ブ・ログ24時間耐久2016

ネット記事やエアインタビューについて【ブ・ログ24時間耐久⑤】

投稿日:

Pocket
LINEで送る


11時20分。これを書き終えたら、昼食にしよう。

ブログが何件読まれたかについては、気にしない方針なのだが、アクセス数を調べてみると「不倫と朝の仕事」だけが突出してアクセスが高かった。これがネットメディアというものである。空虚なものだ。

せっかくなので、その話をしよう。

ネットメディアでは、人の負の衝動を刺激する必要がある。いかに良いものを作るかではなく、いかに人の薄暗い情動を刺激できるかに掛かっている。

「朝から恋愛のことを考えた」

このタイトルでは思わずクリックする人は少ない。ぼくの場合は、職業的な習慣によって、冒頭に「不倫」というワードを入れた。

「不倫と朝の仕事について」

もう少しアクセスを増やしたかったらどうすればいいか。もう少しどぎつくする。

「不倫が実際に起こるメカニズムと果てることない性欲」

このくらいにしておこうか。中身はまったく一緒であるため、羊頭狗肉にはなってしまう。しかし、このくらいはネットメディアにとってお手の物なのである。

もしぼくがこのタイトルにした場合には、「果てることない性欲」についての言及を1行増やす。それだけで、羊頭狗肉とは言いがたくなる。せいぜい、まずい羊の肉だ。

ネットメディアは、空虚になっていく方向性で機能している。

以前、サッカーメディアの若手ライターが、いくかの研究論文を引用して記事を書いていた。しかし、彼は引用文献を提示していなかった。つまり、剽窃行為なのである。人の研究を盗んだ。研究業界では、これは犯罪であり、永久追放なのだ。

もっともその人には悪意はない。大学院で、著作権について教わらなかっただけなのだろう。個人的には憤ったし、注意もしたのだが、ちゃんと伝わらなかったので、それはもうどうでもいい。

問題は、ネットメディアの中身が空虚になっていくことだ。

彼が書いた記事は、表向きはそれらしく見えるのだが、引用文献をどこの誰が、どのジャーナルに書いたものかわからない。そのため、記事の内容が正しいのかどうかを検討することが出来ないのだ。

そのため、その記事は、「ゴシップ」として扱うしかない。本当か嘘かは誰もわからない。信じるも信じないも貴方次第なのである。こんなものはジャーナリズムでも研究でもない。

正装風の殻を着たゴシップ記事なのだ。

ネット記事に限らないが、サッカー記事がゴシップかどうかについても議論があった。エア取材&エアインタビューの問題である。簡単に説明すると、有名選手に対して、取材をしていないにも関わらず、あたかも取材したかのように「妄想」で「作文」することを指す。

実際にそれが行われていたかどうかについては、限りなく怪しいという状況証拠だけが積まれていて、決定的な断罪はされていないというのが現状だ。

サッカー業界は色々なところに知り合いがいるので、発言は控えてきたが、一言だけ言っておこう。

それは3年前。
長男が生まれるとき、ぼくは産婦人科にいた。
立ち会い出産である。

その時、ぼくが手に持っていたのはワールドサッカーダイジェストだけであった。そのまま朝まで過ごす羽目になった。妊婦の方は必死に痛みに耐え続けているのだが、こちらは1人で孤独と退屈に耐えなければいけなかった。

まだ隣で苦しんでいるときはやることがあるのだが、隔離されて1人で30分程度待たされることもあった。そういった時間に、ぼくはワールドサッカーダイジェストを読み続けていた。

特に印象に残っているのがルーニーのインタビューであった。流石ルーニーといえるような、大胆かつ繊細な人柄が伝わるインタビュー記事であった。

何度も何度も繰り返し読んだ。その度にイングランドのサッカーに思いを馳せた。生まれてくる子どもをいつかイングランドに連れて行きたいと思った。

しかし、その時の記事が、もしクソライターの、インチキねつ造だったとしたら……?

まだ見ぬ長男への思いを馳せていた時に、そっと横で見守ってくれたルーニーが、ルーニーの言葉が、誰かの創作だったとしたら?

ぼくは絶対に許せない。
これは犯罪だ。
こんなことは絶対に許してはいけない。
もし、将来、ぼくがサッカー記事を書くときに、あのインタビューを引用したらどうなるだろうか。ぼくまで嘘つきになってしまう。

研究の世界では、嘘つきは必ず暴かれ、地獄の業火に焼かれる。

ぼくの中には、サッカー選手やバスケ選手のインタビュー内容が溢れてしまっている。そのいずれも、今後一切引用することが出来ない。

つまり、スポーツにおいて、どんな取材も正しく行われた保証がないということになってしまう。もちろん、個人的に信頼する書き手のものだけは別だと考えることが出来る。しかし、スポーツジャーナリズムの世界では、ねつ造や剽窃が暴かれるメカニズムがないことが明らかになってしまった。あるいは、そう思われても仕方がないシチュエーションになってしまった。

従って、理屈上は、「すべてのスポーツ記事は疑わしい」となる。要するにドーピング検査を行っていないスポーツ大会のようなものだ。薬を打っている選手もいれば、打っていない選手もいる。

この話は、これ以上動かない気はするが、正直日本のスポーツ文化のあまりにも浅はかな未成熟さに失望した。ある程度、この世界に憧れていたこともあったので、あまりにも酷すぎる状況に吐き気すらした。

バスケ雑誌も怪しく見えてくる。昔読んだシャキールオニールの記事でこんなフレーズがあった。

「俺は216cmで130kg。でも体脂肪率が8%を切る。信じられるか?こんなにセクシーな生き物が存在するんだぜ。でも、それがシャキールオニールだ。」

とてもシャックらしい言葉だとは思ったのだが、本当にシャックが言ったのかどうか……。もし仮にねつ造だったとしたら、今までこの言葉を記憶して、大事にしてきたぼくの人生はなんだったんだ。ふざけるな。

スポーツ選手を憧れる気持ちを逆手にとって、詐欺行為を働いているわけだから、もしそういったものがあるならば、絶対に許すわけにはいかない。

今回の件は、仲間なんだからお互い損するのはやめようという論調が目に付いた。仲間だからこそ、疑いがかけられないように徹底的に検証するというほうが、ぼくがこれまで過ごしてきたバックグランドとはフィットする。

この件について、当事者から「実はやっていました」と告白されることはないだろうと思う。だから、白か黒かはわからないまま固定されてしまう。個人的な推測だが、「黒」も含まれているだろうと思う。

これは、サッカー業界の話ではないが、ネット記事のお作法としてそういうやり方があるのだ。この前大きな会社による盗用が大問題になっていたが、あれはネット記事の当たり前の手法なのである。

自分の文章を、自分の責任でしっかりと書く。間違いがあった場合には自分が頭を下げて謝る。ぼくに言わせれば当たり前のことなのだが、ネット記事業界ではそうはいかない。エア疑惑の件は、紙媒体であったからこそ衝撃的ではあったが、ネット記事なんかそんなのばっかりだから。

主婦の体験談とか、○○を使ってみましたとか、ほぼ全部ライターが書いている。インターネットを検索すると、クソライターが書いた無根拠だけどそれらしい記事ばかりが並んでいるというのが現状なのである。

だからぼくはネット記事を信用していない。特に、投資関係みたいなお金がからむものや、医療関係はインチキばかりである(そのインチキ記事を書かないかという募集も、非常に多かった。これは3年前の話だが)。

インチキ記事の片棒を担ぐのが嫌だから、そういうのはやめて作家を目指して活動し始めた(そしてJリーグに出会えた)。とはいえ、稼ぎ自体はライターをしているほうがずっといいし、記事の製作難度もはるかに低かった。

話がとりとめなくなってしまったが、こういった話が出た以上、今後はエア取材はしづらくなるだろう。だから、とても意義があったと思う。これを機に、剽窃やねつ造についての理解と関心が高まっていけばいいと思っている。

まぁ最大の問題はライターに入るお金が足りなすぎること。佐山一郎さんに聞いたところ、昔は今の30倍くらいギャラが高い仕事もあったんだそうだ(倍率は当社比)。だから、ライターで食っていく難度も低かった。

しかし、今は、1000字100円みたいな仕事すらあるわけだ。内容はさておき、この記事は4000字弱ある。

最安値だと300円くらいの販売価格になる。

少し良心的なネット媒体だと5000円くらいにはなる。当然取材費などの諸経費は出ない。紙媒体に載せるとか、ちゃんとしたネットメディアに載せるとさらに何倍かになる。

この分量で5000円であった場合には、グーグル検索を駆使して記事を書く以外に、仕事として向き合う手段はないような気がする。丸1日かけてしっかりとした文章に仕上げた場合には、日給5000円なのである。引っ越しの手伝いでもしているほうがずっといい、ということになる。

サッカーサポーター界隈で、信頼性の高いサイトほどライターへの報酬が大きくなる傾向にある。だから、本当に必要なのは、ライターが高いモチベーションで書けるようなシステムなんだろう。

後は、ねつ造記事を書いた場合には、刑事罰を与えるくらいでもいいような気がする。

だからぼくは書籍の原稿を重視したいと考えた。
のだが……、ちっともうまく書けないままくすぶっている。
他者やメディアに対する怒りをぶちまけている暇があったら、自分と向き合って格闘するべきなのだ。これは負け犬の遠吠えなのである。

もう少し遠吠えを続けるか。

ブ・ログ24時間耐久2016
執筆時間50分。累計214分。
3948字。累計16522字 。

-ブ・ログ24時間耐久2016

Copyright© はとのす  , 2018 All Rights Reserved.