【北ノルウェーの野鳥】北欧風プレゼンテーションを聞いてきた
9月18日に日本野鳥の会東京の主催で行われた交流会に参加してきた。タイトルはこちら。
【北欧】北ノルウェーの鳥たち-北極圏の1年-【オーロラの下で】
北欧というのは、我々日本人にとっては特別な響きのある地域のような気がする。交流会前後に読んでいた村上春樹のエッセイで、地球上には「辺境」は残されていない、どこにだって行くことが出来ると書いてあった。北欧には行くことは出来るし、住むことも出来るが、その中では最も「辺境性」の高い場所なのではないだろうか。
まず、日照時間が狂っている。夏場は一日中明るいし、冬場は一日中暗い。オーロラが出たり、いつ止むともしれない雪が降ったりする。村上春樹の繋がりで言うと『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』という小説に出てくる「世界の終わり」の情景は、北欧のことなんじゃないだろうかと思っている。
北欧は、すぐ隣に北極があるという文句なしの「辺境」に位置しているが、文明があり、お洒落な家具があり、大学がある。大学には世界各国から留学生が集まる。日本からも行く人がいる。
その日本からの留学生の1人が今回のプレゼンターだった。
北欧クオリティなプレゼンテーション
ノルウェーに行ったのは、勉強と科学研究のためとのことだったが、研究対象は鳥ではなかったらしい。しかし、子どもの頃から野鳥観察が好きで、講義の合間に鳥を探しに行っていたということだ(その逆ではもちろんないはずだ)。
プレゼンテーションは、ノルウェーの1年を追っていく形で展開された。
季節ごとに出現する鳥類たちが、”美しすぎる写真と動画”と共に淡々と紹介されていった。
BBCのドキュメンタリーを見ているような気分になった。非常に完成された美しいプレゼンテーションだった。
どういった鳥類がいるのか、どんな写真が紹介されていたのかについては、ぼくが書くよりもご本人のブログを閲覧して頂く方が100倍良いと思う。是非ご覧頂きたい。
Field Photo Gallery Blog 日記版
写真はFlickrというウェッブサービスにまとめてあったので、写真の一覧が見たい人はこちらもどうぞ。
Flickr
Here are my works!
しかし、美しいプレゼンテーションだった。
何故これほど美しさを感じたのかを、帰り道に考えてみた(そうでもしないとこの記事が書けなかったのだ)。
これはプレゼンテーションが北欧的だったのかもしれないと感じた。「北欧的なプレゼンテーション」というものが世の中に存在するとは思えないのだが、後々考えるとそういうことなんだろうと思う。
写真や動画がすべて高品質で、かつ、センスに溢れるものだったということもあったが、プレゼンターの語り口がエモーショナルではなく淡々としていたことも良かったのだろうと思う。
情熱溢れる予備校教師の講義も説得力はあるかもしれないが、あれの正反対のものだった。
話すべき事を順序立ててゆっくりと落ち着いたトーンで説明していく方法はとても心地が良かった。思うに、プレゼンターは1年間北欧に住んでいたからああいう話し方になったのではないだろうか。
落ち着いた人をリラックスさせ、安心させ、信頼させるような空気を味わいながら、ジュールベルヌ作の『地底旅行 』に出てくるアイスランド人“ハンス”を思い出した。アイスランドもノルウェーの近所だから、似たような空気の中にあるのかもしれない。
ちなみにハンスはケワタガモの猟師。といっても銃で撃つわけではなくて、胸の毛を使って作った“巣”を回収して羽毛を得ることを生業としている。
土地柄というのはあるんだろうと思う。それには、気候、風景、人の密度、人口、野生生物など様々な要素が絡まり合って、人間に影響を与えていく。もしプレゼンターの彼が大阪で営業職をやっていたとしたら、“ああいう風”なプレゼンテーションはできないのではないだろうか。
そう考えると、自分のプレゼンテーションはまるで“詐欺師の説法”みたいだったなと妙に気恥ずかしくなってしまった。
ちなみにあんまり褒めるのも気味が悪いので、唯一プレゼンターがエモーショナル(?)なことを言った部分も紹介したい。
“ウソ”という鳥が出てきた時に「ウソじゃなくてホントなんですよ~」とジョークを飛ばしていた。しかし、観衆達は美しい写真と説明に魅入られていたため、うまくジョークを拾えなかった。結果として、ジョークはダダ滑りのような状態になってしまった。
そりゃ、あんなに落ち着いた雰囲気で、おっさんジョークが飛んでくるとは誰も思ってないからね。
というわけで、今回の交流会も大変有意義だった。とても楽しかった。
プレゼンター様お疲れ様でした。framúrskarandiでした(あってるのか、これ?)。
イベントの内容を臨場感たっぷりに紹介してくださり、ありがとうございます。
1か月前から楽しみにしていたにも関わらず、参加することが叶わなかったのですが、お陰ですっかり会場に行った気になることができました。
ちなみに「世界の終わり」の情景は、私は東欧(もしくは中欧)のイメージで読んでおりました。
Tsukushigamo様
コメントありがとうございます!! コメント頂けたことに対する喜びは尋常ではありません。何故なら、このブログに対する初コメントだからです!(SNS関係を通じてならあるんですけどね~
プレゼンターの素晴らしい発表の魅力を何割伝えられているかは定かではありませんが、多少なりとも足しになれたようで大変嬉しいです。もうご覧になったかもしれませんが、リンク先のブログの内容も大変素晴らしいですし、私の文章よりも余程「彼らしさ」が出ていますので是非じっくりご覧下さい。
「世界の終わり」は東欧か北欧あたりだろうと漠然と思っていました。でも、この発表で、ノルウェーの冬が迫ってくると「日が短くなり」「呆れるほど雪が降り」「人々が鬱になっていく(だからリフレッシュするための旅行休暇があるらしい)」という話を聞いて、ああ、あれは北欧だったんだと確信してしまいました。が、これは、その場の気の迷いのようなものかもしれません。ただ、尋常ならざる興味を持ったのも事実なので、しばし北欧関係の書籍を読もうと思っています。
ブログでは第一号でしたか、大変光栄です(^^)
こちらとしては、なかなか出席できない講義でわかりやすく面白いノートを取ってくれている、頼りになるクラスメートを発見!という心持ちで一人ほくそ笑んでいたところでした。もちろん、Young探鳥会以外の他の記事も楽しみにしております。
「世界の終わり」、すっかり北欧の気がしてきました(^^)
Tsukushigamo様
コメントを頂けると大変やり甲斐になります。今回頂いたコメントで10記事は書けそうです(笑
ぼくは大学のノートを取るのが心底苦手で、単位を落としてばかりでしたが、ぼんやりとした印象を元に何かを書くのは得意みたいですね。ぼくのノートを元にテストを受けてみたら単位がないかもしれませんのでご注意下さい!思うことがあって、しばらくトリブログの更新を強化しようと思っています。よろしくお願いします!