東大に11年在籍した後、タクシードライバーになりました

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サッカートピック サッカー論

太陽が沈むとき。アジアカップ敗退によせて。

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アジアカップでの敗退が決まった。アギーレジャパンには強く期待をしていたのだが、勝負の世界は残酷だ。

両手両足の指を使っても余るほど、たくさんのチャンスが訪れた。しかし、そのほとんどをものにすることが出来なかった。

それでも柴崎岳のシュートが決まったとき、日本全国が爆発した。あれは本当に素晴らしかった。

シュートが決まったことだけじゃない。

本田が自らをおとりにして、アシストパスを落としたことによって生まれたゴールでもあるのだ。

そう、本田は、FKのチャンスでも、柴崎にキッカーを譲っていた。

 

 

柴崎岳にキッカーを譲っていた!!!

あの本田が、だ。

それは、UAEが日本のやり口をしっかり研究してきていることを肌身で感じていたため、こそのやむを得ない判断としてであったかもしれない。
しかし、あの本田が、王様が、若者で新参者の柴崎に勝負を争う大切な場面を委ねたのだ。

最初は目を疑った。
次の瞬間嬉しくなった。
このチームは強くなる。何かが始まろうとしている!

本田と香川という、今の日本代表を象徴する二人のエースが、いつもより献身的だったように思えた。

香川も広いピッチの様々な場所に顔を出し、持ち前の鋭いムーブを見せてくれたし、武藤にも何度か重要なパスを託していた。

自分が何かを成し遂げるための日本代表であったのが、チームで何かをしようという方向へと変わりつつあったように感じた。

ぼくは試合の分析をするのは得意ではないのだが、確かに何かが感じられたのだ。

もっと良くなっていくはず……

もっと長く見ていたい……

そう思っていたのに……

本田と香川がPKを外し、日本代表は敗退した。

よりによってこの二人が…… 何か象徴的な意味を感じ取った人もいるのではないだろうか。

試合終了後、香川真司がドロドロになって泣いていた。
それをみてメンタルがどうのと揶揄する人もいるし、実際そういう面もあるのかもしれない。

しかし、ワールドカップで敗退した時でも、強気な表情を崩さなかった香川が、これだけみっともない泣き方をするんだ。それだけ我武者羅にやったということだし、自分のプライドをかなぐり捨てて必死にいたということではないだろうか。

試合中はシュートを決めきれず、PKは外し、号泣した。
みっともない。本当にみっともない。

しかし、だからこそ応援しようという気にもなる。支えていかないといけない。


もう終わりだ。華やかな時代は終わり。
日本のエースとしてドイツに渡り、得点王を争うような大活躍をしてマンチェスターユナイテッドへと移籍した。日本代表の10番で、誰からも羨まれるスーパースター。そんな時代はもう終わりだ。

香川だけじゃない。日本代表選手はみんなそうだ。

サッカーという不条理で、泥臭い、この競技の徒として、泥に芝生にまみれよう。華やかなものだと思ってはいけない。きつい、きたない、危険の3Kの現場なのだ。

サッカーってのはそんなもんだし、その地獄の泥沼の中でも前を向けたものだけが勝ち上がってこれるものだ。

アジアカップを迎えた日本代表は、メンバーの選考、戦術、選手交代などについて、非常にハイレベルであったとぼくは思っている。でも、それだけじゃ勝てないのだ。日本代表に何が必要なのか。

それは、勝つまでやることだ。何度負けようが、何度ボロクソのドロドロになろうが。勝つまで挑戦し続けること。戦い続けること。

才能溢れる選手達が次々と引退して行ったとしても、新たな才能を育てて、何度も何度も挑戦させ続ける。

何十回も何百回も日本中を失望させ、戦犯扱いされて袋だたきにされながらも、挑戦し続けたものだけが、最後に栄光を掴むことが出来るのだ。

ぼくの命が燃え尽きるまでに、ワールドカップを掲げるところが見たい!!

その時は、本田はとっくに引退しているかもしれないし、武藤だって柴崎だってもういないかもしれない。それでも、魂は引き継がれていく。

ぼくは、生涯、日本代表に関心を持ち、応援し、支えたい。

そんな気持ちが一層強くなった。

うまくいかない時だからこそ、サポーターとして、サッカーファンとして、強い気持ちをもって支えていかないといけない。それは、アンチサッカー言説に対して目くじらをたてて批判するような三流のやり方ではいけない。

ぼくにはぼくの出来ることがあるはずだ。

兎にも角にも、文章を綴っていこう。日本代表について、Jリーグを初めとする国内のサッカーについて、あるいは別の競技についても。日本という国について、世界の国について、人間について……

書くことだ。

その先に必ず何かが見えるはずだと信じて。

太陽は沈んだ。
しかし、世界が終わったわけではない。
日はまた昇る、必ずや。

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