「疲れた」とか「忙しい」などと言ってはいけない。
それは人を遠ざける言葉だからだ。
最初に言ったのは誰だかわからないが、自己啓発書とかビジネス書をめくってみると、何冊かに一冊は、このようなことを書いている。
内容は妥当である。毎日疲れた疲れた言っている人に対して、大きな仕事を頼む気にもならないし、一緒に遊ぼうとも思わないだろう。
だけど、そんな時は、つまり、疲れがこびりついて取れなくなってしまった時にはどうしたら良いのだろうか。
「疲れ」をどうしたら良いかと考え始めたのは、ここ数ヶ月のことである。昨年も昨年でずっと疲れていたのだが、原因は明白で、前半は著書の執筆に魂を吸われていたから、中後半はブラジルでの疲労が回復しなかった。
ブラジルは本当に疲れたのである。楽しかったこともたくさんあったが、本当に疲れた。しかし、楽しいこととは疲れることであると言い換えることも出来る。ブラジルで疲れたことは、人生最大の財産の一つだ。一方で、その疲れからさっさと回復しなければいけなかったのに、どうしてもそれがうまくいかなかった。
30代になってしばらく経って、運動する機会も激減したため、自分の理解しているよりもはるかに疲れやすい弱いからだになっているというのもあるのだろう。そんな折りに、書店でこの本を見かけて購入した。
『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』裴英洙著 ダイヤモンド社
著者は、医師と、医療系の経営コンサルティング会社の経営をしているとのこと。非常に忙しそうなことはよく伝わってくる。
この本によると、疲労には三種類あるという。
1.肉体的な疲労
2.精神的な疲労
3.神経的な疲労
ぼくの場合は、肉体疲労は小さい。その代わり、運動不足で基礎体力は常に低下している。精神疲労は、「人間関係や悩み事などのストレスを原因とする心の疲れ」で、神経的な疲労は「長時間のデスクワークや細かい作業などで眼の神経や脳が緊張した状態が続くことによって起こる脳の疲れ」だそうだ。この二つ疲労は確実に蓄積している。
この本に書いてある疲労対策は主に3つ。
1.疲れを把握する。そのために「カラダ手帳」をつける。
2.睡眠を工夫する
3.食事を工夫する(肉を食べる)
ちゃんとしたものを食べるようにして、よく寝ればそれは回復するだろうと思うが、この本の最大のポイントは「疲れを見えるようにすること」なのだ。
ぼくの場合は、「カラダ手帳」なるものにトライしてみたが、2週間で飽きてしまった。こういったものを習慣化するのは、不可能に等しい。しかし、一回やってみることで見えてくることもある。2週間でわかったのが、ぼくにとって気が休まる時間も、身体を休める時間もほとんどなかったこと。また、運動の習慣がほぼ完全になくなっていたことであった。
このような事情を含めて、運動量を増やすこと、24時間単位で休息できるようにし、ゆっくりとリラックス出来る時間を作ることを心がけたい。
ところで、この『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』という本の表紙には、「一流の人」をイメージしたであろう男性の写真が掲載されている。
なんだかわけがわからないポーズだが、非常に軽やかで疲れが溜まっていない感じはする。こういうイメージになれるように頑張ったらいいのだな。
「カラダ手帳」を習慣化するのは難しいが、医師の視点から「疲労」「睡眠」「食事」などについて検討されているので、年収が高いビジネスマンが「俺の成功のヒケツはこれや!」と無根拠に述べているタイプのビジネス書よりも役に立つと感じた(あれはあれで役立つこともあるが)。
お酒の飲み方とか、栄養ドリンクを飲まないようにするとか、細かい部分が非常に参考になった。「なんとなく疲れている人」から脱したい方は是非読んでみて下さい。