埼玉スタジアム2002へ。
ここのところスタジアム観戦難民と化していたので久しぶりの現地観戦であった。昨年、一昨年と50試合程度現地観戦していたし、海外にも観に行っていたことを考えると寂しい限りではあるが、そういった夢のような暮らしは常に出来るわけではない。
経験を、文章に変換して、仕事にしていくべきなのだが、ああ、ぼくはなんという間抜けなのだ。うまく表現できないうちに、次々と書きたいことが蓄積していく。
先日ブラジルワールドカップの序盤だけ何とかリリースすることは出来たのだが、まだ正直いって全然進んでいない。神の試練か、自業自得か。
よくわからないが、もうそろそろ限界なのである。とりあえずこれ以上溜め込まないために、経験したことは、後々書籍などに編纂するものも含めて、生々しい、精製されていない状態で、ブログ「はとのす」にペーストすることにした。
埼玉スタジアムには車で行ってみた。駐車場を探して裏道を行くと、畑の中から手招きしているおじいさんがいて、その畑に駐めることが出来た。
おじいさんの家で、大量のおせんべいと、松本名物「雷鳥の里」を頂く。そして特に聞いたわけでもないのに、大町あたりから立山を観光する時のルートについて教えてくれた。
小さいお子さんが出てきてお孫さんかと聞いてみたら「ヒコマゴ!」と言っていた。ひ孫のことらしい。街道から一本入ると、いきなり農村のような風景になるのが興味深い。野鳥も多そうだ。
埼スタから浦和美園へ。そして東川口へ。ネットカフェに入る。原稿を進めようと思ったが、フラットマットがペコペコに潰れていて、腰が痛くて断念。仕事するときはオープンスペースのほうがいいかな。
結局「グラゼニ」の続きを読んだだけで終わってしまった。仕事的にはもったいない一日だが、明日頑張ればいいや。「グラゼニ」はフリーランスの職種には必須の漫画だと思う。
ネットカフェの中にはユニフォーム姿の人もチラホラ。どういう行動パターンなんだろう。1回待機列にシート張りした後、ここで時間を潰しているのかな。
関係ないけど、まだ午前のうちに並び始めているカップルとか見かけるんだけど、会話が持つのだろうか。あまり仲が良くない段階でディズニーランドに行った結果、会話が弾まずに気まずくなって終わるという悲劇を時折聞くが、ディズニーよりも待機列のほうがはるかにハードルが高い。
何せ、一カ所に並び続け、試合がはじまるのは8時間以上後なのだ。やる気出してインタビューして回ってみるのも面白そうなんだけど、「ぼーくやっぱり勇気が足りない」というブルーハーツ症候群なので、なかなか難しいかもしれない。
というわけで試合へ。
スタジアムへ向かう途中で食べたオムライスが美味しかった。トロトロフワフワのオムレツ。あれどうやって作るんだろう。作る前にバーナーでフライパンを炙ってたのが効いているのだろうか。
というわけで試合へ。
座席はバックスタンドアッパーの結構上の方。俯瞰は出来るけど、顔や髪型での判別は難しい位置。今回のチケットは、サッカー仲間のあまりを譲ってもらったもの。
ヤマさんと最後に会ったのはいつだったのか考えてみたらカンボジアのイオンの中だった。あれから、あんまりサッカー行けてないもんなぁ。
あの時はお気楽なムード、苦戦はしたが負けるわけもないだろうと思われた試合であった。まだ二次予選なのである。
しかし、最終予選の初戦である今日は、打って変わって重苦しい雰囲気であった。
「ロシアには行けないんじゃないの?」
結構色んな人に言われるんだよなぁ。みんな漠然と不安を感じているんだろうと思う。アジア各国が強くなってきていることもあるし、日本の状態も盤石とは言えないからだろうか。
最終予選の相手は、オーストラリア、UAE、イラク、サウジアラビア、タイ。
すると、オーストラリア、UAEには負けるわけにはいかない。特にホームでは絶対に負けられない。そんな試合である。
UAEには、アジアカップの借りがある。アギーレの仇である。アギーレ監督の黒い噂のところはさておき、アギーレジャパンはとても好きだった。
準備期間がなかった最初の数試合を除いては、今までにはなかったような危険な香りがする攻撃が多く見られた。もうちょっと見ていたかったと思うのだけど、日本人にとって、日本代表を支えるスポンサーにとって、サッカーとはクリーンさの象徴でなければならない。
純白のシーツでなければ価値が下がってしまうのだ。一方で、日本人がどう理想を押しつけようとしても、サッカーという競技はクリーンではない。どこまで本当かなのかわからないが、全部本当だとすると泥んこのシーツなのである。
泥にまみれても勝利を目指す。
日本人は、それを卑怯だと言う。男らしくない、潔くないと言う。しかし、全身がドロドロになって、卑怯だと罵られようが最後まで戦い、勝利したものだけが英雄になるのがサッカーなのである。
この日の試合は、1-2で負けてしまった。
セットプレーからファーに構えた本田のヘディングをねじ込んだところまでは良かった。しかし、すぐにFKから1点を取り返される。そして、後半にPKを取られて、2失点。そのまま試合終了。
結果として審判の判定はUAE寄りであったように思う。それが正しいジャッジだったのか、八百長や買収などの不正なのか、同じ中東の国としての友情と共感なのか、単なる不運なのか、本当に審判の実力不足なのか、遠い座席からはわからなかった。
同じ中東の国が審判したら、有利な判定を下すに決まっている。という意見もあるだろうけど、同じ東アジアの国が審判をしたら(中国、韓国、北朝鮮)、日本は不利になるのではないかと思うので、一概にそうとも言えない。
例の審判については以前にも日本に不利な判定を下しているという事情もあるので、事前に異議を申し立てるなどして別の審判(団)を求めるという方法もあったかもしれない。
そういった政治的な駆け引きも含めて、代表戦とは戦いなのである。
実際の所、どういう力学が働いていたのかはわからないが、観客席から見ていて、納得がいかない試合であった。もっとも判定に対して納得がいかないというよりも、日本代表のまとまりのなさについての納得のいかなさのほうが大きかった。
先日、ブラジルワールドカップのことを書き記すにあたって、予選リーグのコートジボワール戦を見返していたのだが、あの時ととても似ている。そういえばスコアも同じである。
試合の入りは緊張感が溢れているのだが、とても堅い。堅くて堅くてギクシャクしているようにすら見えてしまう。強いプレッシャーがかかっているのだろう。
強いプレッシャーの下でも本田はシュートを決める。
得点を取って少し弛緩する。
攻撃の圧が弱まる。
守勢に回るようになる。
失点する。
うーむ。
なんなんだろう。あの堅さは。出だしから不安でしょうがなかった。本田が得点を決めても安心できなかった。なんでそう感じたのだろうか。
個々の選手の誰が良くないみたいな「魔女裁判」をするつもりはないのだが、出だしの堅さ、あるいは重さについては、何とかなって欲しいものだと痛切に思う。
一人一人が伸び伸びと個性を発揮して、チームとして連動することが出来たら、UAEのディフェンスブロックを崩すことは十分に出来るはずなのだ。能力的には出来るはずだ。しかし、序盤にはそういう気配が感じられなかった。
後半は有効なオフェンスを見せていたが、この試合で一番印象的だったのは、杯ボールに食らいつくUAEのゴールキーパーと、最後の最後まで足を伸ばし、身体を投げ出してシュートブロックにいくディフェンス陣であった。
判定に救われたところがあったにせよ、そのチャンスを勝利まで繋げたのはやはり気迫あふれるディフェンスだったなと思う。
隣で見ていたヤマさんから聞いたのだが、最終予選の初戦を落としたチームがワールドカップに出場した前例はないのだそうだ。ゼロかどうかはよくわからないが、相当なレアケースになるらしい。
暗雲。
はやくも、暗雲。
UAEにホームで負けてしまった以上、オーストラリアには絶対に負けられない。この先全部勝てば当然勝ち上がれるはずだが、それはなかなか難しい。
UAEアウェーなんてどうなるかさっぱりわからないし、オーストラリアアウェーはどうせまたボコボコのピッチでやることになるかもだし……。
ただまぁ、結論としては、今回は行って良かった。二次予選や親善試合はゆるい気持ちで楽しめたが、実はこのピリピリした最終予選を味わうのは今回が初めてなのだ。
負けはしたが、久々に日本代表を本気で応援したような気がする。シンガポールやカンボジアは「どうせ勝つでしょ」という余裕がどこかにあったのだ。
ハリルホジッチ監督は、審判への抗議を通して戦う姿勢を示した。この監督の闘志については、ぼくは疑っていない。ただ、どういうことをしたい監督なのか、実はまだ掴み切れていない。純粋に勉強不足である。
日本代表と共に、ワールドカップへと赴くために、せめてハリルホジッチ監督のやろうとしていることが理解出来るように頑張らないとな。
最後、なんで原口だったんだろう。浅野、宇佐美まではわかるんだけど。
とかね!!
明日、自称解説者志望の天才松田と会うので、可能なら音源も録ってハトトカかYoutubeにもアップしたいなぁ。出来るかなぁ。サッカーの中身については、書くより喋るほうが楽しい。サッカーとは世界最強の共通の話題なのである。
ともかく、ロシアワールドカップには行きたい。何とかして連れて行って欲しい。日本代表のいないワールドカップなんて嫌だ。
ともかく次のタイアウェーは必勝!!
ブラジル以来、正直言って気が抜けていた。しかし、この敗戦を目撃したことで、日本代表を応援しようという確固たる決意が出来た。
そういう意味では行って良かったと思う。
9月にvsタイ@アウェー
10月にvsイラク@埼スタ、vsオーストラリア@アウェー
11月にvsサウジアラビア@埼スタ
オーストラリアアウェーは引き分け以上で、他は全部勝利。これが最低ライン。ジリジリと焦がされるようなプレッシャーを感じながらの戦いである。もう一個落とすと、地獄の釜の中で足掻くような勝負になってしまう。
頑張れニッポン!と松木さんばりに叫ぶしかないぜ。
というわけで試合を見たら、なるだけその日のうちに、ざっくりと書くシリーズ。第一弾であった。
ところで、駐車場のそばにあったラブホテルが「本日貸し切り」になっていたのは、なんでだろう。団体様がまとまって泊まるのだろうか。何だろう。通い慣れた埼スタ回りにも謎がいっぱいある。
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