どうしたFC東京!
なんだなんだ。去年まで、気の抜けた試合ばかりしていたのを忘れたか。
調子よくても詰めが甘くて大一番では必ず負けるんじゃなかったんか?
どうしたどうした。
ぼくは見始めて5年目だけど、こんなFC東京は初めてだ。
非常に筋の通ったサッカーをしている。
DFラインから一つボールがあがったあたりにいくと、うねうねっとプレスが始まり、いつの間にか相手を囲んでいる。結構な頻度でボールが奪えるんだ、これが。
1人目というよりも2人目、3人目のポジション取りがいいんだろうな。
そして、そこから前線にパスが入るんや。ハリルホジッチの生き霊でも憑いたのか? 前に運ぶ意識が強く、いわゆるデュエルになってもめっぽう強い。
東が!!
あの東が、持った瞬間に前を向いて、力強くドリブルして持ち上がっていくんだから。東は、器用に受けて器用にさばくけど、推進力が低い選手だった。その東が、ガンガン前に進んでいく。視野も広いし、パスも出せるから、こうなるとめっぽう強い。
周囲には高萩やディエゴオリヴェイラ、そして、駆け抜けるマル珍暴走男の永井謙佑がいるわけだから、そりゃ前を見るか。環境の変化が、ついに東を完成型に導いたのか。
あるいは長谷川健太監督にしばかれたのか。大森と同じように「やれ!」と一言だけ言われて、とりあえずやることにした東慶吾。そんな話だったりして。
J3のU-23があることも実ってきて、活きがいい若手も多いし、なんというか……。ここ数年の記憶喪失はなんだったんだと思うほど、今年のFC東京は面白い。
あのプレッシングを突破されるようになってくると厳しいかなという気はするんだど、そもそも選手の基礎的な能力は高いチームで、「どうして勝てないんだ君たちは!!」という状態であったことを考えると、今年はもしかするともしかするかもしれない。
ハリルホジッチが解任になったのは、ぼくらサッカーファンのせいだ。
我々サッカーファンが、ハリルホジッチの良い部分をもう少し言っていくべきだった。
といっても、正直言って、語れるほどはよくわからん!というのはあった。サッカーの最先端はとても難しくて、ハリルホジッチが実績上、その最先端に近いところにいる監督であることだけは知識的にわかったのだが、具体的にどこがどうなってというのは難しかった。
ただ、ハリルホジッチが求めた、ガチムチマッチョな走るチーム(デュエルが強いチーム)というのは、大正義であるため、そこだけは言っておくべきだった。
個のレベルでのインテンシティが足りないというのは、2010年くらいからサッカーライターがしきりに記事にしてきたはずだ。
Jリーグサポーターは、代表戦の度に「中村憲剛を呼べ」と言い続けていた。Jリーグではスーパーな選手だし、自分たちがよく知っている選手だからだ。
しかし、代表に定着しなかったのは、トップ下という強いプレッシャーがかかるポジションで、世界レベルの当たりに対抗できないと考えられていたからだ。
……という記事を読んだ気がする。それが清水英斗さんの記事だったのか、北健一郎さんの記事だったのか、footballistaだったか、サッカー批評(現フットボール批評)だったか、サッカー小僧だったかは忘れてしまった。
今はなきサッカー小僧のインテンシティ特集だったかも知れない。あれは面白い雑誌だったけど、あっという間にネタが尽きてしまった。
さておき、もし中村憲剛がガチムチマッチョなサッカーが出来たら、世界の舞台で大活躍が出来ていたかも知れない。例えば、テクニカルなイメージが強いスペイン代表選手であるダビド・シルバだって、ガチムチの国イングランドで、強烈な当たりをもらっても、体勢が崩れずにしっかりとボールをキープできる。
こういうのがデュエルを磨いた先にいきつく境地のはずなのだ。もちろん、当たりに耐えるだけじゃなくて、90分間、走りに走り、プレスをかけ続けることも含まれる。
Jリーグだとプレスに走り回る場面は限定的で、卒なく、ミスが出ないように90分守ることを主眼に置いている。バランスがとてもいいし、悪いことではない。
でも、CLとかプレミアとかみると、もうずっと走っている。ずーっと走っている。とにかくガチムチ度が高い。
そして、スタミナ切れで動けなくならない限りは、そっちのほうが強い。
今のFC東京が強いのも、システム面というよりは、前に行く意識が上がって、開き直ってガチムチなサッカーをし始めたからというのもあるんだろうなと思う。
プレミアみたい。と思ったぼくの直感はそれほど大きく外れてはいないと思う。
ハリルは、ガチムチの駒を作って、チェスをしようとした。
ガチムチの駒がいないとサッカーは強くならないので、それは大正解だ。誰も否定することが出来ない。
「いやいや、足が遅くても、当たりが弱くても、体力がなくてもいいですよ。ぼくには技術がありますから」
という選手がきっといたのだろう。こちらも誰が言っていたのか忘れてしまったのだが……。
「下手だけど走る奴に練習させるより、上手い奴を走らせるほうがいいと思うだろ?でもな、上手い奴はどうやっても走らないんだよ」
ヨーロッパの指導者が言っていたような気がするという曖昧なソースなので、昔読んでた文献を漁らないといけないな。
とはいえ、これも古い話だ。今は上手い奴が死ぬほど走るからだ。たらたらやって要所要所で活躍するという選手は滅んで、良い選手は走って走って走り抜いて、やっと出来た小さな隙間で大きな仕事をする。
ぼくは思った。
ハリルのサッカーを理解しようとまで頑張れなかったのは、サッカーをプレーしなくなっていたからだ。
フルコートのサッカーは、とにかくしんどい!!
走るのがしんどい、ボールを触れない時間が長いのもしんどい、ワンミスが巨大な悲劇を引き起こすのでしんどい、ロングキックが苦手すぎてしんどい、シュートをしたいのにゴールが遠すぎてしんどい。
そして仲間を集めるのがしんどい。フットサルは10人でいいのに、サッカーは22人必要だ。
しかし、サッカーのほうが面白いんだよな。脳がリフレッシュする。とにかく走るので気持ちがいい。
よし、サッカーを再開しよう。
そう思っていたタイミングで、永遠のアマチュアフットボールプレイヤーの中村篤次郎さんから、お茶に行こうとお声がけ頂いたので、俺の中の永井謙佑が目覚めた。
俺も走るぞ!!!!!!
うっかり「俺」とか言ってしまったけど、文章が書きづらいから、「ぼく」に戻す。
ぼくはサッカーをやるときは、GK、SB、SHが多い。
GKが一番得意なのだが、ゴールキックが失速するという致命的な欠点がある。けど、バスケをしていて、リバウンドが特技だったのでハイボールはかなり得意としている。
シュートストップも得意なんだけど、ポジショニングはすごく甘いと思う。本職の人とは比べるべくもないはず。ただ、その時いる場所からの反応速度はまぁまぁのはず。デヘアの3分の1くらいの速度では反応できると思う。
とにかくGKは面白いポジションで、ゴールキックだけなんとかしてやっていきたいところだ。本職用のキーパーグローブも持ってるし!しかし、GKは一旦おいておこう。
楽しいポジションだが、今回の趣旨である、ハリルを理解するために必要だったことを考えるためには……
FWだ!!!
FWは前を向いてプレー出来ないし、ずっとイライラしながら駆け引きをして、やっとボールが来たと思ったらタックルして潰されるという損な役回りなので、正直好きではなかった。
しかし、最新のサッカーがゴールまでのコースを逆算してチェスを組んでいる以上、ゴールに一番近い位置で考えるのは有効だと思う。それにぼくは、シュートチャンスがあればガンガン撃っていくタイプの選手なので、マルキーニョス。
ただ、FWはほんと難しいんだよな。後ろから飛んできたボールを一瞬の判断で流して、シュートに持ちこまないといけない。
あと、横から飛んでくるボールを蹴るのが極めて苦手。そして、ヘディングができん……。バスケのタイミングで飛んでしまうから、頭の頂点に当たる。悶絶する。
ヘディングしなくていいからサイドでプレーしてたんだよな、そういえば。
このへんを練習しよう。基礎技術は基礎技術でつける。
そして……。目覚めよ、俺の中の永井謙佑。
足の速さには自信があるので、とにかく走ればいい。走って走って走ろう。とにかう速く走ろう。1試合の中で走れる回数を増やそう。
もちろん、足が速いと言っても一般のおっさんの中ではという条件は付く。町会対抗運動会を歴史上初の優勝に導いたというのが唯一の勲章なので、たかが知れているが、おっさんの中では速いはずだ。
そして、速く走るだけではなく、どこでだれにどういう角度でプレスをかけるのか、走りながら仲間の位置をどう調整するのか、取った後はどう展開するのか、どう走るのかというのが大事だ。
そのへんをピッチの上で考えていくことが、ハリルの敵を取ることに繋がっていくんじゃないだろうか。
フィールドで強く走るためには、普段からスパイクを履いて走り回っている必要がある。スニーカーでも、トレシューでも駄目だ。とにかく、週に何度かは時間を作って、スパイクで走り回るようにしよう。
行くぞ、俺の中の永井謙佑!!
これだけ永井永井いってて、永井の話をあんまりしていないのはどうかと思うが、とにかく走ることにする。
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