紀の絵は非常に面白く、絵の造詣がない人であっても観に行く価値があるのではないかと思っています。
これは、身内だから贔屓して書いているわけではありません。
妹は絵の技術が高かったのは間違いありませんが、ここ数年までは私はあまり熱心に作品を観ていませんでした。

率直にいってしまえば、あまり魅かれるものがなかったためです。
絵の技巧が高かったとしても、私はあまり魅力を感じません。
別に絵が好きなわけではないのです。
一体絵なんか描いて何が楽しいのかと思っていたし、展示にも行ったことはありませんでした。

ところが、最近は全く様相が変わってきました。
彼女は「絵を越えた何か」を表現し始めたようにすら感じています。
それは、「精神性」とでもいうべきものかもしれませんが、もっと違うものかもしれません。

彼女の絵が、物や形や色を表現しているだけではなく、何か異なる次元のものを語り始めたのは確かだと思っています。
しかし、一体それが何なのかは現状ではわかりません。
私にもわかりませんし、本人にすら良く分かっていないかもしれません。

彼女の表現が今後どこへ行くのか、誰も知りません。

我々は、偉大なる画家の歴史を後から追うことが出来ます。
しかし、一人の画家の軌跡をリアルタイムで追える機会はそうそうありません。
中村友紀が偉大なる画家になるかどうかはわかりませんし、それ以前に中村家の家計に貢献できるかどうかですら定かではありません(兄の分まで頑張って欲しいところですが!!)。

しかし、今のこの絵を観ていると、この先どういう絵を描いていくのかを見守っていたいと思わされます。
頑張れ頑張れ言ったところで、何の足しにもならないので、
このようにブログに感想文を書いてみました。

もう一つ。絵を描くのは体力を使う仕事なので、
妹のためにトレーニングメニューを作成しました。
絵を描くために必死に筋トレをしている模様です。

妹の絵と画家としての生き方についてご興味を持たれた方は、当人のサイトを是非ご覧ください。

NAKAMURA YUKI ARTWORKS
http://nakamurayuki.com/


作品集
http://nakamurayuki.com/works2.html

Blogには今回の展示についての所感も載っています。

「VOCA2013始まりました」
http://nakamurayukiartworks.blog74.fc2.com/blog-entry-104.html

「VOCA2013終了しました」
http://nakamurayukiartworks.blog74.fc2.com/blog-entry-107.html

次の展示は、来春になるようですが、
その折にはご紹介致します。
是非みなさん足を運んでみて下さい。

ところで、油絵の素人の私にはいまいち意図がわかりませんが、絵の切れ端の写真も送られてきたのでそれも載せておきます。

空や世界が、キャンバスを飛び出して、外の世界まで広がっていくようなイメージを表現してるのかもしれませんが、どんなものでしょう?

3RIMG0477 225x300 妹「中村友紀」の作品を観て、その異質性と迫力に驚くーVOCA展2103にてー

 

報告&感想:西部顕司「戦術リストランテⅡ出版記念トークイベント」サッカー戦術ナイト~出張リストランテ

 

サッカーの戦術解説なら日本一のジャーナリスト西部謙司さんの講演会に行ってきた。難解でマニアックな講演かと思ったが、“にわかサッカーファン”の私でも理解できるように説明してもらえたので、大満足だった。

戦術リストランテⅡ出版記念トークイベント
サッカー戦術ナイト~出張リストランテin阿佐ヶ谷ロフトA~

 

20130327nishibe01 300x224 報告&感想:西部顕司「戦術リストランテⅡ出版記念トークイベント」サッカー戦術ナイト~出張リストランテ


 

出演

西部謙司(サッカージャーナリスト)
北健一郎(スポーツライター)
浅野賀一(footballista編集者)

 


 

内容

・前半
「日本代表編」
イベント前日に行われたW杯最終予選“日本vsヨルダン”のレビュー。
西部さんの意見を要約すると日本の積年の弱点である「セットプレイで高さがない」ことと「広いスペースをドリブルされると止めれない」ことの二つが出てしまった試合とのことだった。

二つの失点シーンをビデオを観ながら詳しく解説してもらった。特にコーナーキックでの失点のメカニズムは面白かった。

ヨルダンの10番が大きくてヘディングも強く、またファーでゴールを狙っているという情報があったらしく、日本はファーを警戒していた。ヘディングに強い吉田、今野、前田がファーで警戒していた。一方、ニアにはゴートクと遠藤がいて、中央はキャプテン長谷部と岡崎がゾーンで守っていた。

コーナーキックで危険なのはニアから中央までのエリアらしい。キーパーは止めに行きづらいし、相手が触れば入ってしまう。だから、普通はそこを厚く守るらしいのだが、今回はファーを警戒し過ぎて中が薄くなっていた。長谷部は180 cmちかくあるし、岡崎もヘディングは強いはずなのだが、ディフェンスの専門家ではないので隙が出てしまったのだろうか。ただ、日本代表に高さがないのは今に始まったことじゃなくて、どうしてもコーナーキックでは危険に晒されてしまう。

そこで、どうやって守っていくかが面白いところでもある。誰が危険な相手なのか、その選手はどこにいて誰が守っているのか、キッカーはどこを狙っているのかなどを、これからはよく観察してみようと思う。

しかし、国際親善試合のフランス戦では何本もコーナーキックを迎えながら守りきった。これは何故できたのだろうか?CFに入っていたハーフナーマイクが利いていたためだろうか? 質疑応答の際に訪ねてみたのだが、「フランスの決定力不足」に加えて「確かにハーフナーが利いてた側面もあるかもね」という感じだった。少し前のことなので、選手の配置などは覚えていらっしゃらなかったのかもしれないが、分析方法を教えて頂けたので今度もう一度観直してみようと思う(あの試合は大好きでもう5回は観ている)。

他にも「ザックは3-4-3を導入するか」「大津を使うなら1トップ?SH?」「本田の1トップや0トップは有効?」「トップ下は香川と本田のどっち?」など。

日本代表で0トップをやるのはなかなか難しいというお話は非常に興味深かった。
0トップとは、本来1トップをマークするべきセンターバックに誰もいない空間を守らせる戦術のこと。0トップをする場合は、SHの二人が高い位置で張ってラインを押し下げる機能を果たさないといけないらしい。しかし、日本のSHはウィンガータイプではないため、中に入ってきてしまう。だから、ラインが押しあがってくるので、0トップが機能しない。

バルサの例も出しながらの解説は非常に分かりやすかった。今まで何を読んでも0トップの肝がわからずにいたので、非常にすっきりした気分になれた。

・後半
「海外サッカー編」
全ては紹介できないのでダイジェストで。

「FCバルセロナ」
メッシはどこでパスを受けたいのか。何故CL 1stLegでミランはメッシを止めれたのかについて。

「マンチェスターユナイテッド」
香川の立ち位置。後2年が正念場。ファーガソンの監督としての特徴。

「ドルトムント」
センターバックがビルドアップしてくるチームに対する前線の守り方。アヤックス戦では、ボランチとCBのパスコースを切った。一方レアル戦では、セルヒオ・ラモスとシャビ・アロンソにきっちりマークをつけて、ペペを放置した。

「ユベントス」
ユーベの3バックシステムとピルロの使い方。

「サンフレッチェ広島」
5バックに近いシステム。森保監督になってから試したこと。

「浦和レッズ」
ミシャ監督の練習や指導について。浦和は優勝できるのか。

「ACL」
何故Jのクラブは勝てないのか。Jはどこへ向かっていくのかについての考察。


感想

西部さんの著書はまだ2冊しか持っていなかったのだが、『footballista』の連載“戦術リストランテ”は毎回熟読していた。
サッカーの戦術は非常に複雑で完全に理解する難しい。しかし、サッカーを楽しむ際に、戦術を考えることほど面白いことはないのも事実だ。

誰をどこで使って、どうやって相手のディフェンスを崩して行くのか。
あるいは、オフェンスに対して、どうやって守っていくのか。
試合をみての表面的な解釈や推測は、ど素人でもできるが、
それが正しい保証はない。

本当のことはお互いのチームの監督しかわからないと言う人もいる。
もし、双方のチームの戦術について可能な限り理解を深めていこうと思ったら、選手の能力や癖をはじめとして、チームの歴史、リーグの特徴、コーチ、トレーニングの傾向などなど、ありとあらゆることを知っている必要がある。

講演会の後、西部さんにサインを頂いた際に「最初に好きになった選手の名前を書いて下さい!」とリクエストしたところクライフベッケンバウアーと書いて頂いた。西部さんの“説得力”はこういうところからも生まれているように思えた。

20130327nishibe02 300x222 報告&感想:西部顕司「戦術リストランテⅡ出版記念トークイベント」サッカー戦術ナイト~出張リストランテ

また、戦術リストランテは内容が非常に高度でマニアックとすら言えるにも関わらず非常に読みやすい。それはレイアウトが優れているためでもあるのだが、質疑応答形式になっているのも大きい。その質問をしているのは、この日参加していた編集者の浅野賀一さんなのだろう。これから読む時は顔を思い浮かべてしまいそうだ。

今回は西部さんが中心の講演会だったので若干控えめではあったが、北健一郎さんは、サッカーの奥深さを知るきっかけになった名著“なぜボランチはムダなパスを出すのか? ~1本のパスからサッカーの”3手先”が見えてくる~ ”の著者。この本は、サッカーに興味がある人は絶対に読んだほうがいい本。特に遠藤が現役のうちに。いずれブログにレビュー記事を書こうと思う。

「試合の勝敗に対して、戦術は多くても20%程度しか影響しない」と、戦術ライターと称されることすらある西部さんは仰っていた。
けど、その20%が1番面白いところなのだ。
基本的には、良い選手を集めればチームは強くなる。
だから、金のあるところほど強い。レアルしかりバルサしかりマンチェスターUしかり。

しかしながら、メガクラブ同士の勝敗には戦術は大きく影響してくる。
また、ジャイアントキリングも時に戦術の成果なのだろうと思う。
サッカー熱が沸騰しそうになってきた。楽しい講演会だった。

こういうのまたやってくれないかなぁ……次も絶対に参加しようと思う。

 

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