ドイツは先進国で、ありとあらゆる意味で日本より進んでいるというイメージがあるように思うが、実態はそんなこともなかった。定時に帰れる嬉しさがあるのかと思いきや、みんなピリピリしているらしい。不器用な人達だ。
正月、初詣にいくときに寄った本屋で買った本。
非常に面白い本で有益ではあったが、飲み込みづらいところもあった。
「日本人には欠点がある。論理性の欠如だ。」
という何とも承服しがたいことが冒頭に書かれている。論理性では欧米人に劣ることがあるのは大いに承知しているが、論理性が欠如していると言われると、それは違う。「論理的ではない情報伝達も可能である」というだけであって、欠如しているわけではない。
ドイツに住んでいると、まるで日本人がロジックを持っていないかのように見えるというのはわからなくもないが、欠如しているというのは明らかに言い過ぎている。「日本人は論理的に物事を説明する習慣があまりない」とでもいうべきなんだろうと思う。
そういうことを言わせないためにも、現代文と数学の勉強はちゃんとやらないといけない。ぼくはロジックという点で、欧米人に負けていると思ったことはない。しかし、平均値では劣るというのは間違いないだろう。
次に、著者は日本には軍隊がないと思っている点。
1章がいきなり尖閣諸島に行くシーンから始まって、国土の問題を語っているのだが、ここは何とも読みづらい箇所であった。尖閣列島のレポートは興味深くはあったのだが、この本で読みたい内容ではなかった。ぼくが求めていたのは、ドイツと日本の文化的な違い、生活観、人生観の違いであり、領土問題についてではなかった。
日本は軍事力がないから……と言われても、それは認識が違うとしか言いようがない。ドイツと日本の軍事費は大差がなかったはずだ。
というように、いまいち飲み込みがたいところもあった。もちろん、そこに字数を割いてちゃんと説明してくれたら著者の言い分も理解できたと思うのだが、1章に地政学的な内容がいきなり出てくるのでうまく入り込めなかった。
それを差し引いても、他の部分は秀逸だった。
先進的と言われるドイツの代替エネルギー事情が実は全く効率的ではなくて、高い電気料金に苦しんでいるという指摘や、ドイツの鉄道があまりにも融通が利かない点などは新鮮だった。
最も興味深いのは、長い休暇を取って、世界各地へとバカンスにいくドイツ人が決して快適には暮らしていないという指摘だった。
「休暇がストレスのドイツ人、有給を取らない日本人」の章は非常に秀逸で、地政学的な指摘を入れるよりも、こういった文化的な側面を掘り下げてくれたほうが読みやすかったという感想を持った。
「日本人の優れたリフレッシュ術」
「休暇がストレスになる背景」
「短時間労働+高級でも不満な理由」
これらの指摘は、日本の再発見にも繋がり大変新鮮だった。
我々は我々がやるように生きて行くしかないのだ。
最後に、著者の指摘の1つ。外務省はwikipediaの更新を頑張れというのは強く支持したい。ガンバッテネ。