Jリーグがオフシーズンになって、なんだか詰まらなくなってしまったなと気の抜けたツイートをしていたら、嫌なニュースが目に入った。
FC東京のルーカス選手が、練習中に怪我をして病院に運ばれたというニュースだった。
そして、検査の結果、「右脛骨骨幹部骨折」と診断され、全治には6ヶ月かかるらしい。
既に引退を表明している選手だが、文字通り引退が確定したというか……
何かの気まぐれで戻ってくる可能性すらなくなってしまった。
もちろん、強い意志を持ってリハビリをし、その後もトレーニングを重ねていけば、再び競技が出来るようになるかもしれない。しかし、もうすぐ35歳を迎え、既に引退を表明した選手なのだ。
このニュースには強い衝撃を受けた。
ルーカス。ニワカなぼくにとって、今シーズン最も活躍をみた選手の1人だ。
人なつっこい笑顔をしながら、子供を抱えながら選手入場してくるのはとても素敵だった。
あの子供達は、動けなくなった父親をみてどういう顔をしているのだろうか。いや、父のルーカスは子供達にどういう接し方をしているのだろうか。
「パパはもうサッカーをしないから大丈夫だよ」と笑顔で応えているのか、それとも苦痛に顔を歪めているのか……
なんかもう嫌になってしまった。キャリアの最後にそんな大けがをするなんてあんまりだ。怪我なんかなければいいのに……
NBAをみていると、怪我人のニュースに日常的に触れる。誰かがしょっちゅう前十字靱帯を切っている。コービーがアキレス腱を切った時なんかライブで観ていた。しかし、それらの怪我はどこか自分から遠いものだった。可愛そうだなとは思うものの自分の痛みではなかった。
ところがルーカスの怪我は……
数回とは言え、「俺のルーカス」として一緒に戦ってくれた仲間なのだ。そのルーカスが大怪我をして、天皇杯の大一番に出れなくなるなんて……
もう二度と観れず、二度と一緒に戦えないのかと思うと心底悲しくなった。
まだ天皇杯で観れるからと、最終節は他に行ってしまったことをちょっと後悔している。
TwitterのFC東京サポーターのコメントを概観してみると、ほとんどの人が話題にすらしていなかった。ショックが大きすぎるのかもしれない。
妄想だけど、こういう風になったらいいのにね。
FC東京は、大黒柱のルーカスを欠きながらも天皇杯で優勝する。
ACLへの切符を手に入れ、死闘の末グループリーグを突破する。
しかし、決勝トーナメントを勝ち抜くには戦力がどうしても足りない。
そこで…… 必死のリハビリを終えたルーカスが登場する。
「俺にはまだ仕事が残っていることを思い出した。」
もちろん、現実はこうはならないだろうが、ルーカスの人生はこれからもずっと続いていくし、彼には「まだ仕事が残っている」。どういうキャリアを辿るのかはわからないが、これからのルーカスの人生を心から応援したい。
そんなことを考えながら歩いていたら、「ゆるねば」が頭の中に流れてきた。
どういう歌詞なのか自分なりに訳してみよう。
You'll Never Walk Alone
Lyrics : Oscar Hammerstein II
When you walk through a storm
Hold your head up high
And don't be afraid of the dark
嵐の中を歩くときには、
暗闇を恐れずにしっかりと前を向くんだ。
At the end of the storm
There's a golden sky
And the sweet silver song of a lark
嵐が通り抜けた後には、金色の空が広がっている。
そして、一羽のヒバリが、甘い銀色に輝く歌声を聴かせてくれる。
Walk on, through the wind
Walk on, through the rain
風に耐えて、歩き続けよ。
雨に耐えて、歩き続けよ。
Though your dreams be tossed and blown
たとえ、君が描いてきたいくつもの夢が、
すべて壊されてガラクタになってしまったとしても。
Walk on, walk on, with hope in your heart
歩き続けよ、歩き続けるんだ!!
心の内に希望を秘めて!!
And you'll never walk alone
You'll never walk alone
そうすれば、君は絶対に1人にはならない!!!
決して1人にはならないんだ!!!
辛い時、絶望的な時、打ちのめされてズタズタになった時、
自分が夢見ていたものが不可能になってしまった時……
人生において最低な瞬間は何度も訪れる。
それがこの曲でいうStormだ。そんな時にも顔を上げないといけない。
顔を上げて歩き続けるべきだ。
そうすれば、必ず仲間ができる。今は1人でもずっと1人でいることはない。
暗澹たる時に光を与える力強いメッセージを歌ったこの曲。
ルーカスはこの曲を100回以上聴いてきているはずだ。
きっと大丈夫だ。
頑張れ、ルーカス!!