「畑のそばをドライブする時……油断は禁物!!」 宮古島探鳥 その4 (2013年6月)


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<宮古島探鳥を最初から読む方はコチラから>

植物園で1時間ほど過ごし立ち去ろうかと思っていた時、デジスコと双眼鏡を抱えて迷彩服を着たおじさんが話しかけて来た。岩手県から来られた方らしい。奥の方の池でアカショウビンを撮影できたとのこと。水浴びをするためにちょうどいい枝に止まるらしい。写真を見せてもらったが素晴らしいの一言だった。明日の朝にでも行ってみよう……

おじさんと10分くらい鳥情報を交換した。オオクイナやミフウズラが見たいけどどこにいるのかさっぱりわからない、シロハラクイナはそのへんにいる、など。

植物園を出て、車に乗って20分ほどの親戚の家へ向かった。車に乗っている間も油断することはできない。どこから野鳥が出てくるかわからないからだ。いや、むしろ車に乗っている時の方が間近で鳥を観察できる機会は多いくらいだ。野鳥は多かれ少なかれ人間に対して警戒心を持っている。10メートルの距離まで近寄れる鳥もいるが、30メートル離れていても逃げてしまう鳥もいる。

一般に鳥は視覚を中心に世界を認識する生物のようで、人間の姿形を認識しているらしい。だから、「かかし」のようなものが「鳥よけ」に効果があるという理屈だ。だから、歩いて探鳥しているときは当然、頭と手足と胴体を晒して歩いているわけだから、鳥に見つかると警戒されてしまう。もっとも、空腹時などは人間に近寄るという危険をおかして近寄ってくることもあるかもしれない。

車に乗っているときは、人間の手足は見えず大きな鉄の箱が移動しているだけだ。そのため、野鳥は警戒することなく非常に近くまで来てくれることがある。そう、このときのように。

左右に畑が広がる道をドライブしていると、目の前を「走る」鳥を発見。テケテケテケと可愛らしく歩いている。歩いているというよりも「走っている」。この感じは、チドリの仲間に違いない……と思いつつ慌ててブレーキをかける。しかし、「気をつけよう、車はすぐに止まれない」。停車できたのは、鳥まで1メートル近い位置だった。

これは……ツバメチドリ!!!!!!!!!!

少年漫画の登場人物のように格好いいデザイン。美しい立ち姿。ツバメなんだかチドリなんだかさっぱりわからない曖昧な名前。そう、こいつはまさしくツバメチドリ。一目図鑑を見たときからずっと会いたかった憧れの鳥に会えた!しかも唐突に!

これは嬉しい。どうも畑の側に出来ていた水たまりのところに来ていたようだ。農道のそばの水たまりは探鳥の重要なポイントでクイナ類が水を飲みに出てくることが結構な頻度であるらしい。その中にはオオクイナも含まれているはず……2010年5月には超珍鳥のハシナガクイナが現れたとか。最もそのときは大雨で島中が湿地状態になっていたらしいが。

さて、ツバメチドリはというと…… 車がすぐ傍に止まってしまったのでちょっと遠慮していたが、水を何回か飲んで周りをテケテケ歩きまわっていた。

 

背筋の通ったモデルのような美しい立ち姿。素晴らしい!!

 

もう、近すぎて取れないくらいまで接近していた。写真下部が歪んでみえるのは、車のフロントガラスの屈曲のため。

写真を撮るのにはあまり熱心ではないのだが、偶然でも良い写真が撮れてしまうと機材が欲しくなるなぁ……でも高いんだよなぁ……

そして、水を飲み終わったツバメチドリが飛び上がった。その姿はまるで大きなツバメのようだった。なんと格好がいい鳥だ。鳥のように空を飛びたいなんて言い方をする詩人はいるけど、ぼくなら「ツバメチドリのように空を飛びたい」と言いたいところだ。これほど気持ちよく空を飛ぶ鳥はなかなかいない。

ツバメチドリはユーラシア大陸東部に広く棲息している鳥で、日本は渡りの際に通過する程度。そのため、渡りの時期じゃないとなかなか見れない鳥だ。どうやら、宮古島では毎年繁殖しているらしく、夏に来れば高い確率で見ることができそうだ。

 


 

……ツバメチドリが見えなくなるまで双眼鏡で見届けて、再び車を走らせた。敢えて裏道を走っていたので交通量は極めて少なかった。そのため、ゆっくりと車を走らせることができた。2,3分走った頃だろうか。

 

トコトコトコトコトコトコト♪

 

と、道路を横切る小さな鳥が!!!

あれなんだ? 今のはなんだ? もしかして??

はっきりと見えたわけじゃないけど、今のはミフウズラだったのではないだろうか。小さな身体、やや黒ずんだ色合い、サトウキビ畑から出てきて道路を歩いて横切るという行動。ミフウズラに間違いない!!

体長は14 cm程度と聞いていたが、実際はもう少し大きく見えた。身体を伸ばして歩くからだろうか。他に間違える可能性がある鳥はいなかったのでミフウズラと判定した。後に知り合った現地ベテランバーダーのN氏によると、「ミフウズラは、車に乗っているとよく見かけるけど、いざ探すとなると結構難しい鳥」なのだそうだ。

確かに、最初の2日間に3,4回見つけたがその後はぱったり見なくなった。もっとも、地元の人(非バーダー)に聞いたところ、ウズラ(ミフウズラのこと)はよく見かけるとのことだった。

もう少しはっきりと姿が見たいなぁ……

ツバメチドリに会えたのと、一瞬とはいえミフウズラを見つけることができたので大変満足なドライブだった。

☆新規確認種☆
ミフウズラ、ツバメチドリ

☆宮古島探鳥 確認種数☆
8種(+1種)

New!

☆Life list No. 142 ツバメチドリに1メートルまで接近!☆
☆Life list No. 143 ミフウズラは逃げ出した!☆

続き

「謎の白黒鳥発見。この鳥は!!!!!。」宮古島探鳥その5